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ビュッフェレストランに着いた俺達は席に案内され、各々が思い思いの食べ物や飲み物をテーブルに運んだ。
「よっしゃー! ニーフォさん! とりあえず食べれるだけ食べちゃって下さい。本当はそういうの見た目的によくないんですけど、今日はオッケーです。ガンガン行っちゃって下さい!」
三枝は沢山食べるのが久しぶりなのだろう。ヤケ気味というかテンションが少しおかしかったが、同時に凄く嬉しそうでもあった。
テーブルには食べ物が山積みになった皿がいくつも並んでいた。
「怒られないかな?」
俺は不安になって周りを見渡して言った。
「さて、これよりニーフォさんの歓迎会? 来日記念? を執り行います! オリガ先輩! 乾杯のやつお願いします!」
三枝は俺に乾杯の音頭をふって来た。
「えー、何はともあれこうしてニーフォさんと一緒の時間を共有出来るっていうのは私達にとっては凄く幸せというか嬉しい事であります。ニーフォさんは不安だったり緊張だったり、色々思う所もあるでしょう。ですが、これからは明るく楽しい未来が待っているので、うーんと、私達と一緒に! 楽しむ事だけを考えて行ってほしいと思いますッ! それではグラスを用意して頂いて、ニーフォさんの幸せをお祈りして、乾杯~!」
俺と三枝はグラスをニーフォのグラスに当てて飲み物を飲んだ。
ニーフォもそれに続いて飲み物を飲んだが、気絶しなかったし気絶しそうにもなっていなかった。
「え? なんなのこれ! なんの儀式?」
ニーフォは恥ずかしそうに慌てて言った。
「歓迎の挨拶ってやつですよ。で、いただきますってやつは、食べる前の挨拶なんです。私がいただきますって言ったら、いただきまーす! って元気よく言って下さいね。それじゃあ! いただきまーす!」
三枝は楽しそうに挨拶の説明をして元気よくいただきますと言った。
「いただきまーす!」
俺とニーフォも三枝に続いて元気よく言った。
美味しい物を食べる事に慣れていないのか、ニーフォはやはり何度か気絶しそうになったり気絶したりした。それを見て俺と三枝は腹を抱えて笑った。
それでも最後の方は味に慣れてパクパクと美味しそうに色々な料理やデザートを食べていた。
「さてさて、宴もたけなわではございますが、そろそろ次のおもてなし、行っちゃいましょう!」
三枝は意気揚々と言った。
「ニーフォさん、心残りはありませんか?」
「もう無理! もう食べれない!」
精霊の胃袋にも限界があるのだろうか。そのような疑問はさておきニーフォはとても苦しそうだったが、同時に嬉しそうでもあった。俺はそれを見てとても嬉しい気持ちになった。
会計を済ませてビュッフェレストランを出ると今度は三枝の運転で夜の東京をドライブした。
三枝はマシュマロンロンの曲を流した。
三枝と助手席に座っているニーフォはマシュマロンロンの曲で盛り上がっていた。
途中でギミギルの話題になるも、ニーフォはギミギルが人気だという事を信じようとしなかった。顔ファンがどうのこうのという説明はしようと思わなかった。ダサいし、人それぞれ好みの顔があるから説明した所でそれは栓のない話しなのだ。
俺は無性に寂しい気持ちになった。
「見て下さい、ニーフォさん! あれ先輩ですよ!」
三枝は正面に見える建物の看板を指さして言った。
三枝は気を使ったのか、俺が宣伝しているエナジードリンクの看板の前を通った。
「え! 本当だ! ハオ君じゃん!」
ニーフォは信じられないというような様子で声を荒らげた。
「宝石の山を見ると価値観がバグるのと一緒で、一見価値が無さそうな宝石だって意外と価値があったりするんだよ」
「あーはいはい、そういうの大丈夫なんで」
「ハオ君は普通の方が良い。そういうのはなんか嫌」
三枝もニーフォも俺の価値をだいぶ下に見ているようだった。
それからしばらく車を走らせた三枝は俺の家の駐車場に車を停めた。
俺達は車から降りずにニーフォの事について話し合った。
「先輩、ニーフォさん住む所どうするんですか?」
「とりあえず俺の家に住まわせようと思ってるんだけど」
三枝はビックリした顔をしてニーフォに抱きついた。
「ニーフォさんは私が面倒見ます」
「いや、俺の責任だから」
