14 / 28
1章アンチチート編
第13話:ずるいわ、亜智
しおりを挟む
第13話:ずるいわ、亜智
1.日常:合理に塗りつぶされた王都
停戦交渉のため、劉斗、亜智、ゲンゾウが訪れた王都。
街の掲示板には『バランスバイク民生品発売・予約受付中』という広告。
軍用に開発した技術を即座に経済へと転換し、
利益を回収するフリーダの抜け目なさ。
『選べる仕事、軍、工、農――あなたの適性活用』
と書かれた求人広告が並んでいます。
「職業なんてものは、親の背中を見て継ぐもんじゃろう」
ゲンゾウが嘆く。
中央広場には、ラウンドアバウト(円環交差点)ができていた。
奇妙な乗り物の治安維持員たちが巡回していた。
「なんだ、あの二輪車?」
劉斗が驚きの声を上げます。
それはナノハが現代知識で再現したバランスバイク。
機動力とコスパを両立させている。
2.デリカシーのない「使者」
交渉を前に、一行が通されたのは、王都の新交流拠点、コーヒーハウスだった。
オラクルとフリーダに出迎えられ、
芳醇な香りを放つ直火式エスプレッソを振る舞われた。
亜智が店内を見渡すと、壁のポスターが目に入った。
『運命を越えた逃避行、舞台化決定!』
『あらすじ、王宮を飛び出した魔女が森で出会った少年を救い、
追っ手を振り切りながら愛を誓う』
亜智は引きつった笑いを浮かべる。
「(銭ゲバ)フリーダ。どこかで聞いたような話ね?」
フリーダは涼しい顔。
「身分違いの恋愛劇は、『ロミジュリ』からありますし。
続編のアイデアがあれば相応のお支払いを」
亜智は頭を抱えた。主犯のオラクルは扇で口元を隠し、微笑む。
「時間ですね、ではご案内いたします」
3.交渉の幕開け:信義
王宮の会議室の円卓には、銀髪のビスクドールが置いてある。
伊織、ナノハが椅子に座っていた。
「伊織。停戦交渉のテーブルに、その『お人形さん』を座らせるわけ?」
亜智の問いに、伊織は即答した。
「姿がどうあれ、彼はC9の一員。戦友は見捨ない」
亜智がドールを凝視する。
「チートの燐光、ユゴスと同じ」
人形が返事をした。
「テケリ・リ」
劉斗が椅子に座った。
「わかった。伊織、あなたは信用できそうだ」
4.システムの誇示:蒸気の胎動と「銀輪」の拒絶
ナノハが立ち上がる。
「コーヒーのお味はどうでした?直火式エスプレッソは単なる嗜好品ではない。
あれは蒸気機関のプロトタイプよ。外を見てくれる?
私たちは、個人の武勇を失っても、組織と技術力を手に入れつつある」
広大な練兵場では、先ほどの(バランスバイク)銀輪部隊が、
一糸乱れぬ動きで陣形を展開した。
「銀輪により、魔法使いや歩兵の機動力は飛躍的に向上。コストも最小限」
亜智がため息交じりに言う。
「『閲兵式』には出さない方がいいわ」
ナノハが首を傾げる。
「規律や新技術を誇示する、普通でしょう?」
亜智のため息が大きくなる。
「兵士たちが必死に地面を足で蹴って進む姿、
現地人からは馬を買えない貧乏軍隊に見えるわ」
「文化の壁、ね。次」
大砲が爆音とともに、何かを打ち出す。
「火薬がないなら、『爆発魔法』を砲身内に発現させ、弾丸を射出する」
魔法使いが3グループに分かれ、交代で1点に連続して打ち込む。
「三段撃ち、詠唱のタイムラグをなくし、面制圧を実現。これが私のカード」
ナノハが亜智に小声で話しかけた。
「……ゾティークをお墓で弔ってくれたと聞いた。おじさんの最期を教えて」
亜智は思い出すように言う。
「最後まで勇敢だったって、ナノハに伝言してくれって」
