最強チート集団、雲上の支配者を地に落とす

ニャルC

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1章アンチチート編

第1話:神はサイコロを振らない、サイコロを振るのは俺だ。

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第1話:神はサイコロを振らない、サイコロを振るのは俺だ。

1.プロローグ
真夏の高速道路のサービスエリア。集合時間に遅れ、走る私。
「待たせ…」
遅刻を謝ろうとした瞬間、閃光《せんこう》に包まれた。
謝罪の言葉も言えないまま。

2.雲上の支配者
王都で最も空に近い見張り台。
今は贅の極み『スカイラウンジ』に生まれ変わっている。
男女が2人、窓の外のミニチュアのような中世の街並みを見下ろしている。

「アルベルト様、啓示ですわ」
派手な金髪で貴族服を着崩した男に声をかけた。
「北の方角に魔王軍が潜伏中。あら、ノイズ。たたけば直るのかしら?」
「オラクル、おまえのチートは昭和の機械かよ。北だな?」
オッドアイにピンクブロンドの髪、上品な白いドレスの女性に返事をした。
「適当に掃除してくるわ」
彼はサイコロを弄びながら、地上へと続くエレベーターへ向かった。

3.村の焼失
のどかな村の昼下がり。剣の稽古に汗を流す青年がいた。
「精が出るな、劉斗《りゅうと》。軍に入るか?」
隣家の男の問いに答える。
「軍に入れば、この村も安全だ」
この世界に降り立った九人の英雄、クラウドナイン通称C9。
彼らはわずか一年で国を作り替えた。

村の入り口が、にわかに騒がしくなった。
「C9!英雄、アルベルト様が来られたぞ!」
村中が浮き足立っている。劉斗も胸を高鳴らせて駆け出した。
だが、それは救世主の視察ではなかった。

「魔王軍が潜伏しているとの情報がある。隠し立てしても、ためにならんぞ」
アルベルトは、村長の胸ぐらを右手でつかみ、左手に一瞬で火球を発現させた。
「待ってください!何の!」
「もう一度聞く。魔王軍の情報は?」

村の男たちが村長を離せ!
とばかり飛びかかるが、かすりもしない。
「俺に逆らう、この村で当たりか?
神はサイコロを振らない。サイコロを振るのは俺だ」
火球で周囲を無差別に焼き払う。

「やめろ!」
アルベルトに劉斗も斬りかかる、捉えたはずだった。
「残念、100%当たらない」
アルベルトをかすめただけで、虚しく空を斬った。
それが、劉斗の意識が途切れる前の、最後の記憶。

4.黄金の魔女
遅かった、と少女がつぶやく。
森の中に煙を見つけ、駆けつけてきたが全ては終わっていた。
のどかな村だった『もの』がそこにはあった。

微かなうめき声に振り返ると、一人の少年が横たわっている。
少女が膝をついた。
「愚者の黄金・癒やし」
少女の手から黄金の光が漏れるたびに、傷は癒えてゆく。

少年は意識を取り戻したようだ。
「はやくこの場を離れましょう」
少年に肩をかしながら、森の中へ向かう。

「俺は、劉斗。あなたは?」
「黄金の魔女。そうね、魔女でいいわ。魔王軍の襲撃?」
「アルベルトと名乗る男にやられた、あれは本物か?」
「そんなアルベルト、一人しかいないでしょ。あなたはどうしたい?」
「せめて一太刀」
「せっかく拾った命は大切にね。
王都に用事があるから、ついて来なさい。
誰と戦おうとしているか、教えてあげる」

5.王都
王都の正門は見上げるほど立派な門だが、ピンクのハートマークやクマ、
「kawaii!!」と書かれデコレーションされている。
「魔女さん、俺は田舎もので流行には疎いんだ。これが流行なのか?」
劉斗が困惑した声で問う。
「通称ギャルゲート。
王権から、C9体制に移行した『象徴』なんじゃないかしらね?」
魔女はこめかみを指でもみながら答えた。

王都の中央広場には巨大な像がそびえ立っていた。転移者の一人、伊織の像。
朝市の騒がしさの中、像の足元で黙々と稽古をしている男がいる。
「あれが伊織、名前くらい知っているでしょ?」
「魔物を数多く討ち取ったことくらい」

伊織が像を見上げて渋い顔をした。
「神様みたいに祭り上げられて、居心地が悪いんだろうか」

広場に鋭い号令が響き渡った。
そろった足音、同じ服装、同じ装備の兵士たちが行進してくる。
「全員が同じ動きをしている。あれは何だ」
「あれは儀仗隊ぎじょうたい、規律という名のパフォーマンス集団」

一斉に抜刀し、槍を回す。市民たちは歓声を上げ、惜しみない拍手を送っていた。
だが劉斗一人だけ拍手をせず、拳を握った。

王宮の一室。C9の一人オラクルの『啓示の扇』に文字が浮かび上がる。
『運命の・人・記念館』
またノイズが混じっている。
オラクルは緋色の扇で口元を隠しながら立ち上がった。
「まぁ、私にもついに運命の方が!?こうしてはいられません」
王宮を飛び出し、記念館へと向かった。

「用事があるから、一人で見てきなさい。後で迎えにくる」
と魔女に言われ、劉斗は『C9記念館』の前にいた。
村を焼いた男の栄光を展示している場所。
数カ月後、この場所が『セブンスヘブン記念館』という名に変わることを、今はまだ、誰も知らない。
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