「楓、私を連れて来た責任を少しでもハオ君に取らせたいから大丈夫だよ」
ニーフォは俺に続いて言った。
「責任ねぇ。面白い話しをしているね。私も混ぜてくれよ」
急に俺の隣から見知らぬ男性の声が聞こえて来て、心臓が止まるほど身の毛がよだつ思いをした俺は後部座席で腰を抜かした。だが、ただならぬ気配を感じた俺は鍵がかかっている車の中にいるという事以前に、隣に座っている男性が精霊なのだとはっきり分かった。
精霊は俺と同じくらいの身長で、白髪の長い髪をオールバックにしてドレッドヘアーのようにしていた。肌は限りなく白に近い色で、目は見た事もないくらい美しい澄んだ青色をしていた。
「私はハオ・オリガです。ニーフォさんはもう死にました。だからとりあえず代わりの精霊をまた入れて下さい」
「ハオ君ね。私は地球の精霊だ。君の言いたい事は分かるよ。だけど、そういうわけにはいかない。私や国の精霊は特別でね。惑星、国ごとに1人までしか存在出来ない。それ以上増やそうとすると存在自体が消えてしまうんだ。それに仮にそれが出来たとして、代わりの精霊は見捨てるのかい?」
三枝とニーフォは気を失っているのか黙ったまま動かなかった。
「……ニーフォさんが苦しまずに済む方法ないんですか?」
「ないな。あの空間でニーフォに侵入者を排除してもらうやり方しかない」
「なんでそもそも出入り口のような物を作ったんですか?」
「それは分からない。私が作ったわけじゃないし、地球が生まれたときからあったからね。台風さながらあちこちに自然発生的に出現して消えて。そういう物なんだよ」
「本当に誰かが命をかけて守るやり方しか道はないんですか?」
「うん、他の精霊でも良いけど、国の精霊じゃないと確実に侵入者を排除出来ないんだ。だからこそ、君が排除されなかった原因を知りたいよね」
「知らないですよ。排除どころか談笑してましたよ。うまく機能してないんじゃないですか?」
「笑えないね。君、先に進もうとしたかい?」
「はい。なんかあのときのニーフォさん少し雰囲気が怖かったです」
「怖かったねぇ。普通なら入った時点で排除しようとするし、先に進もうとした時点で消されるはずなんだ。それが談笑してたと来たもんな。まいったよ」
「消される? 存在を?」
「そう、入ってすぐ出口に押し戻されるような動きをするんだから、進もうと思ったら当然かいくぐろうとするだろ? それをすると消される」
「ニーフォさんはそんな人じゃないですよ」
「ニーフォは排除するときも消すときも瞬間的に意識を失ってるんだろ。気づいてないだけで結構消してるよ。君だけなんでそういう事になってるんだろう。心当たりはあるかい?」
「俺が入る前、お金を落として、それが先に入ったんです。で、俺が入って、そしたらニーフォさんがその俺の落としたお金で遊んでたんです」
俺はその瞬間、自分は正しい入り方をしたんじゃないのか? という考えが頭をよぎった。
勿論確証はない。だが、俺以外の人間が排除されて俺だけが排除されないのはどう考えてもおかしい。正解の入り方間違った入り方なんて分からないし、俺が入ったやり方が他で通じるとは思えないが、とにかくあのとき俺は正しい入り方をした。俺はそう思った。
地球の精霊もニーフォのようにどういう理屈で外から人が来るのかとか、細かい事は全然分からないらしい。
「う~ん、それが原因とは思えないな。やっぱり私の体調がすこぶる悪いのが原因らしい」
「あなたの体調と何が関係あるんですか?」
「私のパワーが強すぎてね。基本的に自分の世界から出る事はしないんだよ。私のパワーが原因で他の精霊に影響を与えてしまうと地球全体の問題になる。だけど私には精霊達を見守って必要ならコントロールしないといけない役目があるんだ。だからパワーを抑えて、たまに自分の世界から出るんだけどパワーを抑えるのが最近しんどくて。自分の世界から出る頻度が減ったし、出てもパワーを完全に抑えられてない。そのせいで精霊達になんらかの影響を及ぼしてるのかもしれない。昔は全てをコントロールした気になってた。それだけ体調が良かったんだよ。それが今では悪循環に陥ってる酷い有様さ」
「私の前に現れたのと、何か関係があるんですか?」
「勿論。ただ君に愚痴を言いに来たわけじゃないんだよ。提案しに来たんだ。君にしか出来ない事なんだ」
