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1章アンチチート編
第2話:三角関係?
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第2話:三角関係?
1.英雄たちの足跡
劉斗は観光客に紛れ『C9記念館』に入った。周囲の会話は平和と感謝で満ちている。
「救世主様は入館料もとらない、税も半分以下だな」
「浮いた金で土産でも買うか?最近は『ぺなんと』っていう旗が流行りらしいぞ」
展示されているハサミには、
『王都ー工業都市間運河(アクアライン)完工記念式典』と書かれている。
壁の年表には『輝かしい歴史』が記されている。
最後の展示『ベストテン(仮)』と書かれた羊皮紙。
伊織などC9の名前と、『亜智』という知らない名前が並んでいる。
劉斗は案内係に尋ねる。
「この『亜智』ってどなたですか?」
彼女は困ったように眉を顰めた。
「ああ、それ贋作かもしれません。救世主様は九人ですから」
2.運命の人?
「熱心に見ていらっしゃいますが、C9にご関心が?」
鈴を転がすような声に、劉斗は肩を跳ねさせた。
振り返ると、村娘とは比較にならないくらい、
洗練された巫女か令嬢のような女性がいた。
ピンクブロンドの髪、真っ白いドレス、口元を緋色の扇で隠している。
瞳は左右の色が違う。
「あら、緊張していらっしゃる?お可愛いこと。
もっと知りたいのでしたら、こちらをどうぞ」
彼女は婉然と微笑み、二枚のチケットを差し出した。
一般人では決して手に入らない、『スカイラウンジのパス』だ。
「では後ほど、ごきげんよう」
オラクルは劉斗が口を開く前に、華やかな香水の香りを残して去っていった。
3.垂直の格差
記念館の入り口で待っていると、魔女が来た。
「お待たせ、何かあった?」
劉斗が先ほどのパスを見せると、魔女は箔押しの文字を読み上げる
。
「見下ろすのではない。慈しむのだ。この完璧なる箱庭を――スカイラウンジ。
何これ、タワマンポエム?センスが絶望的。
バカと何とかは高いところが好きって言うけれど、まさにそれ」
「行かないのか?」
「まさか、せっかくのご招待だもの。バカの仲間入り、しようか?」
魔女は皮肉った声で笑う。
スカイラウンジへ続く受付は二つ、片方しかチケットを確認していない。
「あっちの入り口は何で素通りなんだ」
と、劉斗は当然の疑問を口にする。
「正解は後」
と短く魔女が答えた。
通路を進み、鉄の箱の中央へと移動すると扉が閉まった。
ガクンという揺れとともに上昇を開始した。
箱の中の奇妙な立ち位置に気づく。
身なりの良い貴族や富豪ほど、外側がよく見える席に陣取っている。
「なんで端に寄りたがるんだ?落ちそうで怖いのに」
「オプション価格よ、劉斗。外の景色と外壁を登る人を見下ろす」
魔女の視線を追って外を見ると、外壁に設けられた螺旋階段を、登る人影が見えた。
それは持たない者が「夢」を見るために挑んでいる姿だった。
「慈しむって言って、自分より下の人間を眺める高尚なご趣味」
上昇が止まり、チン、という軽やかな音が響く。
開かれた扉の先に進むと、その圧倒的な光景に劉斗は言葉を失った。
天井を彩る巨大なクリスタルのシャンデリア。大理石の床。
肉が焼ける香ばしい匂い、芳醇な果実の香り、喧騒。
裏口から若者の一団が現れた。
「帰ったら自慢してやるんだ。貴族様と同じ景色を見てやったってな!」
階段を登りきり、汗だくでフロアに辿り着いた若者たち。
「登頂記念の特別仕様です。いかがでしょう、お土産に、思い出に?」
スタッフが恭しく冷えたボトルを差し出す。
「無料入り口がある理由、エレベータ内で金持ちの見せ物、
登ったラウンジでは登頂記念代で回収する」
「最低だ」
劉斗が拳を握りしめた。
魔女はフリーダの言葉を思い出す。
(反発される政策なんて下策よ?お金は正当なサービスの対価として。
税として徴収するより、よほど人道的でしょ?
お金がないと、軍だって動けないんだから)
「でもフロアでは楽しそうにしないと、と感じるでしょ?『同調圧力操作』。
あそこのC9女王様のレギーナの能力。で、隣にいるのがC9経営者のフリーダ」
ラウンジの中央、VIPエリア。
ネイビーのスーツにモノクルの女性がフロアを見渡している。
彼女の『価格決定のレンズ』越しには、すべてに「値札」がぶら下がっている。
「この高さから、外を見下ろして貸切パーティーとか、マジあがんね?」
金髪に鮮やかな赤いドレスの少女、レギーナは楽しげに笑う。
「『貸し切りプラン』としてパッケージ化を検討しましょう。
料理と酒と時間でランクを分ける。プライドに値段を付けて買わせるの」
とフリーダが応じる。
魔女の目にはチートの燐光が見えた。
「またやっている、銭ゲバ」
独り言がもれた。
その横のオラクルは退屈そう。
「遅いですわ、私の運命の人」
レギーナの肩が、目に見えて小さく震えた。
「レギーナ?」
オラクルの問いかけに、レギーナは一瞬だけ怯えた顔を見せた。
「なんでもない。ほら、オラクル、あんたの運命の人ってやつ、品定めしてあげる」
オラクルが指差す先には、運命の人と相席のフードの少女がいた。
「もしかして三角関係?修羅場の予感!」
1.英雄たちの足跡
劉斗は観光客に紛れ『C9記念館』に入った。周囲の会話は平和と感謝で満ちている。
「救世主様は入館料もとらない、税も半分以下だな」
「浮いた金で土産でも買うか?最近は『ぺなんと』っていう旗が流行りらしいぞ」
展示されているハサミには、
『王都ー工業都市間運河(アクアライン)完工記念式典』と書かれている。
壁の年表には『輝かしい歴史』が記されている。
最後の展示『ベストテン(仮)』と書かれた羊皮紙。
伊織などC9の名前と、『亜智』という知らない名前が並んでいる。
劉斗は案内係に尋ねる。
「この『亜智』ってどなたですか?」
彼女は困ったように眉を顰めた。
「ああ、それ贋作かもしれません。救世主様は九人ですから」
2.運命の人?
