平穏な生活があれば私はもう満足です。

火あぶりメロン

文字の大きさ
55 / 187

54 目標達成?

しおりを挟む
(一応ね、今日は俺の高校《王都》デビューの日。初めて素顔で王都を歩く休日だ。わかるよ、もう王都の大勢の人々の前で派手に“デビュー”したよね!こんなデビューは望んでないけど!!いやいや、ネガティブはやめよう!俺は椿ちゃんの膝枕権を手に入れたんだ!……何故だろう……目から鼻水が止まらない。)

俺はこんな複雑な感情を抱えながら、闘技場の控室へ戻った。

控室に戻ると、俺の正体を知るデニスさんとドリューさんの祝辞を受けた。そして、すぐに王城に戻るよう促され、馬車が既に用意されていた。

教会の鐘の音が聞こえる――もう午後4時か。どうやら今日は冒険者ギルドや買い物に行く時間はなさそうだ。ドリューさんに頼んで、完成したメガネをマリアンヌに渡してもらい、薬草代は来週受け取りに行くと伝言をお願いした。

その後、俺はデニスさんと共に王城へ向かった。城に到着すると、すぐに謁見の間へ通された。ああ、そういえば王様は貴族たちに、決闘後に説明すると言っていたな。

謁見の間に入り、両サイドには貴族たちが並び、玉座には王様。その側には宰相、騎士団長、魔道士団長が控えている。そして俺は、先ほどと同じように王の前に跪いた。

「王国貴族魔法学園の研究員、アイリス。ただ今戻りました。」
「よい、面をあげよ。」
「ありがとうございます。」
「では、この場で今日の昼、勇者たちへの対応と先ほどの決闘について説明しよう。簡単に言うと――昼の謁見からこの決闘まで、すべて我々の策だ。」

「何と!」「まさか!」

ざわ…ざわ…

そのとき、俺の左側にいる一番前のおじさが声を上げた。

「陛下!質問がございます。」
「エドキンズ侯爵、発言を許す。」
「この策により、迷惑な勇者たちが大勢の証人の前で勇者を辞めることができた点は理解します。しかし、この策の最も大きな問題点は、彼女一人で金ランクの勇者4人を倒せるという前提です。何故陛下はアイリスの実力をそこまで信じられるのでしょうか?」
「そうだな……まず、これは賭けだ。彼女の髪の色を見れば、珍しい魔力の持ち主だとすぐに分かるだろう。そんな彼女は常に悪意を持つ者たちに狙われてきた。だから我は、彼女が安心して生活できる環境を提供しているだけだ。彼女も恩返しとして学園で研究員として働いている。そして、その強さを引き出したのは魔道士団長の功績だ。」

おお~~~っと、謁見の間のBGMになった、貴族たちの驚いた声が聞こえてきた。

「しかし、その謎のファイヤーボールとウォーターボールとは一体……?」
「我も知らん。以前、魔道士団長に確認したところ、ホントにただのファイヤーボールとウォーターボールだそうだ。彼女の魔力によって変質したと思われるが、実は攻撃力はない。これも彼女にしか使えない魔法だ。」

「団長と話し合った結果、防御特化型のアイリスが、あの愚かな勇者たちを心理的に追い詰める戦術を取れば勝てる可能性があるという結論に至ったのだ。未知の魔法を使えば、彼らの精神的な余裕を奪えると考えた。だからこの策を立てたのだ。元々は、万一彼女が負けた場合、謝罪や賠償金で解決するつもりだったが……。まさか、あの勇者がこんな無礼な要求をするとは我も予想していなかった。済まなかったな、アイリス。」
「いいえ、運良く陛下の策がうまくハマりましたので、問題ありませんでした。」
「なるほど……だから昼の謁見では彼女はあのような態度で勇者たちを挑発したのですね。では、私の質問は以上です。」
「フム。言うまでもないが、もしこのまま勇者たちを放置して、あいつらが魔の森で創造神の使者様や神竜様を怒らせたら……その結末は君たちにも分かるだろう。だから、我はこのような無謀な賭けに出たのだ。」

