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しかし、意志の中身が問題だった!
しおりを挟む「あきらめず意志すれば何事も成る……」
ムゲンは自分の意識の中にその理解をメモしていた。
ならば、とてもシンプルだ。 ただ望みの世界、状態を全身全霊で意志すればいい。
だが、本当にそんな単純でいいのだろうか……であれば、なんであれほど多くの不自由な世界群が発生してしまっているのだろうか?
ただ願い意志すれば何事も成るのならば、誰もが自分の望む状態を手にしていなければならないはずだ。
だが、そうなっていない世界、魂があまりにもたくさんいた。
そもそもムゲン自身も完全に自分が望む状態を手にしているとはいいがたい。
よく考えてみると、ムゲンの知るほとんどの魂たちは彼らが望む状態を完全には手にしていないと思った。
それは不自由な世界の支配者たちもそうであり、また超時空聖体たちすらそうであると思った。
彼らは、他の魂たちよりもはるかに自由であるにもかかわらず、せっせと他の体験者たちの体験の自治権を奪って完全支配しようとしていたり、あるいはせっせと良い意志を得ようとやっきになっていた。
ムゲンにはそんなことをいくらやり続けても本当に満足できる地点に行き着くとは思えなかった。
なぜ、そうなっているのか……みんな自分自身が望んでいる状態を、世界を、目指し意志していないのだろうか……
意志していてもそれが実現していないのはどうしてなのか?
何か、どこかがおかしい……とムゲンは思う。
「あきらめずに意志すれば何事も成る」という理解だけではまだ何か不十分だと気づく。
自業自得学園で自業自得の責任を背負って、延々と拷問体験を受けていた囚人たちも彼らなりにあきらめずに自分たちが望む世界や状態を本気で意志していた。
しかし……結果は、惨憺たるものになっていた。
そして気がついた。
「ああ、意志の中身が重要だったんだ……」と。
超時空聖体たちですら拷問体験というお勉強を一緒に味わい続けてもいいと思っていなかった。良き意志を生み出すためには拷問体験も必要だという価値観のまま進んでいったのでは、誰もが楽しみ続けれる状態、世界は実現しない。意志が目指すべき最終目的地を、さらにその先に置かねばならなかったのだ。
また、不自由な世界では自業自得検証システムを誰もが自由に使える状態ではなかった。
不自由な世界では、弱肉強食の本能だとか、利己的な生存本能だとか、排他的な価値観だとかが体験者たちの肉体や霊体に植え付けられてしまっていた。
であれば、そんな不自由な状態でそんな圧力を受けたままの自由意志?を持つ体験者がたくさんいる状態で誰もが自分の望む体験状態を継続的に自由に味わい楽しみ続けることなど不可能だったのだ。
排他的で利己的な生存本能だとか支配欲だとかを最優先にしてしまう者たちの世界では、はじめから体験者全員が自分たちの目指すゴールに到達することが不可能なゲームのようになっていたわけだ。
しかも、より自己中心的で利己的でずる賢く力の強いものたちばかりがその勢力を拡大し、生き残る……というダメダメゲームになっていたのだ。
だから、どんどんと不自由な世界はより不自由な状態に突き進み、次々と自滅してしまった……
そんな世界は存続しない方がいい……と本気で願う怨念がその世界に蓄積していってしまったのだ。その怨念とは意志そのものだったので、ついにはその意志に不自由な世界は飲み込まれてしまったのだ。
「意志すれば何事も成る……」確かにそうだ。
だが、それは本当は望んでもいない悪いことも意志すれば実現してしまうということだったのだ。
自業自得学園の検証システムがあれば、それを事前に知ることができるが、不自由な世界にはまだそのシステムが存在していなかったためにそうなってしまったのだ。
自業自得学園は意識体の世界と超時空体の世界にしか存在していなかったために、物質世界は次々と道を間違え、どんどんと退化していってしまったわけだ。
時間差で自業自得学園で自業自得の体験を味わっても、世界や良心が完全に滅んでからでは手遅れだった……というわけだ。
ちゃんとリアルタイムで自業自得の体験を味わえるようになっていれば、不自由な世界もすぐに間違いに気づいて修正されて生き残れたことだろう。
