平穏な生活があれば私はもう満足です。

火あぶりメロン

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111 大丈夫と信じる

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サンダース王国の初訪問から隔週の休日がやってきた。

そろそろ王都へ行き、買い出しも問題なさそうだな、と思いながら――いつものように薬草畑で薬草を摘み、学園の制服へ着替えて王都へ向かう。

「神竜様、ヒカリ世界樹、私は買い出しに行くので留守番をお願いしますね。」

世界樹の精霊ヒカリの姿は見えない。だから、ただ木に向かって独り言を言うだけ。

しかし、いつも私を無視する神竜様は、今日は珍しく目を覚まし、真っ直ぐに私を見つめていた。

「うん?どうしたの、神竜様。欲しいおやつでもある?行ってきます?ありがとう~。いつも通り、夕方くらいには戻りますね。では、行ってきます。」

神竜様との妄想セリフを適当に交わした後、王都へ向かって出発した。


西門から王都へ入り、冒険者ギルドへ向かう。意外と今日は人はそれほど多くない。

そこで、朝ごはん前に、先に薬草をマリアンヌへ渡そうと思ったが……あれ?何か、おかしい。

「おはようございます、ノラさん。もしかして、マリアンヌ今日はお休みですか?」
「あら、おはよう、アイリスさん。マリアンヌはもう辞めましたよ。」
「え?!何で?」
「何でって……彼女に聞けばいいじゃない?」

マリアンヌの先輩であるノラさんが、食堂の方を指さした。そこには、メイド姿のマリアンヌが座っている。こちらを見て、笑顔で小さく手を振っている。

「え?え?マリアンヌ?」
「そうよ、マリアンヌは出世しましたよ。また新しい受付嬢を探さなきゃいけないのよ!しくしく……。」
「ごめんなさい、ノラさん。こちら、いつもの薬草です。」
「……はいはい、分かったわ。薬草は預かっておきますね。お金はいつものように、お昼に渡しますよ。」
「はい、ありがとうございます。」

私はすぐに食堂へ向かい、マリアンヌの隣に座った。

「おはようございます、マリアンヌ。どうしたの?その格好。」
「あなたを待っていたのよ。朝食を食べながら話すわね。」
「うん、わかった。」

朝食を取りながら、マリアンヌの話を聞いた。

どうやら、彼女は先日王様へ帝国の英雄の件を報告したらしい。その結果、マリアンヌはまだ生きていることが帝国に知られたため、後ろ盾を求める必要があった。

隠しようがなくなり、マリアンヌは帝国でメイドをしていたことや、私との脱走劇のこともすべて王様へ伝えたそうだ。まぁ~私は特に気にしない。王様たちも、すでに私の身体があの姫様のものであると知っているし。

その報告を聞いた王妃様は、今妊娠中で仕事ができない専属メイドのアンナさんの代わりとして、元黄金姫専属メイドのマリアンヌを新しく雇ったらしい。

なるほど……王妃様の側にいる限り、マリアンヌを狙う者も手を出せないだろう。

うん……あとで、王妃様へお礼を言わないとダメなね。

「アイリスちゃん、食べ終わったら一緒に王城へ行きましょうね。王妃様が待っていますよ。」
「もう王城へ行ってもいいの?」
「ええ、集まっていた貴族たちも会議後には大半が王都を離れましたので、いつも通りに戻りました。」
「なるほど……では行きますか。って、マリアンヌ……王妃様のお世話、大変でしょう?」
「いいえ、そんなことはございません。可愛らしさを持ちつつ、美しい方ですよ。三人の子供の母とは思えないくらいです。」

マリアンヌ……「子供のような」と言う時の語気が妙に強いですね。うん、これは褒めてる、褒めている。

その後、マリアンヌとともにギルドを出て、少し離れた場所に停められた馬車へ向かった。王城くらい、馬車なしでもよくないですか?私は朝ごはんを食べたばかりですよ。このまま乗ったら、虹色のものを吐き出すかもしれませんよ。