「提案ですか?」
「うん、精霊になってもらいたいんだ。ハオ・オリガの精霊と言うべきかな。自分自身の精霊になるんだ」
「お、俺が俺の精霊に?」
「ああ、精霊になって他の精霊達の機嫌を見てうまく取り繕ってほしい。ニーフォにしているのと同じ事を他の精霊達にするだけで良いんだ。それがうまく行けば私の体調はよくなるだろう」
「それがコントロールってやつなんですね。俺で良いなら引き受けますけど、お願いがあります。ニーフォさんをどうにかして下さい」
「大丈夫。ニーフォが退屈しないように様子を見て、たまに君が役目を代わってあげれば良いんだ」
「国の精霊じゃないと確実に侵入者を排除出来ないんですよね? 大丈夫なんですか?」
「自分自身の精霊になるという事はつまり、もう1人精霊の君が存在するという事なんだ。私やニーフォに実体のような物があるように、全ての精霊には実体のような物がある。それを利用するんだ。君は人間の状態であの空間の出入り口のそばで待機する。誰かが侵入するのと同時に人間の君は君の精霊を侵入者に思い切りぶつけるんだ。そうすれば必ず追い出せる」
「俺は2人になれるんですか?」
「ああ、どちらも君自身だから精霊を出した状態に慣れるまで時間がかかるだろうけどね」
「分かりました。あなたが必ずと言うのだから必ずなんでしょう。それにしてもあなたも意地が悪いですね。あるじゃないですか。ニーフォさんが苦しまなくて済む方法」
「あの空間から逃れる事は出来ないのだから苦しい事に変わりはない。考え方によってはむしろ苦しさが増すと言って良いだろう。精霊になるとは言え、君には寿命がある。そしてニーフォにはない。仲よくなればなるほど失ったとき苦しい。君にもニーフォにも苦しい思いをさせてしまうが、それでも地球のためにお願いしに来たんだ。なんせこんな機会は二度とないだろうからね改めて聞くが、やってくれるか」
「あの何もない空間にずっといるよりマシなはずなんです。やります。俺がいなくなっても退屈しないようにみっちり指導してやりますよ!」
「フフ、それは頼もしいな。ありがとう、助かるよ」
「今更このタイミングで聞くのもなんですけど、三枝とニーフォさんは今どういう状態なんです?」
「三枝という子は気絶のような状態かな。意識がないというか。私達の会話は聞こえていない。ニーフォは私達の会話を聞く事しか出来ない状態だね。出来るだけ早くあっちに戻りたいんだ」
「そうなんですね。すみません。最後に、ニーフォさんが外に出た事で何か影響とかってあるんですか? ニーフォさんが心配してました。それに俺が影響を与える事って何かあるんですか?」
「特にないな。影響を与える精霊もいるけど、ニーフォは大丈夫。それに君もね」
「ありがとうございます。それじゃあ精霊にしちゃって下さい!」
「ああ、急かしてしまって申し訳ない。じゃあ君を精霊にするよ」
地球の精霊はそう言うと俺の頭に手を乗せて目を瞑り発光した。3000ルーメンくらいありそうだった。物凄く眩しくて俺は思わず目を閉じてしまった。
発光がおさまって目を開けたときにはもう地球の精霊の姿はなかった。
「え~大丈夫かなぁ……先輩! ニーフォさんに変な事したら承知しませんからね。八つ裂きです。八つ裂き。ニーフォさん何かあったら言って下さい! たまに様子見に来るんで」
「あ、ありがとう! でも大丈夫。私が八つ裂きにするから」
「なんで俺君達の敵みたいになってんの?」
そのようなやりとりをして三枝とは車内で挨拶をして別れた。
その後ニーフォは俺の家に入るのを何故か拒むのでガレージで話し合う事にした。
「俺さ、あっちの世界へ行く方法聞くの忘れてましたよ」
「大丈夫。鍵は私が貰ったから」
ニーフォは俺の車の鍵に付いているリングに人差し指を通してクルクルと回しながら言った。
「いやいや、俺の車の鍵ですよね? いつの間に盗んだんですか?」
「アンタの車の鍵なんか盗んでどうすんのよ……これはあっちの世界へ行く鍵であって、アンタの車の鍵じゃないの! ちゃんと確認しなさい。アンタのはちゃんとあるはずよ」
俺がビックリするとニーフォは呆れた顔をして言った。
俺は念のためポケットを探った。
ポケットの中をいくら探っても鍵はなかった。
「ないんですけど」
