理想世界の創り方

無限キャラ

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理想世界の設計図の是非は自業自得システムによって検証される

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その後、ありとあらゆる世界に理想世界の設計図(未完成)が通知されることになった。


不自由な世界群の創造主や支配者たちは、「なんじゃこれは!断固拒否じゃ!」などとリアクションしていたが、この改革案を受け入れなければ直ちに自業自得の責任が問われるのだと知ると、おとなしくなってしまった。


理想世界の設計図は、その最高法規に反せず最高法規を推進する内容ならば追加で条文を書き加えることも可能とされた。

ただ、その場合には、その追加された内容を検証するために自業自得学園のシステムを使って提案者がその可否を実体験で確認する義務があるとされた。

よってうかつなことを書き加えると痛い目にあうことになった。

ちなみに検証においては、提案者は、追加条文が施行された場合に発生するあらゆる体験を全部自分で味わって検証する仕組みとなっていた。
つまり、追加条文施行後の世界中ののキャラたち=体験者たちのすべての体験を一通り全部味わう必要があった。
ただしギブアップすれば、自業自得システムから離脱可能にしてあった。

よって、これは、かなりの高難易度の試験となった。利己的でよこしまな心を持っていてはほぼ確実に大失敗して痛い目にあう。合格を得るには相当な博愛精神と賢明さが必要とされた。

ちなみに、我こそは!!!と勇んで理想世界の設計図の最高法規の改正に大胆にもチャレンジした魂たちは自業自得検証システムの前にあえなく全滅してしまった。

他者の合意なく他者の体験を操作してもよいという内容にしてしまうと、自分自身が望まない体験をどうしても味わわなばならなくなってしまったからだ。
それでもいいのだ!!!そんな最高法規ではなく自分の提案する最高法規の方が正しいんだ!!!と主張し続けてがんばった魂たちもいたが、そのまま何十億年もそうした世界を輪廻転生し続けた結果、ついにギブアップするという結果となった。
自分の運命や体験や環境を自由に選べる権利=「体験の自治権」を否定してしまったために、どこかで自分の体験を自分で選べなくなり、自業自得検証システムから自由になることができなくなってしまったのだ。
自分の体験を自分の意志で自由にコントロールできなくなることで、自分の運命を自分でコントロールできなくなってしまったのだ。

例えば、その当時では最高度に賢明な選択ができるスーパーコンピューターのようなものに至れり尽くせりのプログラムを組み込んで、皆、そのスーパーコンピューターに従えばいいのだと主張し、理想世界の最高法規よりもそうしたコンピューターに従う方が間違いがないと主張した者もいた。

しかし、体験者たちは、変化し、進化し、あるいは退化し……時には変身までしたために、次第にその当時完璧だと思えたコンピューターのプログラムはどんどんと時代遅れとなり、ついにはぜんぜん体験者たちの望まないことを強制する事態になってしまったのだ。

その当時には、みんな肉が好きで好きでしょうがない者ばかりだったのが、時が経るとみんな草食系になってしまったりしたのだ。
そうなると、コンピューターは最高の肉料理を提供することが皆の望みをかなえることになるとプログラムされていると望まない料理ばかりを食べなければならなくなり大木の魂たちが困る事態になる。
つまりあらゆる体験者たちの変化に永遠に対応できるコンピュータープログラムを組むことは不可能だということがわかってしまった。
どうしても体験者本人が、自分の体験を自分の願望の変化に応じて自分でコントロールできるようにしておかないと遅かれ早かれうまくいかなくなる時が来た。

さらに他者に自分の体験をお任せなどしようものなら、自分も変化、進化するし、さらに他者も変化、進化、退化したりするのでもっとややこしい問題が発生することになった。

絶対の幸福体験を提供する絶対者によってみんな絶対の幸福を味わい続けれるようにしよう!などとチャレンジした者もいたが、そもそも体験者というものはいくら絶対的な幸福体験を味わうことができても、ずっと永遠に同じ幸福体験を味わい続けるとどこかでうんざりして飽きてしまい、ついにはその絶対的な幸福体験が拷問体験だと感じるようになってしまたりした。

一年間とか、せいぜい数千年くらいはそうしたシステムでも通用したが、数万年とか数億年規模になるとどんな絶対的な幸福体験もほとんどの魂が飽き飽きするようになってしまったのだ。


なぜそのようになってしまったのか?


それは、体験者というものが体験をすることでまさに変化し、進化する性質をもっていたからだ。
だから体験者ごとに正解はどんどんと変化する。
変化した体験者自身しかその変化に対応したフィードバックがリアルタイムでできない…という理由だった。
ではあらゆる体験者の変化や進化すべてを思いやり深い体験者がすべて理解し本人の代わりに本人よりもよりよく対応できればいいんじゃないかと考えた者たちもいたが、膨大な体験者すべての変化や進化をすべてリアルタイムで正しく理解し、最善の体験を与えることができる魂など、どこを探してもいなかった。
しかも体験者たちはどんどんと増え続けたりもしたので、はじめはよくても長くはもたなくなってしまったのだ。
さらにその体験者たちの体験管理者もまた変化、進化してしまったので、導入のはじめはよくてもどうしてもどこかで致命的な問題が発生することになってしまった……

そのような感じでことごとく最高法規を変更しようとしたチャレンジーは遅かれ早かれ全員ギブアップすることになってしまったのだ。
超時空世界では時間はいくらでもコントロールできたので、その結果はすぐに出た。ギブアップするまでがんばったチャレンジャー以外にとっては……

こうして「あらゆる体験者たちが自分の意志だけで自分の体験を自由に選び楽しみ続けれるような世界ににしてゆくこと」という最高法規を変えようとする魂は、ほどなくしてほとんどいなくなった。たまに未熟な新しく生まれた魂などが最高法規を変えたいとチャレンジを宣言すると、勇者が生まれた!!!と皆でお祝いするようになった。

ただ最高法規には手をつけずに追加条文を補助的に付け加える場合には、チャレンジが成功することも結構あった。


こうして、自業自得学園のシステムは、罰を与えるという目的から、そのような良き進化のための検証のために利用されるようになった。


そもそも、自業自得という仕組みは、「悪いことをすれば悪いことを自分が受けることになり、良いことをすれば良いことを自分が受けることになる」という仕組みであったので、罰を与えるためだけでなく、果報を与える目的にも使える仕組みだったのだ。


よって、良い提案をすると、自業自得学園で良い結果を受け取れるお楽しみの検証作業にもなるのだ。


そのことがわかると、我こそは……という魂たちがいろいろな提案をもって世界設計図に追加条文を書き加えようと自業自得学園にチャレンジするようになった。


つまりは有志勇者たち限定の参加自由型の魂のフリースクールがこうして誕生した。


勇者たちは時に失敗してしまったりもしたが、めげずに何度も何度もチャレンジすることにより、ついに素晴らしい条文を理想世界の設計図に追加することに成功していった。

こうして世界の進化はどんどんと加速しはじめた。

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