マリアンヌに連れられるようにして、王妃様の部屋へ到着した。中へ入ると、王妃様は赤ちゃんの王女へ授乳している最中だった。

「アイリスちゃん!お久しぶりです!もうひどいですわ、わたくしもアイリスちゃんの家に泊まらせて。」

この言葉を聞いても、私はまだ意味を理解できないまま、ソファへ向かって歩いていた。すると――すぐに、後ろのマリアンヌから鋭いツッコミが飛んできた。

「王妃様、ただいまアイリス様をお連れしました。僭越ながら、王妃様は国にとって非常に重要な御方です。さすがに森での外泊は難しいかと存じます。それに、ヘレナ様をここへ残すわけにもいきません。もし一緒に連れて行ったとしても、ヘレナ様はアイリス様の家の魔力濃度には耐えられないかと。」
「ほら!アイリスちゃん、マリアンヌは厳しすぎますよ。アンナにそっくりですわ。ひどいと思わない?」

(いいえ、メイドの時のマリアンヌはいつもこんな感じですから。)

「アイリスちゃん?」


(私の家、何もないですから。泊まっても面白くないよ。)

「どうしたの?アイリスちゃん、眠いの?」


(え?昨日は十分に寝まし――)




ばたっ


--------------------------------------------


わたし――マリアンヌが王妃様に外泊できない理由を説明していた最中、ソファへ向かって歩いていたアイリスちゃんの動きが、突如止まった。

まるで、時間そのものが凍りついたかのように。王妃様への返事もないまま――そのまま崩れるように倒れた。

「「アイリスちゃん!」」

突然の大声に驚いたのか、ヘレナ王女がか細い声をあげ、泣き始める。

「お~よしよし、ごめんなさいね。驚かせてしまったわね。医師とビアンカを呼んで!急いで!」
「「かしこまりました!」」

その瞬間、昨年帝国王城で起こった魔力暴走のことが脳裏をよぎる。

「もしかして……また魔力暴走?」

わたしはすぐにアイリスちゃんを抱え、ソファへ寝かせた。

呼吸を確認する、苦しげな様子はない。発熱も異常も見られない。まるでただ穏やかに眠っているだけのようだった。先輩メイドがすでに医師と魔道士団長ビアンカ様を呼びに行っている。

診察の結果――魔力暴走ではなかった。

しかし、原因は分からない。

わたしはそっと彼女の肩を揺らし、目覚めさせようとする。だが……まったく反応がない。

昼になっても、アイリスちゃんはいまだ目を覚まさなかった。



同日の夕方。

アイリスちゃんを王妃様の部屋で寝かせたままにするわけにはいかない。

そこで、客室の準備を進めていた――その時。部屋の外から騎士が緊急の報告を持ってきた。

「王妃様、火急の報告がございます。」
「分かったわ。通しなさい。」
「かしこまりました。」

部屋の扉が開き、そこには騎士八名が整列していた。そのうち、リーダーだけが部屋へ進み出ると、王妃様の前に片膝をついた。

「王妃様、ご報告いたします。城壁からの緊急連絡によりますと、先ほど神竜様と思われるドラゴンが王都へ向かっております。そのドラゴンは上空を高く、ゆっくりと飛行しているため、いまだ神竜様かどうかの確認は取れておりません。念のため、地下室への避難準備をお願いいたします。」
「分かったわ。」

その時、外から民衆のざわめきが聞こえた。

わたしは窓を少し開け、ベランダから外の様子を確認する。城壁の向こうに、灰色のドラゴンの影が揺らめいていた。

まだ遠い。

しかし――その悠々とした飛行、威厳ある姿を見た瞬間、わたしは確信した。このドラゴンはアイリスちゃんの家で見た、神竜様に違いない。わたしはすぐに、王妃様へ報告することにした。

「王妃様、ご安心くださいませ。間違いなく、これは神竜様でございます。騎士殿、恐縮ですが、速やかに陛下へ神竜様であることを確認した旨をお伝えくださいませ。もし攻撃など仕掛ければ――カウレシア王国の方こそ危機に陥るでしょう。」
「あ……あなたは……。」

当然、騎士たちはわたしの言葉を疑っていた。だが、王妃様はすぐに威厳ある声で命じる。

「彼女の言葉をすぐに陛下へ伝えなさい。彼女の申すことは信用に値する。わたくしが保証いたします。」

「はっ!」

騎士たちは足早に部屋を退出した。

幸いにも、カウレシア王国ではトイエリ様の信者が多く、神竜様が魔の森を飛ぶ姿を目撃した者も少なくない。そのため、下町では大きな混乱は起きていなかった。――もちろん、外国からの訪問者を除けば。

