最強チート集団、雲上の支配者を地に落とす

ニャルC

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1章アンチチート編

第12話:草むしり

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第12話:草むしり

ユゴスは歓喜した。
劉斗という稀覯本の禁断の知識を独占した喜び。
赤い炎が弾けると、劉斗を飲み込んでいた粘液が崩壊し始めた。

「……ごほっ、ごほっ!!」
粘液まみれの地面で、劉斗が目を覚ます。
「俺、どうなったんだ。確か、あいつに飲まれて……」
亜智は腕組みしながら、答えた。

「劉斗のアンチチートは、チートを阻害する。
ユゴスは全身がチート、だからアンチチートは、自壊する毒。
心臓を止めて、無害になった瞬間に吸収を開始した。
でも『おじさんのお守り』が蘇生させた。
ユゴスは結果的に自壊する毒を吸収したの」

対魔王軍前線:崩壊する相棒
「毒書が過ぎた、リンク、切断!」
その言葉を最後に、伊織の隣のユゴスは粘液になった。
そこへ魔王軍から、矢の雨が降り注ぐ。

「厄日」
伊織は足元に広がる「ユゴスだったもの」を強引に矢筒の中へと押し込む。
助けられた恩義か、伊織が死ねば自分も、という共生か。
ユゴスは人外の探知能力を伊織へ提供する。
「後方、土煙の向こうに熱源3。弓兵」
「承知」
「地面の振動、地中からの不意打ち」
伊織の技を、ユゴスの人外のセンサーがサポートする。
それでも辛勝だった。

前線から帰還した伊織を、ナノハは出迎えた。
「ユゴスはどこ?」
ナノハの問いに、伊織は矢筒を机の上に置いた。中から粘液が出てくる。
「捨ててきなさい」
「捨て犬ではない。ユゴスだ。接近戦は出来ないが、索敵能力がある。
戦友は見捨てない」
ナノハは頭を抱えた。

「せめて見た目だけでも何とかして。私の正気度が削られる」
粘液の表面に無数の目が浮かび上がる。司令室に飾られていた、ビスクドールを見ている。
数分後。机の上には、銀髪と、黒いゴスロリ風の衣装を纏った、ビスクドールがもう一体。

「何があったの、ユゴス」
ユゴスは告げた。
「アンノウンに手を出した結果がこれだ、よ。」

王宮の私室。浅い眠りについたレギーナ。
夢はあの日、全てが狂う直前のサービスエリアだった。
集合時間に数分遅れて走ってきたレギーナを、無関心か、冷ややかな視線で迎えた。
「……はぁ、マジクソ」
ウルフギャングが吐き捨てる。
隣でポテトを突いていた友人が、軽い調子で応じる。
「それな」

「レギーナ、起きて。会議の時間よ」
誰かの声に揺り起こされ、レギーナは汗を拭いながら目を開けた。
「私の遅刻のせいで、皆がこんな場所に……。私がなんとかしないと」

円卓に空席があるが、ナノハが会議を進める。
「まず現状。アルベルト、ゾティーク、ロスト。ユゴスの弱体化。
ウルフギャングの引きこもり悪化。全ての選択肢を排除しない。
ユゴス、アンノウンの正体は?」
「亜智と現地人の劉斗だね」
ナノハの表情が険しくなる。

「現地人?人に擬態する魔物ではなく、ただの人間?
劉斗という男は規格外なの?アルベルトに勝てるほど?」
ユゴスは首肯する。

「チートの精度が低下する。存在自体が矛盾した唯一無二の稀覯本」
ナノハは天井を仰ぐ。
「だから、ディープブルーがバグった。筋は通る、理外の理ね。
でも無効ではなく低下でアルベルトが?」
思い出すようにユゴスが答える。

「戦った感じ10%は低下する、よ」
伊織がいぶかしげに問う。
「……僅か10%?」
「1回で10%を引くこともある、よ。
ほら10連ガシャで1回でSSR引くみたい、に。
亜智も腕を上げて、アルベルトやゾティークのチートの贋作まで作った。
あれにはしてやられた、よ」
伊織は問いを重ねる。

「動機は?」
ユゴスは笑う。
「単純だ、よ?アルベルトが、劉斗の村を焼いた。亜智はその手伝い」
刀の柄に手をかける伊織。

「報復はC9全員か?」
ユゴスは茶化します。
「伊織、切腹しなくていい、よ。ゾティークの『墓』を作ってた、から」
ナノハが頭を振ります。
「交渉可能ね。あと亜智が組織を抜けた理由ね」
オラクルが断言する。

「それは運命ですわ」
彼女が扇を広げると画像が浮かび上がる。
する鉄骨から、亜智を必死に庇う劉斗の姿。
「啓示にはこうありました。『運命、人』と。運命の人に出会い、駆け落ちです!」
レギーナは震える指先を隠し、嘲笑う。

「似合わな!異世界で駆け落ち、ないわー」
フリーダが事務的に言う。
「オラクルのその物語?は使える」
オラクルの表情が一瞬虚ろになる。

「啓示です。龍脈に力が満ちる。新たなる召喚の検討は?」
レギーナの顔から血の気が引いた。
「ちょっと、お花摘んでくる」
彼女はそれだけ言い残し、逃げるように会議室を後にしました。
伊織が冷たく言う。

「却下。召喚なら現地人が行えばいい。我々が召喚の犠牲者を増やすな」
オラクルが軽やかな声で言います。
「そういえば、召喚はランダムではなく、『適格者』を選択すると聞きましたわ。
『適格者』の条件って、何でしょうね?」
彼女の視線はユゴスへと向けられました。

「?レギーナ、帰ってこない。お花摘みじゃなくて、草むしり?」
ナノハは深く息を吐く。
「魔王軍との戦線の維持もある。交渉の余地があるなら、それが最善。
異議がないなら、休戦の使者を送ります」
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