貴族たちは「お~」としか言わなかった。そして今度は、先ほどからずっと悪い顔で俺を見ている右側手前の肥った貴族が王様へ質問を投げかけた。

「陛下!自分にも質問がございます。」
「ヒルトン侯爵、発言を許す。」
「この娘がこれほどの実力を持っているなら、なぜ軍に所属しないのでしょうか。」
「彼女が使える魔法は、先ほど見たあの魔法だけだ。決闘には役立つように見えるが、戦闘には向いていない。それに、その特異な魔力の影響で、彼女の身体は弱い。我は戦いたくない者に軍属を強制するつもりはない。」
「では、彼女は平民だと伺いましたが、今回の件でさらに目立つ存在となり、危険にさらされるのではないでしょうか。僭越ながら、彼女を私の養女とすれば、確実に守ることができます。」

いや~~~!このデブはずっとイヤらしい視線で俺を見ているし、絶対別の目的があるだろう。バカでもその顔を見れば分かる。あっ、王様が呆れた表情をした……なるほど、以前話題に上がった例の貴族ってこのバカデブのことか。

「ヒルトン侯爵、そなたは我がひとりの平民すら守ることができないと言いたいのか?」
「いえ、滅相もございません。」
「アイリスは珍しい魔力を持つ者であり、平民でこの美貌だ。だから我は数年前からずっと彼女のことを隠していた。以前の噂の件で既に貴族全員に警告したはずだが、それでも理解できないのか?加えて、彼女は学園の研究員だ。もし本当に養女にするというなら、他ならぬ魔道士団長が先に手を挙げるだろう。」
「も、申し訳ございませんでした。」
「他に質問はないか?……ないようだな。一応、皆に警告しておく。アイリスは我が発見した人才だ。今回はあの愚かな勇者たちのせいで仕方なく彼女の存在を公開することになった。もし誰かが彼女に手を出すようなことがあれば、容赦はしない――以上だ。」
「「「はっ!」」」

王様は騎士団長、魔道士団長、そして俺に目を向けた。

「騎士団長、魔道士団長、それとアイリス、少し話がある。付いて来い。宰相、申し訳ないが、残りの処理を頼む。後で報告してくれ。」
「お任せください。」

俺はそのまま王様と共に隣の執務室に入った。王妃様はすでに中で待機していた。

「アイリス様、お疲れでしょう。お菓子を用意しましたので、どうぞ召し上がってくださいな。」

ソファー前のテーブルには、たくさんの菓子やケーキが並べられている。おい……絶対今朝の腹の音のことを覚えているだろう。うん、食べよう。

いつも通り、俺はソファーに腰掛け、正面には王様と王妃様。彼らの後ろには騎士団長と魔道士団長が控えている。

「さぁ、遠慮なく食べてから話そう。済まなかったな、今日は急にあなたの買い物の時間を奪ってしまった。食料庫に連絡しておいたので、後で欲しい食材を取れば良い。」
「ありがとうございます、王様。」
「こちらこそ、今回勇者たちへの対応を本当に感謝している。」
「いえいえ、こちらもトイエリ様の命令を受けているので、気にしないでください。」
「これで勇者たちは決闘に負け、その賭けによって勇者の地位を辞めさせられることになる。これなら聖王国も抗議できないはずだ……多分な。証人も多く招いているし、有名な商会にも試合を見届けてもらった。あの勇者の嫌らしい要求もすぐに広まるだろう。」
「それは嬉しい知らせですね。トイエリ様にもこの報告を届けます。」
「そうだ、闘技場で言った通り、欲しい物があればビアンカに相談してくれ。」
「あ、ありがとうございます。あ!ビアンカ様、杖を貸していただきありがとうございました。すごく使いやすくて助かりました。先ほど謁見の間に入る前にメイドさんに預けたので、お返しします。」
「はい、後でメイドに連絡し、回収しておきます。」

そのとき、王様は何か良い考えが浮かんだように話し出した。

「アイリス様、ご褒美として杖を贈るのはどうだろう?宝物庫には良い杖がいくつかあるぞ。」
「いいえ、平民がこんな高価な杖を持っていると目立ってしまいます。それに杖なしでも普通に魔法は使えますから。」
「そ、そうか……。あ~、それと、アイリス様、来週は王城に一泊してもらうことは可能かな?」
「え?何故ですか?」
「え~と……。」