その後、陛下は騎士団長と魔道士団長を伴い、王妃様の部屋へ入室する。王族のお二人、そしてわたしも神竜様の来訪の目的を理解していた。

それは――原因不明のまま眠り続けるアイリスちゃんに違いなかった。

神竜様は城壁を越え、静かに王城へと向かう。

そして予想通り……王妃様のベランダの前で、上空に静止する。

陛下は騎士たちに外で待機するよう命じ、メイドたちには部屋の扉を閉めるよう指示を出した。メイドたちは何故このような命令を下されたのか分からない様子だったが、騎士団長と魔道士団長を除くすべての騎士を部屋の外へ追い出し、扉を閉める。

部屋の中に残ったのは――陛下、王女を抱えた王妃様、騎士団長、魔道士団長、そして王妃様に仕えるわたしたちメイドだけ。

王族のお二人は静かにベランダへと歩み出る。その場で、神竜様の前に跪いた。当然、わたしたちもその後ろで共に跪く。

陛下は落ち着いた声で、慎重に神竜様へ問いかける。

「あ、あの……神竜様。ご来訪の目的は、アイリス様でしょうか?アイリス様は、そちらのソファで静かに眠っております。原因は分かりませんが……一体、何か異変があったのでしょうか?」

神竜様は何も答えず、ただソファで眠るアイリスちゃんの身体を静かに浮かび上がらせ、背に乗せたまま、ゆっくりと魔の森の方向へ去っていった。


『心配しないで、大丈夫だと言った。』


幼い声が優しく響いた。

アイリスちゃん曰く、この声はわたしのペンダントに宿る守護精霊のものだという。そうですか――わたしは、その声を信じることにした。

陛下と王妃様は静かに立ち上がり、この場にいる者たちへ命じる。

「緘口令を出します。ここにいる者は、この場で見たことを一切口外してはなりません。アイリス様が再び訪れた際には、普段通りに接すること。――以上だ。警戒を解き、それぞれ職務へ戻りなさい。」
「「かしこまりました。」」

こうして、王妃様のメイドたちは全員がアイリスちゃんが創造神の使者様であることを知ることとなった。


数日後――王城から神竜様の降臨について正式な発表が行われた。

『創造神トイエリ様より、帝国が禁術に触れたことで天罰を受けた。そして、使者様はすでに神竜様を治し、魔の森の聖域へ、しばらくそこに留まることとなった。』

その公式な報告に、別の話を織り交ぜる形で民へ伝えられた。王都では、トイエリ教の信者や使者様を目撃した者も多く、神竜様の降臨よりも帝国への天罰の噂の方が、街中の話題の中心となっていた。



あれから三ヶ月。

わたしは今も変わらず、王妃様のおそばでメイドとして慎ましく務めている。公務を終えた王妃様は、ベランダで王女を抱えながら、静かにお茶を楽しんでいた。

最初の頃は、毎日のようにアイリスちゃんのことが気がかりで、休日には扉へと視線を向け、彼女の来訪を待ち望んでいたものだった。しかし、今ではすっかり落ち着いている。

帝国では使者の降臨によって、天罰の事実が民へ知られることとなり、その影響を抑えきれずに移民する者が増えている。

王妃様と旦那であるジャックの話によれば、現在帝国内部は混乱を極め、帝国派と侯爵派に分裂しているらしい。

さらに、精霊が減少した影響で帝国の魔獣が次第に活性化し、軍隊も魔獣討伐のため頻繁に出動を余儀なくされ、もはや他国と戦争する余裕すら失われているという。誇っていた強大な軍事力も、今や魔獣退治へと全力を注がざるを得ない。

