【朗報】体型に自信のなかったこの俺が、筋トレしたらチート級の筋肉になった! ちょっと魔王倒してくる!【ラノベ】

ネコ飼いたい丸

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第十八話 北の大森林

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 北の大森林は人間にとって未開の地だ。
 何度も人類はこの森を開拓しようとしてきたらしい。

 しかし、そのたびに失敗に終わった。
 この森はエルフによって守られてきたからだ。

 踏み固められた道もなければ、明かりもない。
 地面一面には雑草が茂り、木々が月あかりを遮断する。

 辺り一面真っ暗だ。

 オリバは目を閉じる。

 風が木々を揺らす音や虫の鳴く音が聞こえる。
 フクロウの鳴き声も聞こえる。
 遠くで大型動物の遠吠えも聞こえる。

 真っ暗だが何もないわけでない。
 強い生命力を感じる。

 オリバは改めて北の大森林に足を踏み入れていると実感する。

「オリバさん、急ごう。エルフの村に通じる魔法のゲートは夜中のうちしか開かないんだ」

「急ぎたいが暗くて前が見えない。手探り状態で歩いてるから遅くなってしまう……」

「あっ、そっか! オリバさんは人間だもんね。ちょっと待っててね」

 リックは何やらゴソゴソとあたりを探しまわる。

「おっ! あった、あった。これならいけるでしょ。森魔法・月夜のともしび!」

 リックは木の枝を握っている。
 木の枝がランプのように緑色に光り、あたり一面を照らす。

「これでオリバさんも周りが見えるでしょ。エルフはみんな魔法が使えるからねっ!」

 リックは自慢げに胸をはる。

 オリバは辺りを見渡す。

 この森にはオリバが想像していた以上に多種多少な生き物が息吹いていた。

 見たことないつる状の植物。
 怪しい色のキノコ。
 足元をピョコピョコ飛び跳ねている丸い虫などがオリバの目に映る。

「ありがとう! これならもっと早いスピードで歩ける」

 オリバは礼を言う。

 ふたりは森の中を突き進む。

 倒れている大木を飛びこえ、茂みをかき分ける。

 腰まで水に浸かりながら川を横切る。

 眠っている鹿の横をそっと通り抜ける。

 熊同士の縄張り争いを目の当たりにしつつ、息をころして通り過ぎる。

 ふたりは森の奥へどんどん進む。

 リックが急に立ち止まった。

「この先に大きな生き物がいる……。刺激しないように大きな声は出さないでね」

 リックは小声でオリバに警告する。

 それはこちらに向かってくる。

 その生き物が木の枝にぶつかるたびに木の枝が折れる音が森中に響き渡る。
 それが一歩踏み出すごとに振動が大地から伝わってくる。

 目の前の茂みが大きく揺れる。

 高さ3メートル近い巨大イノシシが茂みから現れた。

 三つの目に四本の大きな牙。
 全身の筋肉は異様に発達しており、その筋肉を真っ黒で針金のような毛が覆っている。
 まさに森の覇者といった風格だ。

 オリバは戦闘態勢をとる。

「安心して、オリバさん。彼は森の霊獣・ヴォルカノ。むやみに生き物を傷つけない。ボクが説得するよ」

 リックは無防備にヴォルカノに近づいていく。

 ヴォルカノは黙ってオリバを睨んでいる。

「森の霊獣ヴォルカノさん、お久しぶりです! リックです。あそこにいるのはボクの友達のゴリラさんです」

 リックはオリバを指さす。

「ウホッ! ゴリゴリッ!」

 オリバはとっさにゴリラの真似をする。

「あのゴリラは悪いやつじゃないです。人間の言葉を喋れるシャベゴリです。ここを通してもらえないでしょうか?」

「ヴルル……ガル……ヴル」

 ヴォルカノはオリバを見つめ低く太い声で唸る。

「ふんふん、なるほど。ヴォルカノさんのご心配はもっともです。でも大丈夫。彼は人畜無害なゴリラですから!」

「ヴー……ガル……ヴー」

「ご安心ください。ボクは森の守護者エルフです。いざとなったら魔法でなんとかしますよ」

「……ヴヴヴ……ガル」

 ヴォルカノは突然、踵を返し森の中へと帰ってゆく。

「ヴォルカノさん、また今度ゆっくり話しましょうね!」

 リックはヴォルカノに向かって手を振った。

 ヴォルカノの足音がだんだん小さくなる。
 しばらくすると足音は聞こえなくなった。

「凄いな、リック! さすが森の守護者。エルフは動物と話せるんだな」

 オリバは尊敬の眼差しをリックに向ける。

「エッヘン! ボクも伊達だてにエルフじゃないからね。エルフは森の守護者。森の声を聴く者さ」

「ヴォルカノは何て言ってたんだ?」

「さあ? わかんない。人間の町に長くいたから動物の言葉を忘れちゃった」

 リックはさらっと笑い飛ばす。

「えっ! さっき『ふんふん、なるほど』とか言ってたよな!?」

「まあまあ、オリバさん。そこはご愛嬌ということで」

「いやいや! 『エッヘン! ボクも伊達にエルフじゃないからね』とか言ってたぞ?」

「細かいことは気にしない。会話なんてフィーリングだよ。エルフのフィーリング、エルフィングってやつだね」

 リックは少しも悪びれずニコニコしている。

 ……このエルフ、本当はいいかげんなんじゃないか?

 エルフの村に辿り着けるだろうか……。

 一抹の不安がオリバの脳裏をよぎる。

「さあ、気を取り直して元気よく前に進もう! 森の守護者たるボクが案内するから、オリバさんは大船に乗った気持ちでいてね!」

 そんなオリバの不安をよそに、リックは元気よく歩き始める。

 ふたりはさらに森の奥へと進む。

 川を渡り、崖を飛び越え、山を登っては下る。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 もうどれくらい歩いただろうか。

 森の中は木々で覆われ、空は見れない。
 時間の感覚が麻痺する。

 それでも数時間は森を歩いてるハズだ。

「……ん? あそこに何かある……」

 オリバは大きな石の上に黄色い何かが置かれていることに気づく。

 ふたりは大きな石のもとまで行く。

 石の上には一本のバナナが置かれていた。

「こ……これは……」

 リックが目を丸くする。

「リック、これはバナナだ。人間にはそんなに珍しい果物じゃない」

「そんなこと知ってるよ! そうじゃないんだ……。この近くにバナナの木はない。なのにここにバナナがあるってことは……」

 突然、周りの茂みが揺れ動く。
 茂みの中を何かが走りまわる音がする。
 姿は見えない。数十人はいる。

「しまった! 奴らに囲まれた! オリバさん、注意して!」

 リックが叫んだ。


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