「え? そんな事ないでしょ。ちゃんと探しなさいよ」
ニーフォは少し動揺した。
「いや、ないですね。やっぱりそれですよ」
ニーフォの持っている鍵を指さして言うと、ニーフォは慌てて俺の車の鍵のスイッチを押してロックを解除した。
『やっぱり盗んでるじゃないですか!』言葉が出かかったが、ニーフォが車の後部座席に乗り込むのを黙って見送った。
「繋がってる!」
「え……」
乗り込んだ瞬間にニーフォはドアから顔だけを出して叫んだ。
それを聞いて俺も車に乗り込んだ。
すると、車内は暗く全体が横に伸びていて、道になっているようだった。
俺達が乗り込んだ右側のドアから左のドアまで6メートルはありそうだった。
左のドアの外から例の狭いビルの1階のような雰囲気の薄暗い空間が見えた。
「車が出入り口になってるんだ」
「嘘でしょ? もうこの車乗れないって事?」
ニーフォの冷たい言葉を聞いて不安になった俺は車から飛び出て、自宅に保管してあるスペアキーを持ち出し、ガレージに戻った。
一旦ニーフォを外に出して鍵を借りた俺はそれで車の鍵をロックした。
スペアキーでロックを解除して車に乗り込むといつも通りの車内だった。
「何やってんのよ?」
「いや、確認してたんだ。こっちの鍵で開けるとなんともなかった」
「ふーん。そんな事より、それ、こっちに来るための鍵はハオ君が持ってなよ」
ニーフォは俺が持っている鍵を指さして言った。
「はい。あの、ニーフォさん、どうします? 俺んち来ないんだったら一旦帰っちゃいます?」
「だから、そんな余裕あるわけないじゃない。もう戻るわよ」
ニーフォは寂しそうな顔をした。
俺はスペアではない方のキーでロックを解除した。
すると、ニーフォが車に乗り込んだので俺も後に続いた。
「俺と代わるときですけど、三枝に面倒見て貰って下さい。ここに来るように言っておきますんで」
「うん、ありがとう。ハオ君……あなたが来てくれてよかった。私に希望を与えてくれたのはあなたよ。今日生まれて初めて精霊になれた気がした。本当にありがとう」
ニーフォは涙を浮かべながら笑顔で言った。
「いえ、俺はその笑顔を絶やしたくなかっただけなんです。ニーフォさんはニーフォさんでいて下さい。それが俺の生きる希望なんです。一緒に生きましょう」
ニーフォは溢れる涙を両手で拭い、俺に手を振って精霊の世界へ帰って行った。
エピローグ
精霊になった俺のファンタジックでスピリチュアルなストーリーが動き始めたかのように思えたが、仕事をして、食べて、寝て、それを繰り返した。
兵役の件は元々ドッキリだったのだろうが、とにかくファン達の働きかけのおかげで行かずに済んだ。
たまにニーフォの様子を見に行くが『仲よくなればなるほど失ったとき苦しい』地球の精霊が言った言葉を気にしてか、こっちの世界に来たがらなかった。無論他の精霊達の様子も見に行かなければならない。分かっていても気乗りしなかった。ニーフォが気乗りしない状態だから、なんかテンションが上がらないという事を言い訳にしている所もあるのだけれども、人と関わるのにはそれなりの心の準備が必要なのだ。精霊も例外ではない。
準備が出来た気になっていたが、実際は出来ていなかった。
例えば、旅行の準備をしても旅行先で強盗に遭ったら楽しめないし、もっと酷いトラブルに巻き込まれれば旅行どころではなくなる。それと似ていて、過去を振り返るとそんな事ばかりだった。主旨というか、目的から大きく遠ざかって決まって悲しい思いをする。
例えそのような現実を受け入れたとしても、大抵の場合目的を果たしたいという熱心な気持ちは冷え切っているから当然無心で体を動かす。そして目的などどうでもよくなる。
あのどうしようもない虚無感を想像しただけで死にたい気持ちになった。それでも俺はニーフォや精霊や地球に住んでいる人の笑顔を守りたい。それが自分の役目だ。
何より現実を受け入れる受け入れない以前に、ニーフォの事を思うと耐えられなかった。
今までと変わらないが、良い意味で自分の事なんてどうでも良いという気持ちになった。
『与えられた役目や役割を果たしてるっていうか、こなしてる人は本当に尊敬します』
ふと、思い上がりも甚だしいとことん愚かでとことん恥ずかしいセリフを思い出した。
準備は近い内に整う。そう確信した。
