溺愛クレッシェンド(1/3更新)

狂言巡

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帰郷

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 非常に不本意であるが、数年ぶりに生家に帰った。
 相も変わらず仏頂面で辛気臭い父と同じく格式ばった調度品が揃った、広大であるのにどこか狭苦しい屋敷。唯一増えたものといえば、愛人くらいだろうか。実母と自分を産んだ妻に裏切られ、以来女嫌いの噂が濃厚だったが、所詮邪推にすぎなかったらしい。
 今時作りすぎたおかずのお裾分けという、時代遅れな事をしてきたぽけっ面の隣人。どうしても欲しくなって深夜に帰ってきたところを部屋に連れてこんで飼っていた女は今、父の膝の上にちょこんと収まっている。左足首には未だ、アンクレットのように、自分が嵌めた足枷の輪が残っていた。
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