ちなみに、わたしと姫様――アイリスちゃんが生存している事実も、すでに帝国に知られてしまった。そのため、久しぶりに帝国王城の調理場で働いていた親友へ手紙を送った。

そして最近、彼女からの手紙が届いた。

『家族とともに、密かにカウレシア王国へ移民することを決めた。』

彼女とまた再会できるとは、夢にも思わなかった。楽しみな気持ちが込み上げる。

そして当然のように、昔の実家にも連絡が届いた。

その手紙には――

『よくやった。カウレシア王国への抜け道を確保しろ。住む場所も用意し、育てた恩を返せ。』

そう、記されていた。

それを見たジャックは、迷うことなく手紙を奪い、炎へとくべた。


そうそう、先日、休日に久しぶりに冒険者ギルドへ行ったわ。

副ギルマスのフレッドさんは、アイリスちゃんの薬草がなくなってしまい、研究が進まず、ため息ばかりついているらしい――と、ノラ先輩から愚痴を聞かされた。

ノラ先輩や他の知り合いの冒険者たちも、最近アイリスちゃんを見かけないと言っていた。心配させないように、わたしは事前に用意した言い訳を伝える。

「新しい遺跡が発見され、彼女は現地で仕事をしています。」

その後、市場で買い物をしている時や、トイエリ教会で祈っている時にも、市場の人たちや教会のシスターたちから「聖女様は最近いらっしゃいませんね」という声が聞こえたわ。

まあ、この王都では、アイリスちゃんはある意味、人気者です。

あの美しい顔に、幻想的な虹色の髪。それなのに、貴族学園の制服をまといながら、下町で買い物をするな奔放さ。さらに、豪快に香辛料をたくさん買い込む姿や、時々教会で手伝いをする様子――王都の人々の間でも、彼女のことを知らない者はほとんどいないでしょう。。



「ねぇ、マリアンヌ、アイリスちゃんは大丈夫かしら?」

突然の王妃様の問いかけで、考え事を止め、彼女の質問に答える。

「はい。神竜様が訪れた際、守護精霊様が『大丈夫』と言っていましたので――問題ないかと思います。」
「あ、そうだわ!マリアンヌ、ま……」
「ダメです。」
「もう、わたくしまだ何も言っていませんわ。」
「魔の森の聖域へ行き、アイリス様にお見舞いするのは当然ながら許されません。このご提案、毎月一度はお話しされておりますが――」
「ホント、マリアンヌはアンナとそっくり。あなたは、わたくしのお母様ですの?」
「お褒めいただき、ありがとうございます。」
「褒めていません!」
「ですが、アンナもあなたのことを『即戦力』と評価していましたよ。やはり、わたくしの見る目は間違っていませんでしたわ。」

王妃様が満足げにお茶をひと口飲んだその時、ノックの音が響く。

扉のそばで待機していたメイドが、こちらへと歩み寄った。


ゴンゴン


「王妃様、針子が到着しました。」
「通して。」
「かしこまりました。」

針子が部屋へ入り、新しいブラ数着をテーブルに並べ、王妃様に見せた。

「王妃様、こちらは最新のブラでございます。しかし、最初に見せていただいたものの、あの小さな部品の作り方はいまだにできておらず――申し訳ございません。もう一度、拝見させていただくことは可能でしょうか?」
「ダメよ。あなたたちの手でそれを再現できないのであれば、それは我が国のものではないわ。せっかく作者と相談し、我が国で製作する許可を得たのだから、その作品を見て技術を盗み、己のものにするつもりなの?」
「いいえ、滅相もございません。」

王妃様はそのままテーブルに並べられたブラを見つめ、目を輝かせる。

「あら、これは良いですわね。ねぇ、マリアンヌ。これをカウレシア王国のブランドとして貴族たちへ売るつもりよ。ほら~これもかわいいでしょう?」
「はい、良いと思います。」
「そうだわ。わたくしも彼女のように自分で作ってみようかしら?マリアンヌ、準備をお願い。」
「本当に作るのですか?一着作るのに、相当時間がかかるかと……。」
「こう見えても、わたくしは刺繍には自信がありますのよ。」
「はぁ……かしこまりました。すぐに準備をいたします。」
「マリアンヌも一緒に作ってよ。」
「申し訳ございません、仕事がありますので。」
「へぇ~つれないわ。」

わたしたちは守護精霊様の言葉を信じている。

いつか――きっと、アイリスちゃんは何事もなかったかのように戻ってくる。

わたしたちはただ、その時を待つだけ。

だって、アイリスちゃんはわたしの家族なのだから。


必ず、戻ってくるわ。
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