きっと日常系アニメのような平凡なストーリーが死ぬまで展開するのだろう。
「よっしゃー! ニーフォさん! とりあえず食べれるだけ食べちゃって下さい。本当はそういうの見た目的によくないんですけど、今日はオッケーです。ガンガン行っちゃって下さい!」
三枝は沢山食べるのが久しぶりなのだろう。ヤケ気味というかテンションが少しおかしかったが、同時に凄く嬉しそうでもあった。
テーブルには食べ物が山積みになった皿がいくつも並んでいた。
「怒られないかな?」
俺は不安になって周りを見渡して言った。
「さて、これよりニーフォさんの歓迎会? 来日記念? を執り行います! オリガ先輩! 乾杯のやつお願いします!」
三枝は俺に乾杯の音頭をふって来た。
「えー、何はともあれこうしてニーフォさんと一緒の時間を共有出来るっていうのは私達にとっては凄く幸せというか嬉しい事であります。ニーフォさんは不安だったり緊張だったり、色々思う所もあるでしょう。ですが、これからは明るく楽しい未来が待っているので、うーんと、私達と一緒に! 楽しむ事だけを考えて行ってほしいと思いますッ! それではグラスを用意して頂いて、ニーフォさんの幸せをお祈りして、乾杯~!」
俺と三枝はグラスをニーフォのグラスに当てて飲み物を飲んだ。
ニーフォもそれに続いて飲み物を飲んだが、気絶しなかったし気絶しそうにもなっていなかった。
「え? なんなのこれ! なんの儀式?」
ニーフォは恥ずかしそうに慌てて言った。
「歓迎の挨拶ってやつですよ。で、いただきますってやつは、食べる前の挨拶なんです。私がいただきますって言ったら、いただきまーす! って元気よく言って下さいね。それじゃあ! いただきまーす!」
三枝は楽しそうに挨拶の説明をして元気よくいただきますと言った。
「いただきまーす!」
俺とニーフォも三枝に続いて元気よく言った。
美味しい物を食べる事に慣れていないのか、ニーフォはやはり何度か気絶しそうになったり気絶したりした。それを見て俺と三枝は腹を抱えて笑った。
それでも最後の方は味に慣れてパクパクと美味しそうに色々な料理やデザートを食べていた。
「さてさて、宴もたけなわではございますが、そろそろ次のおもてなし、行っちゃいましょう!」
三枝は意気揚々と言った。
「ニーフォさん、心残りはありませんか?」
「もう無理! もう食べれない!」
精霊の胃袋にも限界があるのだろうか。そのような疑問はさておきニーフォはとても苦しそうだったが、同時に嬉しそうでもあった。俺はそれを見てとても嬉しい気持ちになった。
会計を済ませてビュッフェレストランを出ると今度は三枝の運転で夜の東京をドライブした。
三枝はマシュマロンロンの曲を流した。
三枝と助手席に座っているニーフォはマシュマロンロンの曲で盛り上がっていた。
途中でギミギルの話題になるも、ニーフォはギミギルが人気だという事を信じようとしなかった。顔ファンがどうのこうのという説明はしようと思わなかった。ダサいし、人それぞれ好みの顔があるから説明した所でそれは栓のない話しなのだ。
俺は無性に寂しい気持ちになった。
「見て下さい、ニーフォさん! あれ先輩ですよ!」
三枝は正面に見える建物の看板を指さして言った。
三枝は気を使ったのか、俺が宣伝しているエナジードリンクの看板の前を通った。
「え! 本当だ! ハオ君じゃん!」
ニーフォは信じられないというような様子で声を荒らげた。
「宝石の山を見ると価値観がバグるのと一緒で、一見価値が無さそうな宝石だって意外と価値があったりするんだよ」
「あーはいはい、そういうの大丈夫なんで」
「ハオ君は普通の方が良い。そういうのはなんか嫌」
三枝もニーフォも俺の価値をだいぶ下に見ているようだった。
それからしばらく車を走らせた三枝は俺の家の駐車場に車を停めた。
俺達は車から降りずにニーフォの事について話し合った。
「先輩、ニーフォさん住む所どうするんですか?」
「とりあえず俺の家に住まわせようと思ってるんだけど」
三枝はビックリした顔をしてニーフォに抱きついた。
「ニーフォさんは私が面倒見ます」
「いや、俺の責任だから」
「楓、私を連れて来た責任を少しでもハオ君に取らせたいから大丈夫だよ」
ニーフォは俺に続いて言った。
「責任ねぇ。面白い話しをしているね。私も混ぜてくれよ」
