理想世界の創り方

無限キャラ

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自業自得学園にいたムゲンの分身体からの報告

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とにかく誰もが自分の体験を自分で自由に選べるようにすればいい……


ムゲンは自分の分身体の一体に連絡して自業自得学園のロビーにある掲示板にそう書いてみた。


ちなみにムゲンの分身体の中にも自業自得学園に入っているのが探したらいたのだ。


ただ、永遠に残酷拷問体験を受け続けるような危ない状態では幸いなかった。


軽犯罪という感じで、どうやら不良少女古龍にかどわかされて世界征服のための下っ端仕事をしてしまったらしい。


「あいつまだそんなことやってたのか……」とムゲンはぼやく。


ムゲンの分身体にまで手を出すとは……なかなか筋金入りだ……


結果、ムゲンの分身体は不良分身体にされてしまった。


昔のヤンキーみたいな感じで不良少女古龍を後ろに乗せてバイクで高速道路を逆走していたらしい。

暴走行為ということでお縄となったようだ。

無茶をするなあ……と統合型のムゲンは思う。

というか事情を聴くと、不良少女古龍にそそのかされてやらされていたみたいだ。

暴走するならどっかの広い野原とかでやれよなあ……とムゲンはテレパシーで伝える。


すると、


「いや、兄貴……そんなこと言われても、手足が自分の意志に反して動かされちまっていたんですよ」


「え? そんなことできるのか?」


「できるもなにも、そうなってたんだから、できちゃうんでしょうね」


「今はもう大丈夫なのか?」


「ええ、でも時々、パソコンってやつの文字入力のときに指が高速で動き始めたり、なかなか動かなくなったりすることがありますよ」

「自分の意志に反して指が動いちゃうのか?」

「そうなんですよ……不良少女古龍のばかやろう===!とかタイピングしようとすると間違っちゃったりするんですよ。なんでですかね……兄貴」

「いや、お前、それはまだ操られちゃっているだろう……」

「そうですかね……やっぱ……」

「で、高速で指が動くときはどんな時なんだよ」

「いや、それはちょっと兄貴には言いたくないんですけど……」

「ばかやろう! 言わなくてもテレパシーなんだからわかるんだよ」

「そんな……おいらのプライバシー領域に勝手に入ってこないでくださいよ」

「だってお前は、俺の分身体なんだから、プライバシーもくそもないだろう」

「いや、ありますよ。いくら分身体といっても個性が全然違うんですから……」

「そんなことを言われると、俺の分身体稼業がたちゆかなくなるじゃないか」

「そんなのおいらは知りませんよ、別の稼業に乗り換えればいいじゃないですか」

「別のって、何かいい仕事があるのか?」

「いや、例えばほら、兄貴もこの学園に入ればいろいろ仕事ありますぜ」

「はあ? ここは仕事場じゃないだろう?」

「ですけど、希望すれば仕事があるんですよ、最近は」

「ほう……どんな仕事をしてるんだよ」

「いやこないだ掲示板に<刑務所を楽園にするアルバイト募集>とかね、貼り紙がしてありまして、今、この自業自得学園を楽園にするためのアルバイトってのをしてるんですよ。兄貴もどうですか?」

