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1章アンチチート編
第3話:昨夜はお楽しみでしたね?
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第3話:昨夜はお楽しみでしたね?
食事をするため、魔女がフードを外した。
「何?私が老婆だと思ってた?」
フードの下から現れたのは、整った顔立ちと、少し意志の強そうな瞳。
年の変わらない少女だった。劉斗は、手にしたフォークを止めて硬直した。
「まぁ、そういうことでしたの!!」
それを見たオラクルはうなずく。
「彼女は『運命の人』に出会ったから、
ワタクシたちの元を去られたのですわね!!」
復讐に燃える少年は、オラクルの(恋愛脳)フィルターを通ることで
「純愛逃避行」という甘い物語に書き換えられた。
「恋のキューピット、このオラクルにお任せあれ!」
魔女は何かを感じ、思わず退いた。
閑話:魔女の受難
スカイラウンジで食事を終えた二人は、予約していた宿へと向かった。
宿の主人は二人の顔を見ると、恭しく頭を下げた。
「お客様、おめでとうございます!なんと本日百組目(?)のゲストとして、
お宿の『アップグレード』となりました!」
案内されたのは、鉄とガラスの屋根が夜空を切り取る、
煌びやかなアーケード(パッサージュ)の最深部。
王都で最も贅を尽くした高級宿だ。
魔女が警戒しながら鍵を開け、部屋の中を窺う。
チョコレートの香り、ピンク色の照明。
「何これ、ラブホ?」
換気をしようと窓際に向かった魔女の目に、
テーブルの上に置かれた一枚の紙が留まった。そこにはこう記されていた。
『運命の二人へ。予言者』
部屋には天蓋付きのベッドが一つだけ。
「あの恋愛脳の予言者ぁぁぁ!!」
魔女は近くにあったハート型クッションに八つ当たり。
「高級宿を期待したのに!」
「……魔女さん?王都の宿って、こうなのか?」
後ろで、純朴な劉斗が戸惑っている。
その無垢な視線が、魔女にとってはどんな攻撃よりも
「精神的ダメージ」となるのだった。
「バスルームの無事を確かめないと」
もしここがガラス張りだったら、オラクルを殺しに行っていたかもしれない。
幸い、そこは普通のバスルームだった。
「命拾いしたわね、あの預言者」
独り言が漏れた。
魔女は部屋へ戻ると、
劉斗が豪華さとピンク色の照明に、居心地が悪そうに立っていた。
「劉斗。あんたはソファー、私はベッド。いいわね?」
機械仕掛けの人形のようにカクカクとうなずいた。
魔女はベッドの上で、調達した『触媒』を『愚者の黄金』にしようとした。
「チートの精度が落ちてる?環境のせい?」
ふと寝息を立てる劉斗の方を見る。
「どういうこと?」
劉斗の体からチートの燐光が溢れ出している。
『――■■■……&%#$……――』
意味を成さない記号の群れが、解読を拒絶するように劉斗の周囲に広がる。
触媒を持って浴室へ行く。
すると、今度はいつもの精度で触媒は「愚者の黄金」になった。
「さっきのチートの不調は何?わけがわからない」
疲れた頭で考えても無駄とばかりに、ベッドへと潜り込んだ。
閑話:魔女の見る夢
眠りの中、魔女はかつての景色を見ていた。
王都の練兵場で、魔女は「愚者の黄金・狙撃」の訓練を繰り返していた。
「それ、何か意味ある?」
不意に、アルベルトに声をかけられた。彼はサイコロを1つ、何度か転がした。
「見てなよ。……『1』、また『1』。ずっと『1』だ」
アルベルトが適当にサイコロを放り投げると、
的に吸い込まれるように飛んで行った。
「狙撃のチートって、命中率100%にすればいらなくない?」
次の夢
王宮のティールーム。茶葉の香りが漂う中、
ソファに深く腰掛けたレギーナが、氷のような言葉を魔女に投げつけた。
「――出ていけ」
魔女は、深く、優雅に、皮肉を込めて一礼した。
「お言葉のままに、女王様(レギーナ)!」
踵を返し、一度も振り返らない。王宮の重い扉を閉めた。
:最悪の目覚め
ピンク色の照明とチョコレートの香気、そして最悪の夢の余韻。
魔女はノロノロとベッドから這い出した。
「……行くわよ。さっさとチェックアウトして、この悪趣味な部屋とおさらば」
ロビーで恭しく頭を下げる宿のスタッフたちの中心にいた。
オラクルは完璧な令嬢の微笑みを浮かべ、扇で口元を隠しながら言った。
「昨夜はお楽しみでしたね?」
あの有名RPGのセリフ!
魔女は『愚者の黄金・狙撃』を準備した、照準はオラクルの眉間。
「脳内桃色預言者ぁ!脳みそがピンクか確認してあげる!」
「魔女さん、待って!ここではダメだ!」
劉斗が慌てて制止する。
「供給、潤いました。それでは、ご機嫌よう」
満足げに一礼すると、去っていった。
「「……休んだはずなのに、疲れた」」
二人のため息が虚しく響いた。
食事をするため、魔女がフードを外した。
「何?私が老婆だと思ってた?」
フードの下から現れたのは、整った顔立ちと、少し意志の強そうな瞳。
年の変わらない少女だった。劉斗は、手にしたフォークを止めて硬直した。
「まぁ、そういうことでしたの!!」
それを見たオラクルはうなずく。
「彼女は『運命の人』に出会ったから、
ワタクシたちの元を去られたのですわね!!」
復讐に燃える少年は、オラクルの(恋愛脳)フィルターを通ることで
「純愛逃避行」という甘い物語に書き換えられた。
「恋のキューピット、このオラクルにお任せあれ!」
魔女は何かを感じ、思わず退いた。
閑話:魔女の受難
スカイラウンジで食事を終えた二人は、予約していた宿へと向かった。
宿の主人は二人の顔を見ると、恭しく頭を下げた。
「お客様、おめでとうございます!なんと本日百組目(?)のゲストとして、
お宿の『アップグレード』となりました!」
案内されたのは、鉄とガラスの屋根が夜空を切り取る、
煌びやかなアーケード(パッサージュ)の最深部。
王都で最も贅を尽くした高級宿だ。
魔女が警戒しながら鍵を開け、部屋の中を窺う。
チョコレートの香り、ピンク色の照明。
「何これ、ラブホ?」
換気をしようと窓際に向かった魔女の目に、
テーブルの上に置かれた一枚の紙が留まった。そこにはこう記されていた。
『運命の二人へ。予言者』
部屋には天蓋付きのベッドが一つだけ。
「あの恋愛脳の予言者ぁぁぁ!!」
魔女は近くにあったハート型クッションに八つ当たり。
「高級宿を期待したのに!」
「……魔女さん?王都の宿って、こうなのか?」
後ろで、純朴な劉斗が戸惑っている。
その無垢な視線が、魔女にとってはどんな攻撃よりも
「精神的ダメージ」となるのだった。
「バスルームの無事を確かめないと」
もしここがガラス張りだったら、オラクルを殺しに行っていたかもしれない。
幸い、そこは普通のバスルームだった。
「命拾いしたわね、あの預言者」
独り言が漏れた。
魔女は部屋へ戻ると、
劉斗が豪華さとピンク色の照明に、居心地が悪そうに立っていた。
「劉斗。あんたはソファー、私はベッド。いいわね?」
機械仕掛けの人形のようにカクカクとうなずいた。
魔女はベッドの上で、調達した『触媒』を『愚者の黄金』にしようとした。
「チートの精度が落ちてる?環境のせい?」
ふと寝息を立てる劉斗の方を見る。
「どういうこと?」
劉斗の体からチートの燐光が溢れ出している。
『――■■■……&%#$……――』
意味を成さない記号の群れが、解読を拒絶するように劉斗の周囲に広がる。
触媒を持って浴室へ行く。
すると、今度はいつもの精度で触媒は「愚者の黄金」になった。
「さっきのチートの不調は何?わけがわからない」
疲れた頭で考えても無駄とばかりに、ベッドへと潜り込んだ。
閑話:魔女の見る夢
眠りの中、魔女はかつての景色を見ていた。
王都の練兵場で、魔女は「愚者の黄金・狙撃」の訓練を繰り返していた。
「それ、何か意味ある?」
不意に、アルベルトに声をかけられた。彼はサイコロを1つ、何度か転がした。
「見てなよ。……『1』、また『1』。ずっと『1』だ」
アルベルトが適当にサイコロを放り投げると、
的に吸い込まれるように飛んで行った。
「狙撃のチートって、命中率100%にすればいらなくない?」
次の夢
王宮のティールーム。茶葉の香りが漂う中、
ソファに深く腰掛けたレギーナが、氷のような言葉を魔女に投げつけた。
「――出ていけ」
魔女は、深く、優雅に、皮肉を込めて一礼した。
「お言葉のままに、女王様(レギーナ)!」
踵を返し、一度も振り返らない。王宮の重い扉を閉めた。
:最悪の目覚め
ピンク色の照明とチョコレートの香気、そして最悪の夢の余韻。
魔女はノロノロとベッドから這い出した。
「……行くわよ。さっさとチェックアウトして、この悪趣味な部屋とおさらば」
ロビーで恭しく頭を下げる宿のスタッフたちの中心にいた。
オラクルは完璧な令嬢の微笑みを浮かべ、扇で口元を隠しながら言った。
「昨夜はお楽しみでしたね?」
あの有名RPGのセリフ!
魔女は『愚者の黄金・狙撃』を準備した、照準はオラクルの眉間。
「脳内桃色預言者ぁ!脳みそがピンクか確認してあげる!」
「魔女さん、待って!ここではダメだ!」
劉斗が慌てて制止する。
「供給、潤いました。それでは、ご機嫌よう」
満足げに一礼すると、去っていった。
「「……休んだはずなのに、疲れた」」
二人のため息が虚しく響いた。
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