急に俺の隣から見知らぬ男性の声が聞こえて来て、心臓が止まるほど身の毛がよだつ思いをした俺は後部座席で腰を抜かした。だが、ただならぬ気配を感じた俺は鍵がかかっている車の中にいるという事以前に、隣に座っている男性が精霊なのだとはっきり分かった。
精霊は俺と同じくらいの身長で、白髪の長い髪をオールバックにしてドレッドヘアーのようにしていた。肌は限りなく白に近い色で、目は見た事もないくらい美しい澄んだ青色をしていた。
「私はハオ・オリガです。ニーフォさんはもう死にました。だからとりあえず代わりの精霊をまた入れて下さい」
「ハオ君ね。私は地球の精霊だ。君の言いたい事は分かるよ。だけど、そういうわけにはいかない。私や国の精霊は特別でね。惑星、国ごとに1人までしか存在出来ない。それ以上増やそうとすると存在自体が消えてしまうんだ。それに仮にそれが出来たとして、代わりの精霊は見捨てるのかい?」
三枝とニーフォは気を失っているのか黙ったまま動かなかった。
「……ニーフォさんが苦しまずに済む方法ないんですか?」
「ないな。あの空間でニーフォに侵入者を排除してもらうやり方しかない」
「なんでそもそも出入り口のような物を作ったんですか?」
「それは分からない。私が作ったわけじゃないし、地球が生まれたときからあったからね。台風さながらあちこちに自然発生的に出現して消えて。そういう物なんだよ」
「本当に誰かが命をかけて守るやり方しか道はないんですか?」
「うん、他の精霊でも良いけど、国の精霊じゃないと確実に侵入者を排除出来ないんだ。だからこそ、君が排除されなかった原因を知りたいよね」
「知らないですよ。排除どころか談笑してましたよ。うまく機能してないんじゃないですか?」
「笑えないね。君、先に進もうとしたかい?」
「はい。なんかあのときのニーフォさん少し雰囲気が怖かったです」
「怖かったねぇ。普通なら入った時点で排除しようとするし、先に進もうとした時点で消されるはずなんだ。それが談笑してたと来たもんな。まいったよ」
「消される? 存在を?」
「そう、入ってすぐ出口に押し戻されるような動きをするんだから、進もうと思ったら当然かいくぐろうとするだろ? それをすると消される」
「ニーフォさんはそんな人じゃないですよ」
「ニーフォは排除するときも消すときも瞬間的に意識を失ってるんだろ。気づいてないだけで結構消してるよ。君だけなんでそういう事になってるんだろう。心当たりはあるかい?」
「俺が入る前、お金を落として、それが先に入ったんです。で、俺が入って、そしたらニーフォさんがその俺の落としたお金で遊んでたんです」
俺はその瞬間、自分は正しい入り方をしたんじゃないのか? という考えが頭をよぎった。
勿論確証はない。だが、俺以外の人間が排除されて俺だけが排除されないのはどう考えてもおかしい。正解の入り方間違った入り方なんて分からないし、俺が入ったやり方が他で通じるとは思えないが、とにかくあのとき俺は正しい入り方をした。俺はそう思った。
地球の精霊もニーフォのようにどういう理屈で外から人が来るのかとか、細かい事は全然分からないらしい。
「う~ん、それが原因とは思えないな。やっぱり私の体調がすこぶる悪いのが原因らしい」
「あなたの体調と何が関係あるんですか?」
「私のパワーが強すぎてね。基本的に自分の世界から出る事はしないんだよ。私のパワーが原因で他の精霊に影響を与えてしまうと地球全体の問題になる。だけど私には精霊達を見守って必要ならコントロールしないといけない役目があるんだ。だからパワーを抑えて、たまに自分の世界から出るんだけどパワーを抑えるのが最近しんどくて。自分の世界から出る頻度が減ったし、出てもパワーを完全に抑えられてない。そのせいで精霊達になんらかの影響を及ぼしてるのかもしれない。昔は全てをコントロールした気になってた。それだけ体調が良かったんだよ。それが今では悪循環に陥ってる酷い有様さ」
「私の前に現れたのと、何か関係があるんですか?」
「勿論。ただ君に愚痴を言いに来たわけじゃないんだよ。提案しに来たんだ。君にしか出来ない事なんだ」
「提案ですか?」
「うん、精霊になってもらいたいんだ。ハオ・オリガの精霊と言うべきかな。自分自身の精霊になるんだ」
「お、俺が俺の精霊に?」
