ブチギレ勇者と学年一かわいい幼なじみ~ドキドキッ! 宇宙人のダンジョン☆攻略大作戦!!~

ネコ飼いたい丸

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第24話 第3階層 ボス その3

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「今度はボクの番だ! ランダム魔法!!」

 ヨウスケのマジックポイントが40になる。
 杖の上に文字が浮かび上がる。

『魔法:中二病的な攻撃魔法』
『発動条件:中学時代に考えた中二病的な攻撃魔法を述べよ。それがそのまま魔法となり発動する』

「やっぱり黒歴史で攻めてきたっ! うすうすそんな気はしてたけど……」

 うな垂れるヨウスケ。

「元気だしてくれ! ヨウスケ先輩がみんなのために頑張ってくれてること、ボクたちちゃんと知ってるよ」

 ホノカはほほ笑む。

「ほ、ホノカさん……」

 ヨウスケの頬が赤くなる。

「そうよ、エターナル……いえ、ヨウスケくん。ヨウスケくんの頑張りは私たちの心に永遠エターナルに刻まれているわ」

 リンは両手を胸に当てる。

「リンさん!? なんか悪意を感じるんですけどっ!?」

「それは被害妄想よ。言いがかりはやめてちょうだい」

 リンはプイと横を向く。

「魔法使いですか……やっかいですね~」

 リーマン鈴木はヨウスケとリンに顔を向ける。

「ヨウスケ! 早く魔法を使ってちょうだい! リーマン鈴木に攻撃される前にっ!!」

 レナは盾を前に突きだす。後ろにいるヨウスケたちを守る態勢をとる。

「う、うん! 2年B組 飯田 陽介、中学時代に考えた中二病的な攻撃魔法を発表します!!」

 ヨウスケは右手を開いてリーマン鈴木に突き出す。大声で魔法を唱える。

究極魔法アルティメット・マジック! 黒龍ブラックドラゴン殲滅砲・エクスターミネイトキャノン!!」

 ……

「おっ、おう……その……悪いんだけどよ……相棒の手から魔法はでないぜ……」

「……うん。そうだよね……ついね……うん……」

 ヨウスケは右手をそっと降ろす。

「と、とにかく、発動条件クリアだぜ! 相棒の中二病、しかと受け止めたぜ! いくぜ、黒龍ブラックドラゴン殲滅砲・エクスターミネイトキャノン!!」

 バロンの上に漆黒のエネルギーが現れる。
 リーマン鈴木に向かって漆黒のエネルギーが放たれる。

「なっ、早い! 避けられませ――」

 リーマン鈴木は漆黒のエネルギーに飲み込まれる。
 後ろに吹き飛ばされて壁に激突する。

「ぐっ……やりますね。頭にネクタイを巻いて防御力をアップしていなかったらやられていましたよ……」

 リーマン鈴木のメガネにヒビが入る。
 ライフは30になり、髪の毛はヒラヒラと床に舞い落ちる。

 リーマン鈴木の頭皮はもはやバーコードではない。
 ギターの弦くらいの本数しか髪の毛が生き残っていない。

「今度は私の番です。そのマントでもこれは防げませんよ」

 リーマン鈴木はカッターやハサミ、ホチキスなどの文房具を空中に投げる。
 大きく息を吸う。

「ヘッ……ヘッ……ヘックシュゥゥウウーン!! プッ、プ~~。おっと、ついでにオナラもでましたね」

 リーマン鈴木は少し嬉しそうに微笑む。
 クシャミの爆風に乗ってカッターやハサミ、色々な文房具がハヤトたちに飛んでくる。

「みんな、私の後ろに隠れて!!」

 レナは盾を前に突き出して守りを固める。
 ハヤトたちはレナの後ろに一列に並ぶ。

 レナの盾がカッターやハサミを弾く。

「ちっ……普通のカッターやハサミじゃ衝撃が足りないわね……」

 レナは残念そうにボソッと呟く。

「あいたっ! 鉛筆が服に刺さったでゴザル!」

 列の最後尾にいるレンタロウは鉛筆を服から抜き取る。
 レンタロウのライフが50になる。

「リーマン鈴木のライフは残り30。ここで一気に畳みかけましょう。具現化! 極楽浄土ごくらくじょうど!!」

 リンは『四字熟語辞典』を開く。
 マジックポイントが40になる。

 突如、リーマン鈴木の足元が光りだす。
 床から色とりどりの花が咲き乱れる。
 リーマンの左手に缶チューハイ、右手に唐揚げさんが現れる。

「あぁ~~仕事しないで飲む酒は最高にうまいですね~。いや~極楽極楽!」

 リーマン鈴木は唐揚げさんを頬張りながら缶チューハイをゴクゴク飲む。

「隙ありっ! 正拳突き!!」

 ハヤトはリーマン鈴木の胸にパンチを打ち込む。

 リーマン鈴木は吹き飛び、デスクにぶつかって崩れ落ちる。

「うぅ……戦っているのを忘れていました。恐ろしい魔法ですね……」

 リーマン鈴木はフラフラしながら立ち上がる。
 ライフが10になる。
 頭のバーコードはもはや一本の線になっている。

「これで終わりだ! 覚悟しろ!!」

 ハヤトがリーマン鈴木に飛びかかったとき――

「秘儀! ザビエルの輝き!!」

 リーマン鈴木は頭をハヤトたちに向ける。
 リーマン鈴木の頭は蛍光灯の光を反射する。
 部屋中が真っ白な光に包まれる。

「くっ……眩しすぎて何も見えない……」

 ハヤトは目を細めてリーマン鈴木を探す。
 しかし、真っ白な光のほかに何も見えない。

 その隙にリーマン鈴木は机の引き出しを開け、何かを取り出した。

「おしかったですね~。もう少しで私を倒せたのに」

 リーマン鈴木は右手に小さいボトルを握りながらニヤニヤしている。

「なんだ、そのボトルはっ!?」

 ハヤトは構える。

「これは私たちオジサンの秘薬です。希望の薬と言ってもよいでしょう。そう、発毛剤・リアップです!!」

 リーマン鈴木はふりかけをご飯にかけるように、リアップを頭にフリフリする。

「来た! 来ましたよ!! 毛根が喜んでいます! 力がみなぎって来ます!!!」

 リーマン鈴木の頭がみるみる復活してゆく。
 完全なバーコード頭に戻り、ライフも100になる。

「くそっ! 最初からやり直しかっ!!」

 ハヤトは歯ぎしりする。

「しかし、あれが最後の一本です。もう回復できませんので、本気で行きますよ」

 リーマン鈴木は丸めた新聞でハヤトに襲いかかる。

 ハヤトはなんとか両手で新聞を防御する。
 すぐにリーマン鈴木のネクタイが飛んでくる。
 ハヤトは後ろに下がってネクタイをよける。

「つ、強いっ! あのネクタイがやっかいだな……」

 ハヤトの頬を汗が流れる。

「ボクが魔法を使うよ! これが最後の魔法。リーマン鈴木にダメージを与えるよ!」

 ヨウスケは苦戦しているハヤトを見つめながら叫んだ。

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