「……!ちょっと、それ、『伝言してくれ』の部分は言っちゃダメだよっ!」
思わず漏れたナノハの本音。完璧な元帥の仮面が剥がれ落ちた。
「おじさん、劉斗に一騎打ちを申し込んだの。亜智とは戦いたくない、
死んでも嫌だ。……もう死んでるけど?って」
「……おじさんらしいわ。本当に、バカなんだから……」
ナノハは椅子に座り、溢れそうになる涙を必死に堪える。
亜智は真っ直ぐ問いかける。
「私はおじさんの気持ちを尊重したいと思ってる。ナノハ、あなたはどう?」
「……ずるいわ、亜智」
ナノハは視線を落としました。
6.女王の出奔と不穏な兆候
亜智が室内を見回す。
「そういえばレギーナは?」
ナノハが立ち上がった。
「龍脈遺跡のピケットライン(哨戒線)に魔王軍が多数。
新たな召喚を警戒して集まった?このシンボルはーーレギーナ!」
伊織が立ち上がり、装備を手早く整える。
「すまぬが、交渉は中断だ。先行するぞ、ユゴス」
王宮の外では街道へ向け銀輪部隊が戦地へと展開していきます。
ナノハは亜智と劉斗に言います。
「私が指揮を執り、魔王軍は私が引き受ける。
だからクイーン(レギーナ)を頼むわ!」
1.日常:合理に塗りつぶされた王都
停戦交渉のため、劉斗、亜智、ゲンゾウが訪れた王都。
街の掲示板には『バランスバイク民生品発売・予約受付中』という広告。
軍用に開発した技術を即座に経済へと転換し、
利益を回収するフリーダの抜け目なさ。
『選べる仕事、軍、工、農――あなたの適性活用』
と書かれた求人広告が並んでいます。
「職業なんてものは、親の背中を見て継ぐもんじゃろう」
ゲンゾウが嘆く。
中央広場には、ラウンドアバウト(円環交差点)ができていた。
奇妙な乗り物の治安維持員たちが巡回していた。
「なんだ、あの二輪車?」
劉斗が驚きの声を上げます。
それはナノハが現代知識で再現したバランスバイク。
機動力とコスパを両立させている。
2.デリカシーのない「使者」
交渉を前に、一行が通されたのは、王都の新交流拠点、コーヒーハウスだった。
オラクルとフリーダに出迎えられ、
芳醇な香りを放つ直火式エスプレッソを振る舞われた。
亜智が店内を見渡すと、壁のポスターが目に入った。
『運命を越えた逃避行、舞台化決定!』
『あらすじ、王宮を飛び出した魔女が森で出会った少年を救い、
追っ手を振り切りながら愛を誓う』
亜智は引きつった笑いを浮かべる。
「(銭ゲバ)フリーダ。どこかで聞いたような話ね?」
フリーダは涼しい顔。
「身分違いの恋愛劇は、『ロミジュリ』からありますし。
続編のアイデアがあれば相応のお支払いを」
亜智は頭を抱えた。主犯のオラクルは扇で口元を隠し、微笑む。
「時間ですね、ではご案内いたします」
3.交渉の幕開け:信義
王宮の会議室の円卓には、銀髪のビスクドールが置いてある。
伊織、ナノハが椅子に座っていた。
「伊織。停戦交渉のテーブルに、その『お人形さん』を座らせるわけ?」
亜智の問いに、伊織は即答した。
「姿がどうあれ、彼はC9の一員。戦友は見捨ない」
亜智がドールを凝視する。
「チートの燐光、ユゴスと同じ」
人形が返事をした。
「テケリ・リ」
劉斗が椅子に座った。
「わかった。伊織、あなたは信用できそうだ」
4.システムの誇示:蒸気の胎動と「銀輪」の拒絶
ナノハが立ち上がる。
「コーヒーのお味はどうでした?直火式エスプレッソは単なる嗜好品ではない。
あれは蒸気機関のプロトタイプよ。外を見てくれる?