「ああ、精霊になって他の精霊達の機嫌を見てうまく取り繕ってほしい。ニーフォにしているのと同じ事を他の精霊達にするだけで良いんだ。それがうまく行けば私の体調はよくなるだろう」
「それがコントロールってやつなんですね。俺で良いなら引き受けますけど、お願いがあります。ニーフォさんをどうにかして下さい」
「大丈夫。ニーフォが退屈しないように様子を見て、たまに君が役目を代わってあげれば良いんだ」
「国の精霊じゃないと確実に侵入者を排除出来ないんですよね? 大丈夫なんですか?」
「自分自身の精霊になるという事はつまり、もう1人精霊の君が存在するという事なんだ。私やニーフォに実体のような物があるように、全ての精霊には実体のような物がある。それを利用するんだ。君は人間の状態であの空間の出入り口のそばで待機する。誰かが侵入するのと同時に人間の君は君の精霊を侵入者に思い切りぶつけるんだ。そうすれば必ず追い出せる」
「俺は2人になれるんですか?」
「ああ、どちらも君自身だから精霊を出した状態に慣れるまで時間がかかるだろうけどね」
「分かりました。あなたが必ずと言うのだから必ずなんでしょう。それにしてもあなたも意地が悪いですね。あるじゃないですか。ニーフォさんが苦しまなくて済む方法」
「あの空間から逃れる事は出来ないのだから苦しい事に変わりはない。考え方によってはむしろ苦しさが増すと言って良いだろう。精霊になるとは言え、君には寿命がある。そしてニーフォにはない。仲よくなればなるほど失ったとき苦しい。君にもニーフォにも苦しい思いをさせてしまうが、それでも地球のためにお願いしに来たんだ。なんせこんな機会は二度とないだろうからね改めて聞くが、やってくれるか」
「あの何もない空間にずっといるよりマシなはずなんです。やります。俺がいなくなっても退屈しないようにみっちり指導してやりますよ!」
「フフ、それは頼もしいな。ありがとう、助かるよ」
「今更このタイミングで聞くのもなんですけど、三枝とニーフォさんは今どういう状態なんです?」
「三枝という子は気絶のような状態かな。意識がないというか。私達の会話は聞こえていない。ニーフォは私達の会話を聞く事しか出来ない状態だね。出来るだけ早くあっちに戻りたいんだ」
「そうなんですね。すみません。最後に、ニーフォさんが外に出た事で何か影響とかってあるんですか? ニーフォさんが心配してました。それに俺が影響を与える事って何かあるんですか?」
「特にないな。影響を与える精霊もいるけど、ニーフォは大丈夫。それに君もね」
「ありがとうございます。それじゃあ精霊にしちゃって下さい!」
「ああ、急かしてしまって申し訳ない。じゃあ君を精霊にするよ」
地球の精霊はそう言うと俺の頭に手を乗せて目を瞑り発光した。3000ルーメンくらいありそうだった。物凄く眩しくて俺は思わず目を閉じてしまった。
発光がおさまって目を開けたときにはもう地球の精霊の姿はなかった。
「え~大丈夫かなぁ……先輩! ニーフォさんに変な事したら承知しませんからね。八つ裂きです。八つ裂き。ニーフォさん何かあったら言って下さい! たまに様子見に来るんで」
「あ、ありがとう! でも大丈夫。私が八つ裂きにするから」
「なんで俺君達の敵みたいになってんの?」
そのようなやりとりをして三枝とは車内で挨拶をして別れた。
その後ニーフォは俺の家に入るのを何故か拒むのでガレージで話し合う事にした。
「俺さ、あっちの世界へ行く方法聞くの忘れてましたよ」
「大丈夫。鍵は私が貰ったから」
ニーフォは俺の車の鍵に付いているリングに人差し指を通してクルクルと回しながら言った。
「いやいや、俺の車の鍵ですよね? いつの間に盗んだんですか?」
「アンタの車の鍵なんか盗んでどうすんのよ……これはあっちの世界へ行く鍵であって、アンタの車の鍵じゃないの! ちゃんと確認しなさい。アンタのはちゃんとあるはずよ」
俺がビックリするとニーフォは呆れた顔をして言った。
俺は念のためポケットを探った。
ポケットの中をいくら探っても鍵はなかった。
「ないんですけど」
「え? そんな事ないでしょ。ちゃんと探しなさいよ」
ニーフォは少し動揺した。
「いや、ないですね。やっぱりそれですよ」
ニーフォの持っている鍵を指さして言うと、ニーフォは慌てて俺の車の鍵のスイッチを押してロックを解除した。