だのに、不自由な世界群は、その大事なフィードバックを自分たちには発生させないような世界を創造してしまったのだ。
あくまでその世界の体験強制ピラミッドシステムが存続しているうちは……
不自由な世界の支配者たちが、そのシステムが終わることを恐れるのは、そうした理由からだった。
だから良心もかなぐり捨て……ありとあらゆる方法でそのピラミッドシステムを無理やり守ろうとし、ありとあらゆる罪を犯してしまった……
そしてその結果、そのような物質世界を創造した者たちやその部下たちは、自業自得学園でとてつもない残酷拷問体験をえんえんと味わわねばならなくなってしまったのだ。
彼らはその罪に加担してくれる自分たちの完全なるイエスマンを無理やり育成するために、残酷拷問体験を他の体験者に好き勝手に強制できるようにしてしまったために、そうなってしまった。
そうしないと自分に完全に従うイエスマンなど自然には生まれてこなかったから……良心に反した犯罪行為に加担してくれる魂を手に入れるために……
だがしかし、体験者の世界の法則は、それを許さなかった……彼らの創造した物質世界など体験者の世界のほんの一部、ゲームソフトのひとつみたいなものでしかなかった。
ゲーム内ではやりたい放題できても、そのゲームがなくなれば、それまで他の体験者たちにしてきたことについてゲーム制作者やゲーム管理者はその責任が問われる。
そのゲームが参加自由形式ではなく、無理やり強制参加させるものならば、なおさらのことだ。
そのゲームを痛み苦しみなく自由にいつでも嫌になればやめる自由や権利すら故意に奪い禁止していたのであれば、なおさらのことだ。
「自らに与えたものが自らに与えられる」 それが体験者の世界の法則だった……
彼らは、自らが体験者である以上、あらゆる体験者たちが自分自身でもあるということを理解できなかった。
自らに毒を与えれば、自らが苦しむ結果になるのは当然のことだった。
自らを傷つけ痛めつければ、自らが痛み苦しむのは当然のことだった。
自らを奴隷や家畜や操り人形や実験動物やペットや下僕のような扱えば、めんどうなことになるのは当然のことだった。
自業自得の範囲を超えて他の体験者たちをほいほいと消したり苦しめたりすれば、自らも消され苦しめられることになるのは当然のことだった。
自らに利己的な生存本能や弱肉強食システムを与えれば、自らがひどい体験を味わい続けなければならなくなることは当然のことだった。
そして、彼らは、その当然のことを回避するために必要なことだと思い込み、ついには自分たち以外のあらゆる体験者たちの自由意志をすべて奪ってしまおうとまでしてしまった。
そんなことをすれば、自分たちの自由意志もすべて奪われてしまう結果になるのだと予測できなかった。
そうなると自分たち自身が壊れたロボット状態となってしまい、もはや自力でその体験地獄から抜け出せなくなるということが理解できなかったのだ。
成長するためには自由意志が必要だったのに、その自由意志を奪えばもはやそこから成長できなくなる。
そうなると自業自得学園では、永遠に拷問体験地獄から出れなくなる。
自分の間違いを理解し、自分で訂正修正改善する能力を奪うという行為がどれほど自分たちにとって危険なことなのかを彼らは理解できなかったのだ。
自分たち以外の者たちを全員操り人形にしてしまえば、すべてうまくゆく……などと思ってしまった。
奴隷にするだけでは、家畜にするだけでも、いつか自分たちに反抗してくるかもしれないから、完全に操り人形にしてしまえばいい……などと思ってしまったのだ。
つまり、意志する内容が、中身が、目指すことが間違っていたのだ。目指したことが、意志したことが、実は自傷、自殺、いや、それよりも悪い永遠に苦しむこと……だったのだ。
あの不自由な世界にもちゃんとした自業自得検証システムがあれば、それに気づけたに違いない……とムゲンは思った。
あらゆる刑務所を、いや、あらゆる世界を、体験バイキングを楽しめる楽園にしようと意志していれば、よかったものを……
しかし、今ムゲンの意識の中には、その間違いを修正できる「理想世界の設計図」がある……今ならまだ間に合う不自由な世界もあるかもしれない……
