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もしもしさん
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ぷるる……ぷるる……ガチャッ。
「――こんにちは、もしもんさん。貴方に質問したくて電話をかけました」
とある小学校の近くには古い公衆電話があった。現在では既に電線は切られており、本来の機能は失っている。はずなのだが。特定の時間に特定の番号をかけると繋がるらしい。繋がる先は「もしもしさん」というお化けだ。幽霊か妖怪ははっきりしないが、どんな質問でも答えてくれるという。
この「もしもしさん」に電話を掛ける時は、必ず守らなければいけないルールが二つあった。一つは「もしもしさん」に問いかける質問は一人につき一つだけ。二つ目は、極稀に「もしもしさん」は質問とは全く関係のない事を答えてくるが、否定したり別の質問をしてはいけない事。もしこのルールをどちらか一つでも破ったら異世界に連れていかれるとか、魂をとられるとか、自分が「もしもしさん」になるとか、その辺りは曖昧だった。
倭文子は友人達を誘って「もしもしさん」に電話を掛けにいった。人より少し欲張りな彼女は「もしもしさん」にどうしてもいくつか質問がしたかった。倭文子はクラスメイトに後でアイスを奢るから、これこれこいう質問をしろと約束させた。他の友人達と違い、完全に数合わせの付き合いでやってきたクラスメイトはあっさり承諾した。せっかちな倭文子は一番最初に電話をかけ、早速質問した。若い女の声が答えた。
「あんたのお母さんの名前はサダコっていうんだね!」
倭文子は絶句した。自分の母親の名前は華弥子だ。「もしもしさん」でも間違える時があるのだろうか。首を傾げながら、受話器を戻した。全員が電話をかけ終った後、最後に電話をかけたクラスメイトを問い質した。
「今日はお家に帰らない方がいいよ、だって」
またもや、自分が頼んだ質問とは関係のない答えだった。当ての外れた倭文子はクラスメイトを嘘つきと八つ当たりして、誰よりも早く帰った。
家に帰ると、女の人が家の廊下に立っていた。倭文子に兄はいるが姉はいない。
「こんにちは、倭文子ちゃん」
うつむいていた女の人が振り向いた。全く見覚えのない顔で、胸と顔が真っ赤に染まっている。
「私は偵子。貴女の本当の母親よ」
握手を求めるように差し出された手の先にあったのは――。
「さあ、ママと一緒にいきましょうね」
倭文子の視界は赤く弾けた。
「あーあ、お清ちゃんの友達らしいからサービスしてあげたのになー」
百目女はガチャンと受話器を戻して、部屋を出た。主人が家に帰ってくる時間帯だったからだ。
「お清ちゃ~ん、知りたい事があったらあたしに何でも聞いてねー!」
数日後、一人の女子生徒が行方不明になった。「もしもしさん」の噂は廃れる事なく、むしろ畏怖と好奇心を集めて伝えられていったそうだ。
「――こんにちは、もしもんさん。貴方に質問したくて電話をかけました」
とある小学校の近くには古い公衆電話があった。現在では既に電線は切られており、本来の機能は失っている。はずなのだが。特定の時間に特定の番号をかけると繋がるらしい。繋がる先は「もしもしさん」というお化けだ。幽霊か妖怪ははっきりしないが、どんな質問でも答えてくれるという。
この「もしもしさん」に電話を掛ける時は、必ず守らなければいけないルールが二つあった。一つは「もしもしさん」に問いかける質問は一人につき一つだけ。二つ目は、極稀に「もしもしさん」は質問とは全く関係のない事を答えてくるが、否定したり別の質問をしてはいけない事。もしこのルールをどちらか一つでも破ったら異世界に連れていかれるとか、魂をとられるとか、自分が「もしもしさん」になるとか、その辺りは曖昧だった。
倭文子は友人達を誘って「もしもしさん」に電話を掛けにいった。人より少し欲張りな彼女は「もしもしさん」にどうしてもいくつか質問がしたかった。倭文子はクラスメイトに後でアイスを奢るから、これこれこいう質問をしろと約束させた。他の友人達と違い、完全に数合わせの付き合いでやってきたクラスメイトはあっさり承諾した。せっかちな倭文子は一番最初に電話をかけ、早速質問した。若い女の声が答えた。
「あんたのお母さんの名前はサダコっていうんだね!」
倭文子は絶句した。自分の母親の名前は華弥子だ。「もしもしさん」でも間違える時があるのだろうか。首を傾げながら、受話器を戻した。全員が電話をかけ終った後、最後に電話をかけたクラスメイトを問い質した。
「今日はお家に帰らない方がいいよ、だって」
またもや、自分が頼んだ質問とは関係のない答えだった。当ての外れた倭文子はクラスメイトを嘘つきと八つ当たりして、誰よりも早く帰った。
家に帰ると、女の人が家の廊下に立っていた。倭文子に兄はいるが姉はいない。
「こんにちは、倭文子ちゃん」
うつむいていた女の人が振り向いた。全く見覚えのない顔で、胸と顔が真っ赤に染まっている。
「私は偵子。貴女の本当の母親よ」
握手を求めるように差し出された手の先にあったのは――。
「さあ、ママと一緒にいきましょうね」
倭文子の視界は赤く弾けた。
「あーあ、お清ちゃんの友達らしいからサービスしてあげたのになー」
百目女はガチャンと受話器を戻して、部屋を出た。主人が家に帰ってくる時間帯だったからだ。
「お清ちゃ~ん、知りたい事があったらあたしに何でも聞いてねー!」
数日後、一人の女子生徒が行方不明になった。「もしもしさん」の噂は廃れる事なく、むしろ畏怖と好奇心を集めて伝えられていったそうだ。
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