五色の日常(5/6更新)

狂言巡

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断金の交わり

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 親友と名乗る基準バロメーターは、いかに時間を積み重ねたからではないと雲仙華煉は思っている。過ごした時間ならば、あの顔も中身もいけ好かない元隣家の同級生の方が圧倒的だろう。親しい人の頼みは断る可能性が低い美澄を変態へ売ろうとしたアバズレ(一家揃って夜逃げ済み)なので、つまり量より質だと華煉は判じた。

「アンタは運がいいわね、私の親友に相応しい価値がある。ドン臭いところもあるけど私が手助けしてあげるわ」

 ツンデレの正道を踏み外し、選民主義をスパンコールのように輝かせた華煉のウエメセ宣言に「あ、コレはダメだわ」と偶然場に居合わせた生徒どころか、似た者同士も仁重まで「そりゃねーよ」という顔をした。
 しかし、美澄は心配になる程のんびりしており、ついでに面食いであった。きょとんと長い睫毛の奥にある深い藍色の瞳を見開くと、幽艶なかんばせがふにゃりと柔和に微笑んだ。この上機嫌の仔猫のような笑い顔が華煉は親しみやすくて好きだ。どこか昏い影が纏わりつく美貌だというのに、人懐こい表情を浮かべる事は意外と多い。

「嬉しいです。感謝します。雲仙さんはとても優しい方」
「華煉と呼んでも構わないわよ」

 こうして、青鷺美澄と雲仙華煉は無二の親友になったのである。
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