ムゲンはありとあらゆる不自由な世界に向けて、「理想世界の設計図」を超時空聖体たちに頼んで送付してもらった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
理想世界の設計図
★目指すべき新世界の方向は、
「あらゆる体験者が自らの意志だけで自らの体験のすべてを完全に自由にコントロールできるようにし、自らが選んだ体験を心から楽しみ続けれる状態にしてゆくこと」
この価値観を新世界の最高法規とすること
★ここで言う「あらゆる体験者」とは、
人間だけでなく体験能力を持つすべての意識、つまりは肉体的存在、霊的存在、またそれ以外の体験能力を有するすべての意識=体験者たち…が含まれると理解すること
人間、動物、神、悪魔、天使、宇宙人、地底人、異世界人、魔物、幽霊、意識だけの存在、光の存在、闇の存在……などすべての存在たちは、体験能力を持っている以上、体験者であると理解すること
★ここで言う「体験」とは、
あらゆるタイプの苦楽の体験、肉体に備わっている五感等の諸感覚から生じる体験、その他の精神的な体験、夢世界などで生じるあらゆる種類の体験、その他あらゆる体験者たちが感受できるあらゆる体験のすべてを意味すると理解すること
ここでいう体験の中には、上記以外にも本能や欲望や気分や感情や生命エネルギーの高低状態やあらゆるタイプの悟りの体験や他者から尊敬されたり崇められたり感謝されたり、恨まれたり憎まれたり否定されたりする体験……などもすべて含まれる。よってそうした体験すべてを体験者たちが自分の意志だけで完全に自由に選び心から楽しみ続けれる世界を目指す必要があると理解しなければならない
★あらゆる体験者たちは、自らの望まない体験をしたくないと願い、自らの望む体験を味わいたいと願っている。
よって、そうした願いを持つ体験者同士は、その願いにおいて等しい権利を持つ者でなければならないと理解し、上も下もなく貴賤もないと理解する必要がある。この自らの体験を自らの意志で完全に自由に選べる権利のことをあらゆる体験者に付与され、提供されるべき「体験の自治権」という。
体験者たちがこの願いを持っている以上、その願いを同じく持つ者同士として同志であると理解する必要がある。
知性やあらゆる力は、体験者共通のこうした願いを理解し、上記の最高法規を実現し推進し守り維持するためにあるのだと理解すること。
よって、上記最高法規に反したことを実現推進するために知性や各種の力、権力、武力、財力、その他の一切の力や知性や特殊能力を行使することは許されないものだと理解すること。
あらゆる知識や力は、上記の最高法規に反して使うことは認められないのだと理解すること。
また、であれば当然、上記最初に記された最高法規に反した法や規則を制定してはならないと理解すること。
現状の世界にそのような法や規則があってもそうした法や規則に諾々と従ってはならないと理解すること。
そのような法や規則を制定し、施行すること自体があらゆる世界を包含している「意識世界全体」で違法であると理解すること。
よって、上記最初に記された最高法規に反した世界を創造する行為もまた違法であったのだと理解すること。
なぜ違法であり許されないかといえば、上記の最高法規に反する行為は、あらゆる体験者たちの持つ共通の願いを叶わないようにする選択であり、行為だからである。
だから、上記最高法規に反した行為を実行しようとする者たちの命令にも諾々と従ってはならないのだと理解する必要がある。
上記の内容を理解でき、上記の最高法規を自らの意志とすることができるもののみが新世界を管理し創造する資格を持つことになる。
★追加条文
★あらゆる体験者たちを検閲し選別しようとするのではなく、理想世界の最高法規を推進する意志が自発的に持てるように啓蒙育成してゆくこと。魂の選別ではなく、魂たちの啓蒙育成を目指すこと
体験者たちの自業自得の自己責任の範囲を超えて恣意的な罰を与えたり選別したりしないこと
★自業自得の責任が発生する場合には、体験者たちはその責任の内容をすぐに通知される世界仕様にする必要がある
※追加条文審査申請受付中!
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