『やっぱり盗んでるじゃないですか!』言葉が出かかったが、ニーフォが車の後部座席に乗り込むのを黙って見送った。
「繋がってる!」
「え……」
乗り込んだ瞬間にニーフォはドアから顔だけを出して叫んだ。
それを聞いて俺も車に乗り込んだ。
すると、車内は暗く全体が横に伸びていて、道になっているようだった。
俺達が乗り込んだ右側のドアから左のドアまで6メートルはありそうだった。
左のドアの外から例の狭いビルの1階のような雰囲気の薄暗い空間が見えた。
「車が出入り口になってるんだ」
「嘘でしょ? もうこの車乗れないって事?」
ニーフォの冷たい言葉を聞いて不安になった俺は車から飛び出て、自宅に保管してあるスペアキーを持ち出し、ガレージに戻った。
一旦ニーフォを外に出して鍵を借りた俺はそれで車の鍵をロックした。
スペアキーでロックを解除して車に乗り込むといつも通りの車内だった。
「何やってんのよ?」
「いや、確認してたんだ。こっちの鍵で開けるとなんともなかった」
「ふーん。そんな事より、それ、こっちに来るための鍵はハオ君が持ってなよ」
ニーフォは俺が持っている鍵を指さして言った。
「はい。あの、ニーフォさん、どうします? 俺んち来ないんだったら一旦帰っちゃいます?」
「だから、そんな余裕あるわけないじゃない。もう戻るわよ」
ニーフォは寂しそうな顔をした。
俺はスペアではない方のキーでロックを解除した。
すると、ニーフォが車に乗り込んだので俺も後に続いた。
「俺と代わるときですけど、三枝に面倒見て貰って下さい。ここに来るように言っておきますんで」
「うん、ありがとう。ハオ君……あなたが来てくれてよかった。私に希望を与えてくれたのはあなたよ。今日生まれて初めて精霊になれた気がした。本当にありがとう」
ニーフォは涙を浮かべながら笑顔で言った。
「いえ、俺はその笑顔を絶やしたくなかっただけなんです。ニーフォさんはニーフォさんでいて下さい。それが俺の生きる希望なんです。一緒に生きましょう」
ニーフォは溢れる涙を両手で拭い、俺に手を振って精霊の世界へ帰って行った。
エピローグ
精霊になった俺のファンタジックでスピリチュアルなストーリーが動き始めたかのように思えたが、仕事をして、食べて、寝て、それを繰り返した。
兵役の件は元々ドッキリだったのだろうが、とにかくファン達の働きかけのおかげで行かずに済んだ。
たまにニーフォの様子を見に行くが『仲よくなればなるほど失ったとき苦しい』地球の精霊が言った言葉を気にしてか、こっちの世界に来たがらなかった。無論他の精霊達の様子も見に行かなければならない。分かっていても気乗りしなかった。ニーフォが気乗りしない状態だから、なんかテンションが上がらないという事を言い訳にしている所もあるのだけれども、人と関わるのにはそれなりの心の準備が必要なのだ。精霊も例外ではない。
準備が出来た気になっていたが、実際は出来ていなかった。
例えば、旅行の準備をしても旅行先で強盗に遭ったら楽しめないし、もっと酷いトラブルに巻き込まれれば旅行どころではなくなる。それと似ていて、過去を振り返るとそんな事ばかりだった。主旨というか、目的から大きく遠ざかって決まって悲しい思いをする。
例えそのような現実を受け入れたとしても、大抵の場合目的を果たしたいという熱心な気持ちは冷え切っているから当然無心で体を動かす。そして目的などどうでもよくなる。
あのどうしようもない虚無感を想像しただけで死にたい気持ちになった。それでも俺はニーフォや精霊や地球に住んでいる人の笑顔を守りたい。それが自分の役目だ。
何より現実を受け入れる受け入れない以前に、ニーフォの事を思うと耐えられなかった。
今までと変わらないが、良い意味で自分の事なんてどうでも良いという気持ちになった。
『与えられた役目や役割を果たしてるっていうか、こなしてる人は本当に尊敬します』
ふと、思い上がりも甚だしいとことん愚かでとことん恥ずかしいセリフを思い出した。
準備は近い内に整う。そう確信した。
きっと日常系アニメのような平凡なストーリーが死ぬまで展開するのだろう。
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