誘惑シャルム(9/9更新)

狂言巡

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転機

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 若くして帝国の少将となり、順風満帆に思えたアンバーの人生だったが、昇進の毎に軍内の腐敗を目の当たりにし、どうにも違和感は強まるばかりだった。コレが自分の信じた正義なのか。決して抱えてはならぬ思いが次第に強まり、彼を追い詰めた。そんな中、久しぶりに外海での任務が入った。広がる海原に、幾分か心に安らぎが訪れる。

「東南から空賊船!」

 見張りが叫んだ。向こうはヤル気らしく、武装された航空機は船首を向けて突っ込んでくる。アンバーも久方ぶりの大物の犯罪集団が相手で、血が燃え上がる止められなかった。機体に描かれたシンボルマーク、【死の鳥】アレクシン率いる空賊は度々新聞を騒がせている。全力でぶつからなければならない。
 アンバーは的確な指示を出し、敵船に小さくはない穴をあけてやった。大きく傾いた船から、船長自ら大胆に単身で飛び移って来た。アンバーのテリトリーで、アレクシンは恐ろしい姿で暴れ回った。アンバーも力を最大まで解放して対抗するが、なかなか傷一つ負わせられない。
 どうにか補佐を戦闘不能にして攻撃を軽減させる段にはいったが、自艦の損傷も激しく、逃げた船を追う余力はなかった。まぁ幹部の一人は拘束したのだから一先ずいいだろう。捕虜は牢に繋いでおいた。捕らえられた補佐の女は、一転して静かになった。魔法具を全て没収されたとはいえ、悪態を吐くか命乞いを始めるかと構えていたアンバーは肩透かしを喰らう。よく観察すれば、彼女は気品すら感じさせる面持ちで盗賊としては異質な存在だった。脅されて協力させられているのだろうか。アンバーはいつしか女に強い興味を持つようになった。

「体を洗いたいのです」

 女が言う。模範囚の要望だ、聞いてやろう。アンバーは特別に、彼女に雑用係の浴室を使わせてやった。見張りは自らが立つ。手錠は付けられたままで、彼女は気持ち良さそうにシャワーを浴びた。水滴の流れる肌が眩しいなどと思っていると、突然振り返った。

「背中、流してくれませんか?」

 図々しい頼みに、しかしアンバーは突っぱねるどころか、海綿を受け取って白い背中に滑らせた。背中だけではなく、腕や臀部、脚にも泡を纏わせてやる。間近で見るとますます綺麗だ。鼓動が早まり、喉が渇く。いつも己を縛る理性は為りを潜め、気が付いたら首筋に喰らい付いていた。女は身を竦めるが、逃げる素振りは見せない。アンバーは許しを得たのだと思った。彼女は自分の全てを受け入れてくれる。喜びのままに、服が泡だらけになるのも構わず抱き締めた。唇を奪い、中を蹂躙する。深く繋がりながら女が囁いた。

「私はシルク。貴方を救い、貴方が私を助けるでしょう」

 白む景色の中、アンバーは何度も頷いた。

「シルク、俺と逃げよう。海に出て己の道を進むんだ」

 シルクに部下の服を着せ、見回りの目を掻い潜りボートを下ろした。きっと追手が掛かるだろう。だが、自分達を止められる者など何処にも居ない。最低限の準備はしてある船に二人で乗り込む。さぁ行こう私達の楽園へ――。
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