私たちは、個人の武勇を失っても、組織と技術力を手に入れつつある」
広大な練兵場では、先ほどの(バランスバイク)銀輪部隊が、
一糸乱れぬ動きで陣形を展開した。
「銀輪により、魔法使いや歩兵の機動力は飛躍的に向上。コストも最小限」
亜智がため息交じりに言う。
「『閲兵式』には出さない方がいいわ」
ナノハが首を傾げる。
「規律や新技術を誇示する、普通でしょう?」
亜智のため息が大きくなる。
「兵士たちが必死に地面を足で蹴って進む姿、
現地人からは馬を買えない貧乏軍隊に見えるわ」
「文化の壁、ね。次」
大砲が爆音とともに、何かを打ち出す。
「火薬がないなら、『爆発魔法』を砲身内に発現させ、弾丸を射出する」
魔法使いが3グループに分かれ、交代で1点に連続して打ち込む。
「三段撃ち、詠唱のタイムラグをなくし、面制圧を実現。これが私のカード」
ナノハが亜智に小声で話しかけた。
「……ゾティークをお墓で弔ってくれたと聞いた。おじさんの最期を教えて」
亜智は思い出すように言う。
「最後まで勇敢だったって、ナノハに伝言してくれって」
「……!ちょっと、それ、『伝言してくれ』の部分は言っちゃダメだよっ!」
思わず漏れたナノハの本音。完璧な元帥の仮面が剥がれ落ちた。
「おじさん、劉斗に一騎打ちを申し込んだの。亜智とは戦いたくない、
死んでも嫌だ。……もう死んでるけど?って」
「……おじさんらしいわ。本当に、バカなんだから……」
ナノハは椅子に座り、溢れそうになる涙を必死に堪える。
亜智は真っ直ぐ問いかける。
「私はおじさんの気持ちを尊重したいと思ってる。ナノハ、あなたはどう?」
「……ずるいわ、亜智」
ナノハは視線を落としました。
6.女王の出奔と不穏な兆候
亜智が室内を見回す。
「そういえばレギーナは?」
ナノハが立ち上がった。
「龍脈遺跡のピケットライン(哨戒線)に魔王軍が多数。
新たな召喚を警戒して集まった?このシンボルはーーレギーナ!」
伊織が立ち上がり、装備を手早く整える。
「すまぬが、交渉は中断だ。先行するぞ、ユゴス」
王宮の外では街道へ向け銀輪部隊が戦地へと展開していきます。
ナノハは亜智と劉斗に言います。
「私が指揮を執り、魔王軍は私が引き受ける。
だからクイーン(レギーナ)を頼むわ!」
0
あなたにおすすめの小説
婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。
國樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。
声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。
愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。
古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。
よくある感じのざまぁ物語です。
ふんわり設定。ゆるーくお読みください。
追放令嬢と【神の農地】スキル持ちの俺、辺境の痩せ地を世界一の穀倉地帯に変えたら、いつの間にか建国してました。
黒崎隼人
ファンタジー
日本の農学研究者だった俺は、過労死の末、剣と魔法の異世界へ転生した。貧しい農家の三男アキトとして目覚めた俺には、前世の知識と、触れた土地を瞬時に世界一肥沃にするチートスキル【神の農地】が与えられていた!
「この力があれば、家族を、この村を救える!」
俺が奇跡の作物を育て始めた矢先、村に一人の少女がやってくる。彼女は王太子に婚約破棄され、「悪役令嬢」の汚名を着せられて追放された公爵令嬢セレスティーナ。全てを失い、絶望の淵に立つ彼女だったが、その瞳にはまだ気高い光が宿っていた。
「俺が、この土地を生まれ変わらせてみせます。あなたと共に」
孤独な元・悪役令嬢と、最強スキルを持つ転生農民。
二人の出会いが、辺境の痩せた土地を黄金の穀倉地帯へと変え、やがて一つの国を産み落とす奇跡の物語。
優しくて壮大な、逆転建国ファンタジー、ここに開幕!