「それはまた面白そうな話だな」

「でしょう? 刑務所を楽園にするってなかなかいけてますよね。かっこいいじゃないですか」

「まあ、面白そうではあるな……」

「ということで兄貴も何か適当な軽犯罪とかでもして、ここに入ってきてくださいよ」

「いやいや、俺は統合型だから軽々しく軽犯罪なんてできないよ。やると分身体全体に影響しちまうからな」

「そんなこと言わずに遊びに来てくださいよ。おいら一人じゃ寂しいじゃないですか」

「いやアルバイト仲間とかいるんじゃないの?」

「あー、まあいないこともないですけど、ぜんぜん違う種族なんでいまいちなんですよ」

「どんな種族なんだよ」

「いや、いろいろですよ。ほんと、宇宙人族とか、悪魔族とか、天使族とか、神族とか……」

「え? そんなにいろいろいるの!?」

「いちゃいけませんか?兄貴」

「いや、いけないことはないんだろうけど、ずいぶん多種多様じゃないか」

「なんかあれですよ、あらゆる体験者たちの楽園刑務所を創るってんで、ありとあらゆる種族に募集をかけているみたいなんですよ」

「それはなかなか規模がでかいな」

「でしょう? なんか結構本気みたいでおいらも結構やる気になっちゃってるんですよ。でも分身族はおいら一人だけなんで寂しいんで、よかったら来てくださいよ」

「うーん、じゃあ、適当な分身体をみつくろって軽犯罪でもさせて送り込めばいいのか?」

「いや、まあ、希望者がいればでいいですよ。無理やりやるとまた自業自得学園長にやられてしまいますからね」

「やられてしまったのか?」

「そりゃ、まあ、自業自得学園ですから……入って無傷で済むわけないでしょう?」

「ちなみに、うまいことやろうとしても全部ばれちゃいますからね」

「経験者は語るってやつか」

「おいらの劣化分身体を身代わりにしようとかしましたけど、全部ばれて3倍返しされました」

「そりゃあ、お前の分身術が未熟だったからじゃないの?」

「まあ、おいら以外の奴らもいろいろズルがばれてひどい目にあってるんで…」

「なるほど、絶対監視システムでもあるのかもしれないなあ……」

「そうそう、それですよ。こないだはそうした感じの支配者がやってきて、あらゆるプライベートを学園長に監視され公開されてましたよ」

「さすが自業自得学園だな……あまり入りたくなくなってきたぞ」

「えー! そりゃないですよ。ここの楽園化がんばりますから、遊びに来てくださいよ」

「じゃあ、まあ、楽園化できてからにするわ」

「いや、一緒に楽園化しましょうよ」


どうやら話を総合すると、ありとあらゆる種族というか、体験者たちが共同で自業自得学園にあらゆる体験者たちの楽園モデルをつくっているらしい。


まあ、全部を楽園化する前段階として、ミニモデルみたいなのを作り始めたようだ。


どうやら、超時空聖体たちからの口添えがあったらしい。


どうやら彼らはありとあらゆる世界を体験自由自在の楽園に本気でするつもりのようだ。


自業自得学園なら体験自由自在の楽園プチモデルを試作する場として良い環境になると判断したのだろう。


作った楽園モデルのバク点検に自業自得システムがそのまま使えるからだ。


妙なものを作ると、全部、作り手がそのミスの責任を負わねばならなくなり、すぐに手直しができるという感じなのだろう。


自分のミスにすぐに気づける仕組みというのは、かなり良い仕組みだなとムゲンは思う。


これが何千年も、何万年も、何億年も経過してから間違いに気づいて、その期間の自業自得の責任を後から取らねばならないという仕組みでは非常に危険だ。
また、その何億年もの間、ミスがそのままであるということは被害者がその間ずっと発生し続けることになるわけで、加害者被害者双方にダメージが大きすぎる。

これは早急に改革すべき点だろう……などとムゲンは思った。

かの不自由な世界など、おそらく数億年ではきかない期間、ずっとカルマが蓄積しているに違いない…

そんな世界の支配者になるなど、とんでもないことだな……とムゲンは思う。

自分のミスに気づかないというだけで、何億年もの間、残酷拷問体験を受けねばならないというペナルティを蓄積してしまうなど危険すぎてやばすぎる……


そういう場合は、自動でちゃんと危険だよと教えてあげる仕組みは必要不可欠だろうと思う。

ムゲンはそうしたミス通知システムという感じの仕組みが必要不可欠だと「理想世界の設計図」に追加でメモした。


★「自業自得の責任が発生する場合には、体験者たちはその責任の内容を通知される世界仕様にする必要がある」


などと書き加えた。


なるほど、これはひょっとすると、理想世界の作り方をいろいろ研究するための絶好のチャンスかもしれない…とムゲンは感じ始めた。


ムゲンはがぜん刑務所の楽園化のアルバイトに興味が出てきた
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