「熱心に見ていらっしゃいますが、C9にご関心が?」
鈴を転がすような声に、劉斗は肩を跳ねさせた。
振り返ると、村娘とは比較にならないくらい、
洗練された巫女か令嬢のような女性がいた。
ピンクブロンドの髪、真っ白いドレス、口元を緋色の扇で隠している。
瞳は左右の色が違う。
「あら、緊張していらっしゃる?お可愛いこと。
もっと知りたいのでしたら、こちらをどうぞ」
彼女は婉然と微笑み、二枚のチケットを差し出した。
一般人では決して手に入らない、『スカイラウンジのパス』だ。
「では後ほど、ごきげんよう」
オラクルは劉斗が口を開く前に、華やかな香水の香りを残して去っていった。
3.垂直の格差
記念館の入り口で待っていると、魔女が来た。
「お待たせ、何かあった?」
劉斗が先ほどのパスを見せると、魔女は箔押しの文字を読み上げる
。
「見下ろすのではない。慈しむのだ。この完璧なる箱庭を――スカイラウンジ。
何これ、タワマンポエム?センスが絶望的。
バカと何とかは高いところが好きって言うけれど、まさにそれ」
「行かないのか?」
「まさか、せっかくのご招待だもの。バカの仲間入り、しようか?」
魔女は皮肉った声で笑う。
スカイラウンジへ続く受付は二つ、片方しかチケットを確認していない。
「あっちの入り口は何で素通りなんだ」
と、劉斗は当然の疑問を口にする。
「正解は後」
と短く魔女が答えた。
通路を進み、鉄の箱の中央へと移動すると扉が閉まった。
ガクンという揺れとともに上昇を開始した。
箱の中の奇妙な立ち位置に気づく。
身なりの良い貴族や富豪ほど、外側がよく見える席に陣取っている。
「なんで端に寄りたがるんだ?落ちそうで怖いのに」
「オプション価格よ、劉斗。外の景色と外壁を登る人を見下ろす」
魔女の視線を追って外を見ると、外壁に設けられた螺旋階段を、登る人影が見えた。
それは持たない者が「夢」を見るために挑んでいる姿だった。
「慈しむって言って、自分より下の人間を眺める高尚なご趣味」
上昇が止まり、チン、という軽やかな音が響く。
開かれた扉の先に進むと、その圧倒的な光景に劉斗は言葉を失った。
天井を彩る巨大なクリスタルのシャンデリア。大理石の床。
肉が焼ける香ばしい匂い、芳醇な果実の香り、喧騒。
裏口から若者の一団が現れた。
「帰ったら自慢してやるんだ。貴族様と同じ景色を見てやったってな!」
階段を登りきり、汗だくでフロアに辿り着いた若者たち。
「登頂記念の特別仕様です。いかがでしょう、お土産に、思い出に?」
スタッフが恭しく冷えたボトルを差し出す。
「無料入り口がある理由、エレベータ内で金持ちの見せ物、
登ったラウンジでは登頂記念代で回収する」
「最低だ」
劉斗が拳を握りしめた。
魔女はフリーダの言葉を思い出す。
(反発される政策なんて下策よ?お金は正当なサービスの対価として。
税として徴収するより、よほど人道的でしょ?
お金がないと、軍だって動けないんだから)
「でもフロアでは楽しそうにしないと、と感じるでしょ?『同調圧力操作』。
あそこのC9女王様のレギーナの能力。で、隣にいるのがC9経営者のフリーダ」
ラウンジの中央、VIPエリア。
ネイビーのスーツにモノクルの女性がフロアを見渡している。
彼女の『価格決定のレンズ』越しには、すべてに「値札」がぶら下がっている。
「この高さから、外を見下ろして貸切パーティーとか、マジあがんね?」
金髪に鮮やかな赤いドレスの少女、レギーナは楽しげに笑う。
「『貸し切りプラン』としてパッケージ化を検討しましょう。
料理と酒と時間でランクを分ける。プライドに値段を付けて買わせるの」
とフリーダが応じる。
魔女の目にはチートの燐光が見えた。
「またやっている、銭ゲバ」
独り言がもれた。
その横のオラクルは退屈そう。
「遅いですわ、私の運命の人」
レギーナの肩が、目に見えて小さく震えた。
「レギーナ?」
オラクルの問いかけに、レギーナは一瞬だけ怯えた顔を見せた。
「なんでもない。ほら、オラクル、あんたの運命の人ってやつ、品定めしてあげる」
オラクルが指差す先には、運命の人と相席のフードの少女がいた。
「もしかして三角関係?修羅場の予感!」
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