【完結】婚約者?勘違いも程々にして下さいませ
リリス
恋愛
公爵令嬢ヤスミーンには侯爵家三男のエグモントと言う婚約者がいた。
先日不慮の事故によりヤスミーンの両親が他界し女公爵として相続を前にエグモントと結婚式を三ヶ月後に控え前倒しで共に住む事となる。
エグモントが公爵家へ引越しした当日何故か彼の隣で、彼の腕に絡みつく様に引っ付いている女が一匹?
「僕の幼馴染で従妹なんだ。身体も弱くて余り外にも出られないんだ。今度僕が公爵になるって言えばね、是が非とも住んでいる所を見てみたいって言うから連れてきたんだよ。いいよねヤスミーンは僕の妻で公爵夫人なのだもん。公爵夫人ともなれば心は海の様に広い人でなければいけないよ」
はて、そこでヤスミーンは思案する。
何時から私が公爵夫人でエグモンドが公爵なのだろうかと。
また病気がちと言う従妹はヤスミーンの許可も取らず堂々と公爵邸で好き勝手に暮らし始める。
最初の間ヤスミーンは静かにその様子を見守っていた。
するとある変化が……。
ゆるふわ設定ざまああり?です。
異世界ランドへようこそ
来栖とむ
ファンタジー
都内から車で1時間半。奥多摩の山中に突如現れた、話題の新名所――「奥多摩異世界ランド」。
中世ヨーロッパ風の街並みと、ダンジョンや魔王城を完全再現した異世界体験型レジャーパークだ。
26歳・無職の佐伯雄一は、ここで“冒険者A”のバイトを始める。
勇者を導くNPC役として、剣を振るい、魔物に襲われ、時にはイベントを盛り上げる毎日。
同僚には、美人なギルド受付のサーミャ、エルフの弓使いフラーラ、ポンコツ騎士メリーナなど、魅力的な“登場人物”が勢ぞろい。
――しかしある日、「魔王が逃げた」という衝撃の知らせが入る。
「体格が似てるから」という理由で、雄一は急遽、魔王役の代役を任されることに。
だが、演技を終えた後、案内された扉の先にあったのは……本物の異世界だった!
経営者は魔族、同僚はガチの魔物。
魔王城で始まる、まさかの「異世界勤務」生活!
やがて魔王の後継問題に巻き込まれ、スタンピードも発生(?)の裏で、フラーラとの恋が動き出す――。
笑えて、トキメいて、ちょっと泣ける。
現代×異世界×職場コメディ、開園!
【完結】悪役令嬢ですが、断罪した側が先に壊れました
あめとおと
恋愛
三日後、私は断罪される。
そう理解したうえで、悪役令嬢アリアンナは今日も王国のために働いていた。
平民出身のヒロインの「善意」、
王太子の「優しさ」、
そしてそれらが生み出す無数の歪み。
感情論で壊されていく現実を、誰にも知られず修正してきたのは――“悪役”と呼ばれる彼女だった。
やがて訪れる断罪。婚約破棄。国外追放。
それでも彼女は泣かず、縋らず、弁明もしない。
なぜなら、間違っていたつもりは一度もないから。
これは、
「断罪される側」が最後まで正しかった物語。
そして、悪役令嬢が舞台を降りた“その後”に始まる、静かで確かな人生の物語。
無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった!
「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」
主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!
婚約破棄されたので、隠していた聖女の力で聖樹を咲かせてみました
Megumi
恋愛
偽聖女と蔑まれ、婚約破棄されたイザベラ。
「お前は地味で、暗くて、何の取り柄もない」
元婚約者である王子はそう言い放った。
十年間、寡黙な令嬢を演じ続けた彼女。
その沈黙には、理由があった。
その夜、王都を照らす奇跡の光。
枯れた聖樹が満開に咲き誇り、人々は囁いた。
「真の聖女が目覚めた」と——
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる