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第1話 追放
しおりを挟む「ノーズよ。おぬしは勇者にふさわしくない。今すぐこの場から立ち去るがよい!」
ハイデン国王の威厳に満ちた声が城内に響き渡る。
「えっ……いま、なんとおっしゃいましたか?」
国王の言葉が理解できずに俺は思わず聞き返す。
「お前はもう必要ないと言っているのだ! おぬしのスキル名を言ってみよ!!」
国王は軽蔑の眼差しを俺に向ける。
「鼻毛無双で――」
「そんなスキルの勇者がいるかっ!! 勇者は国の顔! 他国に笑われるじゃろう!」
俺の言葉をさえぎる国王。
「……人気もたしかに大事です。ですが、勇者の仕事はモンスターを倒すこと。俺はこの鼻毛無双で誰よりも多くのモンスターを倒してきました!」
数百年前から恐れられた龍の王・黒龍も討伐した。
南部にある人類未踏の最難関ダンジョンも攻略した。
この王国の歴史上、俺はもっとも武功を上げた勇者と言いきれる自信がある。
「我が王国内に強いモンスターはもうおらぬ。最難関ダンジョンも攻略済みじゃ。これから重要になるのは武力ではない! 国民に支持される、人気のある勇者じゃ!!」
「これからもっと人気がでるように努力します! どうかチャンスをください!!」
「人気がでるじゃと……おぬしは鏡を見たことがあるのか?」
「もちろんございます。何か問題ありますでしょうか?」
手渡された鏡で自分の顔を確認する。
いつもと変わりない。
「何が問題かじゃと!? おぬしの鼻をよーく見てみろ!!」
鼻に注目してもう一度鏡を覗き込む。
「いつも通りです。何も問題が見当たりません」
「鼻毛が飛び出ているだろう! ハ・ナ・ゲがっ!! 鼻毛が飛び出ている勇者なんぞ聞いたことがない!!」
「これは飛び出ているのではありません! 敢えて鼻から出しているのです。鼻毛は俺の武器。いつどこで敵に襲われても対処できるように、使い勝手の良い鼻毛を一本だけ出しているのです!」
「黙れ!! 鼻毛が飛び出ていることに変わりない!! HA・NA・GEが!!」
「この鼻毛のおかげで敵の襲撃を何度もしのいでおります! この鼻毛は鼻毛ナンバー074『推しの毛ん』といいます!」
「知るかっ!」
「程よいコシとしなやかさを持ち、攻防一体に優れた中太鼻毛となります」
「おぬしの鼻毛に興味はない!!」
顔を真っ赤にする国王。
「鼻毛は平等です。絶世の美女にも、国を治める国王様にも鼻毛は生えています。鼻毛は人間の一部です。逆に言えば、人間は鼻毛の一部です」
「人間は鼻毛の一部!?」
「はい。昔の哲学者がこう言いました。『人間は考える鼻毛である』と」
「それは『人間は考える葦』じゃろう!?」
「そうとも言います。俺が言いたいことは、鼻毛を忌み嫌う必要はないということです。鼻毛は私たちの役に立っています。鼻毛によって私たちは生かされているといっても過言ではありません」
「過言じゃ!!」
「鼻毛を一本抜いてみてください。痛いです。人はそうやって痛みを知って、他人の痛みも分かる優しい大人になれるんです」
「黙れ! さっきからこの神聖な謁見の間でハナゲ、ハナゲと連呼しおって! 鼻毛の話はもうたくさんじゃ!!」
怒りで鼻の穴を大きく膨らませる国王。
心なしか国王の鼻毛たちが悲しんでいる気がする。
国王は高齢ながら端正な顔立ちをしている。その容姿ゆえに女性からの支持が高い。
しかし、見た目で人を評価するところが以前から気にはなっていた。
「ノーズよ、いますぐこの国を去れ! この国にお前のような鼻毛が飛び出た勇者は不要!! これが最後の通告じゃ!」
親衛隊が俺の周りを取り囲む。
「……わかりました。今すぐ国を出ます……」
国王に逆らえば反逆者として投獄。
俺に選択肢はない。
やりきれない気持ちを押し殺し、それだけ言って城を去った。
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