王様は横にいる王妃様を見た。すると王妃様が代わりに説明を始めた。

「ごめんなさいね、アイリス様。実は、あなたがこの決闘に勝利したことで、王族の体面としてお祝いのパーティーを開かなければならないのです。でも今日はもうこんな時間なので、主役であるあなたに、ぜひ来週の優勝パーティーにご出席いただきたいのです。」
「正直に申し上げると、こういった場には一番参加したくないのですが……この身体は元姫でも、私自身はパーティーでの礼儀を知りません。」
「そのことは承知しております。ただ、たとえ平民たちが勇者の実績をそれほど知らなかったとしても、有名商会やギルドの関係者たちは勇者たちの被害を受け続けてきました。彼らもあなたのことに感謝しています。ですから、もし王家があなたの功績を讃えず、勝利を祝わないならば、悪い噂が立つかもしれません。」
「……そうですね、これは仕方ありません。神竜様にも相談し、一泊くらいであれば問題ないと思います。」
「ありがとうございます。」
「ただ、私、食事のマナーや貴族への対応が分かりませんが、大丈夫でしょうか?」
「ご安心ください。その日、わたくしがあなたの側におりますので、他の貴族たちには何もさせません。」
「なるほど……ご対応感謝いたします。」
「ドレスはこちらで用意しますので、いつも通りの服装でいらしてください。では、来週の朝に王城へお越しください。」
「あ、朝ですか?パーティーは夜ですよね。それと、いつものように騎士団寮経由ですか?」
「はい。パーティーの主役には色々と準備がありますので、いつも通り騎士団寮経由が良いでしょう。それが一番安全ですから。」
「わ、分かりました。」
「では、もうそろそろ日が暮れます。早く食料庫に向かってください。暗くならないうちに帰りなさい。」
「ご厚意、ありがとうございます。」


前と同じく、騎士団長が俺を食料庫に案内しようとしたタイミングで、ビアンカ様が現れ代わりに案内役を申し出た。

「では、アイリス様、こちらに……。」
「ウォルト殿、わたしが彼女を案内します。途中で少し彼女にお聞きしたいことがありますので。」
「俺は構いませんが、アイリス様は?」
「え?問題ありませんよ。」
「ありがとうございます。それでは、こちらへ。」

こうして食料庫への案内はビアンカ様に任された。まず客室で俺のカバンを回収してもらい、その途中の話題はやはり……あの魔法のことだ。魔法使いには絶対に興味津々だろう。

「アイリス様、今日あなたが使った魔法について詳しく知りたいのですが、わたしに教えていただけませんか?」
「そうですね……その魔法はこの世界ではまだ知られていない知識です。説明するのは難しいと思います。」
「どうしてですか?わたしは他の人には言いません。」
「別にビアンカ様を信頼していないわけではありません。ただ、説明しても理解できないと思うだけです。それでも聞きたいですか?話しても良いですが、理解できないかもしれませんよ。」
「はい。魔法の研究者として、たとえ理解できなくても、それを聞きたいと思います。」
「では、たとえ私が話した内容を理解できなくても、他の人に話さないという条件でお教えしますよ。」
「もちろんです。ありがとうございます。」
「いつ教えればよいですか?」
「来週はパーティーがありますので、再来週はいかがでしょうか?」
「いいですよ。」
「ありがとうございます。では、その日の朝、学園長室でお待ちしています。」

その後、俺はまた無料で高価な食材をいただいた。


冬の夜は早い。教会の鐘の音を聞き、まだ午後5時くらいだというのに、空はもうオレンジ色に染まっていた。食材を取りに行った後、ビアンカ様が馬車を用意してくれた。馬車の乗り心地が悪いので断ろうと思ったが、彼女は「馬車で外に行きなさい」と言い、俺を馬車の中に押し込んだ。仕方なく、そのまま馬車で西門へ向かった。

なぜビアンカ様がこんなに馬車推しなのか、ようやく理由が分かった。西門前で馬車を降りて歩き出した途端、知らない人々に次々と声をかけられたのだ。「決闘を見ていました!」「髪、本当に虹色ですね!」「かわいい!」などと褒められるのは嬉しいが、連続で声をかけられ、「ごめんなさい、門限があるので急いで帰らないといけません」と答え続ける羽目に。おかげで何とか西門を抜け、人の少ない場所に到着できた。後は飛んでマイホームに帰るだけだ。

なんだか本当にデビューした気分だ……ただし、別の意味で。まあ、この髪は目立つから、この決闘がなくてもいずれ同じように注目を浴びていただろう。気にしても仕方ないか。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...