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はちじゅうなな

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    病院の建築が始まった。病院に患者が来るなら付き添いで来る人もいる。付き添う人達の宿泊施設などの需要と供給。それを景気浮揚策と捉える村長は、用地を張り切って準備してくれた。

    「バリアフリーはクラウスのアイデア?」
設計図を見るアルフォンスの問いに答える。
「バリアフリーじゃなくてユニバーサルデザイン。中核病院だから他の病院のモデルケースにならないとな」
詳しくないけど、思いつく限り設計に取り入れた。
「完成したら閣下に見にきてもらおうと思ってる」
「へー。珍しく積極的じゃないか」
「さすがに礼儀だろ?それに、もうオレに飽きたっぽいし」
アルフォンスが目を見開いた。
「なんでそう思うんだい?」
「コーヒー貰った時、商談相手みたいにベラベラ喋ってくれた。だいたい、この病院だって時間をムダにさせたからって建ててくれるんだ。閣下にとってもムダな時間だったんじゃない?」
ちょっと涙声になったのがアルフォンスにバレた。
「追いかけられるのは困るけど、飽きられるのはイヤ?ワガママだねえ」
オレの頭をアルフォンスがぽんぽんと叩く。
「想像するんじゃなくて、閣下の気持ちを聞かせてもらいなよ」
アルフォンスの手に頭をぐりぐりこすりつける。
「怖いからやだ!」
「病院は、クラウスとの縁が切れないために建てるんじゃないのかな?」
「手切れ金に思える」
ふう、と息を吐いてアルフォンスはオレの頭から手をおろした。
「君こそこじらせてるじゃないか」
「オレはいーの!」
アルフォンスが冷たい視線を投げてきた。
「いい年したおっさんがねても可愛くないよ」
言葉に詰まったオレに、完成したら見に来ると言い残してアルフォンスは帰っていった。
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