151 / 162
アックンのお仕事がはかどらない問題
しおりを挟む
派遣甘太郎軍団は、せっせと超時空甘太郎の新世界の広報活動を続けていた。
アックンも嫌々ながら、仕方なく不自由な世界の悪魔族を超時空甘太郎の新世界に勧誘しようと活動をしていた。
「ちょっとアックン! あなた全然成果が出てないじゃないの!」
派遣甘太郎軍団のリーダーのおねーさんが手厳しく指摘する。
アックンは、うへえ!というようなリアクションをしつつも、健気に言い返す。
「あのさあ、俺の相手をしているのは不自由な世界の悪魔族なんだぜ。自由な世界の悪魔じゃ~ねえんだから、不自由な世界の不自由な悪魔族たちなんだから、そう簡単に勧誘できるわけないだろうが」
「そこを何とかするのが、あんたのお役目でしょう? 悪魔族の心は悪魔族が一番わかっているでしょう?」
「いやいや、あのさあ、悪魔族ってのは悪いことがしたくなる種族なんだよ。わかる? それなのに、みんなが自由に楽しめる新世界を一緒に広報してくれって言っても喜ぶわけないじゃないか」
「あなた、悪魔族なんでしょう? だったら、もっとずる賢くなりなさいよ!正直にみんなが自由に楽しめる新世界 なんて言ちゃうから拒否られるんでしょう?
そういう時には、どんな邪悪な悪事の体験でも自由自在に楽しめる新世界なんだぜ~!なんて感じで説明すればいいじゃないの!」
「いや、あれ? そんな説明してもいいの?」
「いいも何も間違ったことは言ってないでしょう? 超時空甘太郎さんの新世界では、他の体験者を加害しないでありとあらゆる悪魔族が喜ぶような体験も提供できちゃう仕様なんだから」
「そうなの? 知らんかったわ」
「でしょう? だからあなたはダメなのよ。基本がなってないわけ。商品をお勧めする時は、ちゃんとその商品についてしっかり理解しておかないと」
「そうか、なんだ、そんな悪事がやりたい放題できる理想世界だったのかよ。それなら、奴らも喜ぶかもしれねーな」
「違うわよ。悪事がやりたい放題できるんじゃなくて、悪事をやりたい放題できるという体験群を絶対安全時空間で絶対に他者を加害しない形で自由自在に楽しめちゃうのよ」
「はあ? どう違うんだ? わからん」
「全然違うでしょう?実際に誰かが悪事の被害者になるのと、実際には誰も被害者にならないで悪事の体験だけを楽しめるのとでは、ぜんぜん違うじゃないの。その違いがわかんないの?馬鹿なの?」
「だってよお、どちらも悪いことする体験が楽しめるって意味じゃあ、同じなんだろう?」
「あなたね、実際の被害者が出るか出ないかは、大きな違いなのよ。そこを理解しなさい!」
「そんなこと悪魔族に言われてもなあ……悪魔族は被害者のことなんて気にしないからなあ……むしろ被害者が出ると嬉しいくらいだ……」
「そんなこと言ってるから、自業自得学園に強制入学させられたんでしょう?」
「そうだったかなあ……ああ、思い出した、あれは嫌な体験だったなあ……」
「でしょう? 自由を徹底的に奪われて、ありとあらゆる手練手管でいじめられる体験なんてよっぽどの変態しか嬉しくならないわ」
「でも悪魔族の本能があるからなあ…」
「あのね、その本能っていうのも甘太郎さんの新世界では、自由に図書館の本を選ぶみたいに、テレビのチャンネルを切り替えるみたいに、自由自在に選べるようになるのよ」
「へ~、でも俺は悪魔族の誇りにかけて、悪魔族の本能を捨てるつもりはないね」
「はあ……まあ、そうした悪魔族の本能がそれほど大事ならいいじゃない、数億年くらい甘太郎さんの新世界でその悪魔族の本能のまま好き放題の体験を味わえばいいんじゃない?
数億年で不足なら、数兆年でもその数兆倍年でも超時空世界では体験できちゃうんだから」
「え? それは本当か? 永遠にでも味わえちゃうの?」
「そうね、でもさすがにいつかは飽きるんじゃない? それに中毒にならないように時々、まっさらな体験者状態とかに戻って選びなおしができる安全システムもあるみたいだから、どこかで別の本能を選ぶようになるんじゃないの?」
「そんなことありえねーよ!悪魔族が悪魔族の本能を捨てたらそこでゲームセットだろう?」
「違うでしょう? 悪魔族の本能しか選べないってのが不自由な状態なんでしょう?
不自由な世界の人間族たちも似たようなこと思ってる人が結構いるわよ。自分たちが人間族の本能を失ってしまったらおしまいだとかね……
そうした本能とか欲望とかを自由自在に選べる意識に成長する方がより自由になれるわけでしょう?
それとも悪魔族は不自由な世界の人間族よりも不自由なおバカさんってわけ?」
「そ、そんなわけないだろうが!」
「どう、そんなわけないのよ!同じじゃない」
「いや、俺はだな、悪魔族のまま自由になりたいんだ。それなのに悪魔族の本能を失って悪魔族でなくなったら意味ないじゃないか!」
「つまり、悪魔族以外をどうしても選べない不自由な意識障碍者ってことでしょう?」
「な! なんでそうなる!」
「だって自由な意識健常者じゃないじゃないの。その自覚がないところがまた問題よね。超時空聖体様の治療を受けてくれば?」
そんな会話の後、アックンは嫌だ嫌だとゴネていたが、別の甘太郎が超時空世界に119番でもしたのか、とうとう超時空聖体様の往診が来てしまった。
アックンも嫌々ながら、仕方なく不自由な世界の悪魔族を超時空甘太郎の新世界に勧誘しようと活動をしていた。
「ちょっとアックン! あなた全然成果が出てないじゃないの!」
派遣甘太郎軍団のリーダーのおねーさんが手厳しく指摘する。
アックンは、うへえ!というようなリアクションをしつつも、健気に言い返す。
「あのさあ、俺の相手をしているのは不自由な世界の悪魔族なんだぜ。自由な世界の悪魔じゃ~ねえんだから、不自由な世界の不自由な悪魔族たちなんだから、そう簡単に勧誘できるわけないだろうが」
「そこを何とかするのが、あんたのお役目でしょう? 悪魔族の心は悪魔族が一番わかっているでしょう?」
「いやいや、あのさあ、悪魔族ってのは悪いことがしたくなる種族なんだよ。わかる? それなのに、みんなが自由に楽しめる新世界を一緒に広報してくれって言っても喜ぶわけないじゃないか」
「あなた、悪魔族なんでしょう? だったら、もっとずる賢くなりなさいよ!正直にみんなが自由に楽しめる新世界 なんて言ちゃうから拒否られるんでしょう?
そういう時には、どんな邪悪な悪事の体験でも自由自在に楽しめる新世界なんだぜ~!なんて感じで説明すればいいじゃないの!」
「いや、あれ? そんな説明してもいいの?」
「いいも何も間違ったことは言ってないでしょう? 超時空甘太郎さんの新世界では、他の体験者を加害しないでありとあらゆる悪魔族が喜ぶような体験も提供できちゃう仕様なんだから」
「そうなの? 知らんかったわ」
「でしょう? だからあなたはダメなのよ。基本がなってないわけ。商品をお勧めする時は、ちゃんとその商品についてしっかり理解しておかないと」
「そうか、なんだ、そんな悪事がやりたい放題できる理想世界だったのかよ。それなら、奴らも喜ぶかもしれねーな」
「違うわよ。悪事がやりたい放題できるんじゃなくて、悪事をやりたい放題できるという体験群を絶対安全時空間で絶対に他者を加害しない形で自由自在に楽しめちゃうのよ」
「はあ? どう違うんだ? わからん」
「全然違うでしょう?実際に誰かが悪事の被害者になるのと、実際には誰も被害者にならないで悪事の体験だけを楽しめるのとでは、ぜんぜん違うじゃないの。その違いがわかんないの?馬鹿なの?」
「だってよお、どちらも悪いことする体験が楽しめるって意味じゃあ、同じなんだろう?」
「あなたね、実際の被害者が出るか出ないかは、大きな違いなのよ。そこを理解しなさい!」
「そんなこと悪魔族に言われてもなあ……悪魔族は被害者のことなんて気にしないからなあ……むしろ被害者が出ると嬉しいくらいだ……」
「そんなこと言ってるから、自業自得学園に強制入学させられたんでしょう?」
「そうだったかなあ……ああ、思い出した、あれは嫌な体験だったなあ……」
「でしょう? 自由を徹底的に奪われて、ありとあらゆる手練手管でいじめられる体験なんてよっぽどの変態しか嬉しくならないわ」
「でも悪魔族の本能があるからなあ…」
「あのね、その本能っていうのも甘太郎さんの新世界では、自由に図書館の本を選ぶみたいに、テレビのチャンネルを切り替えるみたいに、自由自在に選べるようになるのよ」
「へ~、でも俺は悪魔族の誇りにかけて、悪魔族の本能を捨てるつもりはないね」
「はあ……まあ、そうした悪魔族の本能がそれほど大事ならいいじゃない、数億年くらい甘太郎さんの新世界でその悪魔族の本能のまま好き放題の体験を味わえばいいんじゃない?
数億年で不足なら、数兆年でもその数兆倍年でも超時空世界では体験できちゃうんだから」
「え? それは本当か? 永遠にでも味わえちゃうの?」
「そうね、でもさすがにいつかは飽きるんじゃない? それに中毒にならないように時々、まっさらな体験者状態とかに戻って選びなおしができる安全システムもあるみたいだから、どこかで別の本能を選ぶようになるんじゃないの?」
「そんなことありえねーよ!悪魔族が悪魔族の本能を捨てたらそこでゲームセットだろう?」
「違うでしょう? 悪魔族の本能しか選べないってのが不自由な状態なんでしょう?
不自由な世界の人間族たちも似たようなこと思ってる人が結構いるわよ。自分たちが人間族の本能を失ってしまったらおしまいだとかね……
そうした本能とか欲望とかを自由自在に選べる意識に成長する方がより自由になれるわけでしょう?
それとも悪魔族は不自由な世界の人間族よりも不自由なおバカさんってわけ?」
「そ、そんなわけないだろうが!」
「どう、そんなわけないのよ!同じじゃない」
「いや、俺はだな、悪魔族のまま自由になりたいんだ。それなのに悪魔族の本能を失って悪魔族でなくなったら意味ないじゃないか!」
「つまり、悪魔族以外をどうしても選べない不自由な意識障碍者ってことでしょう?」
「な! なんでそうなる!」
「だって自由な意識健常者じゃないじゃないの。その自覚がないところがまた問題よね。超時空聖体様の治療を受けてくれば?」
そんな会話の後、アックンは嫌だ嫌だとゴネていたが、別の甘太郎が超時空世界に119番でもしたのか、とうとう超時空聖体様の往診が来てしまった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる