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01 チュートリアル
18 Baltroy (AIなしのレプリカント)
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呼吸を整える。頭が冷えてきた。薄暗い照明の中、壁を向いている白い顔をこちらに向けさせて口付けた。自分の背が影になって、イグニスを覆う。ふと、その目が闇の中で緑とブルーに光っていることに気がついた。
「え?」
はっと体を離す。相手も肘をついて体を持ち上げた。さらさらと頬にかかる銀の髪……違う。銀色じゃない。一瞬銀色に見えるが、どちらかというとパールブルーに近い。青白い炎のような髪。ゆっくりとその髪が群青色に染まっていく……
「……ヴェスタ……?…」
「……ほらな」
「お前、騙したのか?」
「騙した? 言っただろ。あんたはイグニスに欲情してんじゃないって。匂いに反応してるだけだって。今度こそわかっただろ?」
イグニスの匂いが残っている。確かにこれはイグニスの匂いだ。どうして?
「俺は騙そうとしたんじゃない。バルがどうしても話を聞いてくれないから、イグニスが持ち歩いてた香水ビンの中身をちょっと付けただけ。目が覚めただろ?」
目が覚めた? とんだ意趣返しだ。
「勝手に余計なことすんじゃねえよ!」
「まだわかんないのかよ!」
暗闇の中でブルーとグリーンのオッドアイが光っていた。そうだった。片目が暗視で片目がサーモ。暗闇でこいつの目を見たことがなかった。こいつからは俺がくっきり見えているに違いない。
「なんで……ここまでやる必要あったか?」
「逆になんで、ここまでやってもわかんないの? 普通じゃないだろ? 愛してる相手がわかんないって……」
群青色は闇に溶けそうなくらい濃くなっていた。ヴェスタは床に散らばった服を乱雑に着て、部屋を出て行った。それでやっとその部屋がヴェスタの部屋だったことに気がついた。
ヴェスタがイグニスの匂いをさせていたことは確かだ。あれは体臭じゃなくて、香水みたいなものの匂いだったんだろう。ヴェスタが正しい……。でも普通の香水なら香水だとわかる。俺はなんであれを体臭だと思ったのかな。
翌日、検査室のユミンを訪ねた。ヴェスタはあの後出て行ったっきりだった。
「体臭とは何か? 随分根本的な質問ね」
「体臭だと思ってたいい匂いが香水のにおいだったんだ。何が違ったのかと思って」
「体臭っていうのは、大雑把に言うとその人がつけてる雑菌の老廃物のにおいなのよね。大部分は。だから基本的にあまりよい匂いじゃないわけ。そして人によって持ってる菌が違うから、一人一人違うにおいになる」
そこまでは大体知っている。
「でもね、すごくいい匂いだと感じることもある。それはフェロモンのせいだと言われてる。フェロモンて言うのは、汗腺などから汗とかと一緒に出る匂い物質で、動物なんかだとこの匂いで異性を発情させるくらいの威力があるわけ」
発情……。
「だからもし、人の体臭がものすごくいい匂いだと思ったのなら、その人の分泌するフェロモンに反応してると考えられる。その匂いが香水だったとしたら、何かのフェロモンを抽出した匂いだったのかも。それなら体臭と勘違いするかもしれない」
においで人を操っているのかも。ヴェスタは気がついたわけだ。
「そういうことはできるのかな。実際に、誰かが発情するようなフェロモンを抽出して、身につけることで意図的に注意を向かせるような」
「うーん、できるんじゃない? 一時期そういう制汗スプレーあったわよ。効果はわからなかったみたいだけど。発情まで行かなくても、脳内麻薬を分泌させるような匂いはあったはず。オキシトシンやドーパミンなんかを匂いで誘発するの」
におい。
検査室から真っ直ぐカラスのブースに行く。カラスは一瞬身を固くした。
「カラス」
「……おう、バル」
「変なこと聞くけど、イグニスと会うとめちゃくちゃやりたくならないか? 特に、あいつの部屋と車の中」
「………なる」
イグニスの部屋にはいつも彼のにおいが充満していた。オートキャリアで移動中も狭い密閉空間。俺の部屋でにおいが薄くなるのは、常時換気してるからだ。
その次の日もヴェスタはいなかった。どこにいるんだ? ホテルか何かに泊まってるのか? ものすごく怒って不機嫌になってたから。出勤もしていない。代理で有給を申請して二日目になる。謝りたかった。ヴェスタの言う通りでたぶん間違いない。イグニスの意図はわからないが、とにかく俺はあの匂いでイグニスを好きにさせられていたんだろう。
何のために?
こんな時、いつもならヴェスタがいてぐだぐた喋っていた。だらだら話すうちに考えがまとまって次のヒントが見えてきて、細い糸が繋がっていった。
ヴェスタには何度かコールしてみたけど、反応がなかった。ブリングは持っていったみたいなのに。
──なんでいなくなってから言うの?
ニゲイラを探すってことになった時に言ってたな。なんでだろうな。俺の場合、ずっといると思ってたからかな。支配率ゼロなんだから、ずっといるなんて保障はどこにもないのに。
さて。一人で考えなきゃならない。何でイグニスは俺に近づいて来た? 何の目的で? そもそもを思い出してみよう。オートキャリアを譲った。これが始まり。でも、俺が譲ったのは定期便で予約してるやつだ。俺のことをちょっと見てたら、あの時間にあの場所に俺が予約した車が定期で来るってわかる。
そこで発情を誘発するような──一目惚れしちゃったと勘違いするようなフェロモンを付けたレプリカントを配置する。見事、レプリカントは俺の生活に入り込む。
俺の生活に入り込んで何が得なんだ? ヴェスタならなんて言うだろうか。「ゴシップ記事の記者じゃなくて、捜査官としての情報を盗みたいんじゃない?」そうだな。それくらいは言う。だからイグニスはうちに来たがってブリングを覗き見したりした。本当ならあの変な匂いのする薬品を使って何かするつもりだったのかも知れない。あの薬品はレプリカントを売ったオーナーに使ってたのと同じやつだ、たぶん。あんな強烈なにおいの薬品は他でかいだことがない。
なんでバレてるのかな? 俺が捜査官だって。相手に顔を見られてるから。最初にカラスとステーションであのにおいを嗅いだ時、バルは制服だったんだろ。イグニスが見たとは限らない。レプリカントの買い手とイグニスが繋がっているとすれば……
「……買い手はイグニスのオーナーか」
リースリー・キマでオーナーを検索する。オーナーはメイハン・アニンロキア。ヒューマン。男性。顔写真。端正な優男。こいつがレプリカントの売人だとすれば、レプリカント人権保護局の動きを探りたいと思うだろう。
ここまで、ヴェスタが辿り着かないわけがあるだろうか。
もっと考えてみよう。ヴェスタならどうするか。あいつは必ずこの男まで辿り着く。そして考える。どうすればしっぽを掴めるか? まずコール。着信不能。まあそうだな。家に行ってみる。だろうな。
本当はここで俺と一緒に行かないといけない。バディだから。でもあいつは髪を白く光らせて一人で行く。めっちゃ怒ってるから。公用車は使わない。使うと一人行動がバレる。
ツールボックスを確認してみる。全部数が揃っている。ヴェスタは持ち出していない。捕まってるかもな。あいつはまだ場数が少ないから。捕まってるくらいならまだいいけど。
公用車を予約しようとした時、バタバタと警官がフロアに入ってきた。ジョッジのブースを囲む。
「ジョジマ・イシシュト、情報漏洩の容疑で任意同行を求めます」
「え? 俺?」
ジョッジは目を丸くしている。そんな記憶はない! なんの情報を漏らしたって言うんだ! デスクにしがみ付いたが、手をもぎ取られるようにして連れて行かれる。
「現在あなたと警察との共同で進めている案件。証人の居場所が割れてしまいました」
「そんなの、絶対に!! 誓って話さない! 誰にも!」
「あなたしか知らない情報ですからね、逮捕させてもらいます」
「ちょっと待って」
警官が足を止める。ぜんぜん逮捕とは関係ないことなんでちょっと彼に聞いてもいいですか?
「ジョッジ、お前、彼女と運命の出会いって言ってたな。もしかして、予約してたオートキャリアを譲らなかったか?」
「えっ……そうだけど」
「彼女と会ってる時、何を話した?」
「……それが、覚えてないんだ。いつもふわふわした気分になって……」
「もういいですか?」
証人の居場所なんて、確かに何があっても通常なら話すわけがない。話したとしたら余程の弱みを握られたか、正気じゃなかったかのどっちかだ。あの匂いの中で彼女に何かを話すジョッジ。いつの間にかレプリカントを売り払ってしまった人々。繋がった。運命の出会いと薬品の匂い。
イグニスが持ってたあのやばい匂いの元は、記憶を消すんじゃなくて、自白剤みたいなものなんだろう。恋人のふりをして油断させたところで、薬を嗅がせて秘密を話させる。俺の他にも手を打ってたわけだ。ヴェスタはそんなやつのところに単身乗り込んでしまったことになる。
早く見つけなければ。まずいことになっているかも知れない。
ヴェスタのブリングの場所を探索する。配給のブリングには位置検索アプリが入っているから、ブリング同士で在処がわかる。
今度は犯人の方の行動を考えてみよう。髪の色がくるくる変わる小柄なやつがたった一人で訪ねてくる。ヴェスタならなんて言うかな。キュリオシスタの記者です。何の取材? 適当に。この辺ももう少し仕込んでおけば良かった。
怪しいなと思うだろうな、犯人は。ヴェスタのことだから、たぶんちょっと突っ込んで聞いてしまう。行方不明のレプリカントについて、とか。
でもヴェスタがレプリカントかヒューマンかはわからないはずだ。とりあえずヒューマンとして扱うんじゃないか。だめか。イグニスはヴェスタが俺のレプリカントだと知っている。殺してしまうかな。ニゲイラみたいに、ぽいと捨ててしまうかも知れない。
昨日のうちに気づいていれば。いや………
なんでいなくなってから言うの?
最悪の想定しか思い浮かべられない。最初からヴェスタを信じて気付いてなきゃいけなかった。また、俺は見過ごした。ニゲイラの時みたいに。
「え?」
はっと体を離す。相手も肘をついて体を持ち上げた。さらさらと頬にかかる銀の髪……違う。銀色じゃない。一瞬銀色に見えるが、どちらかというとパールブルーに近い。青白い炎のような髪。ゆっくりとその髪が群青色に染まっていく……
「……ヴェスタ……?…」
「……ほらな」
「お前、騙したのか?」
「騙した? 言っただろ。あんたはイグニスに欲情してんじゃないって。匂いに反応してるだけだって。今度こそわかっただろ?」
イグニスの匂いが残っている。確かにこれはイグニスの匂いだ。どうして?
「俺は騙そうとしたんじゃない。バルがどうしても話を聞いてくれないから、イグニスが持ち歩いてた香水ビンの中身をちょっと付けただけ。目が覚めただろ?」
目が覚めた? とんだ意趣返しだ。
「勝手に余計なことすんじゃねえよ!」
「まだわかんないのかよ!」
暗闇の中でブルーとグリーンのオッドアイが光っていた。そうだった。片目が暗視で片目がサーモ。暗闇でこいつの目を見たことがなかった。こいつからは俺がくっきり見えているに違いない。
「なんで……ここまでやる必要あったか?」
「逆になんで、ここまでやってもわかんないの? 普通じゃないだろ? 愛してる相手がわかんないって……」
群青色は闇に溶けそうなくらい濃くなっていた。ヴェスタは床に散らばった服を乱雑に着て、部屋を出て行った。それでやっとその部屋がヴェスタの部屋だったことに気がついた。
ヴェスタがイグニスの匂いをさせていたことは確かだ。あれは体臭じゃなくて、香水みたいなものの匂いだったんだろう。ヴェスタが正しい……。でも普通の香水なら香水だとわかる。俺はなんであれを体臭だと思ったのかな。
翌日、検査室のユミンを訪ねた。ヴェスタはあの後出て行ったっきりだった。
「体臭とは何か? 随分根本的な質問ね」
「体臭だと思ってたいい匂いが香水のにおいだったんだ。何が違ったのかと思って」
「体臭っていうのは、大雑把に言うとその人がつけてる雑菌の老廃物のにおいなのよね。大部分は。だから基本的にあまりよい匂いじゃないわけ。そして人によって持ってる菌が違うから、一人一人違うにおいになる」
そこまでは大体知っている。
「でもね、すごくいい匂いだと感じることもある。それはフェロモンのせいだと言われてる。フェロモンて言うのは、汗腺などから汗とかと一緒に出る匂い物質で、動物なんかだとこの匂いで異性を発情させるくらいの威力があるわけ」
発情……。
「だからもし、人の体臭がものすごくいい匂いだと思ったのなら、その人の分泌するフェロモンに反応してると考えられる。その匂いが香水だったとしたら、何かのフェロモンを抽出した匂いだったのかも。それなら体臭と勘違いするかもしれない」
においで人を操っているのかも。ヴェスタは気がついたわけだ。
「そういうことはできるのかな。実際に、誰かが発情するようなフェロモンを抽出して、身につけることで意図的に注意を向かせるような」
「うーん、できるんじゃない? 一時期そういう制汗スプレーあったわよ。効果はわからなかったみたいだけど。発情まで行かなくても、脳内麻薬を分泌させるような匂いはあったはず。オキシトシンやドーパミンなんかを匂いで誘発するの」
におい。
検査室から真っ直ぐカラスのブースに行く。カラスは一瞬身を固くした。
「カラス」
「……おう、バル」
「変なこと聞くけど、イグニスと会うとめちゃくちゃやりたくならないか? 特に、あいつの部屋と車の中」
「………なる」
イグニスの部屋にはいつも彼のにおいが充満していた。オートキャリアで移動中も狭い密閉空間。俺の部屋でにおいが薄くなるのは、常時換気してるからだ。
その次の日もヴェスタはいなかった。どこにいるんだ? ホテルか何かに泊まってるのか? ものすごく怒って不機嫌になってたから。出勤もしていない。代理で有給を申請して二日目になる。謝りたかった。ヴェスタの言う通りでたぶん間違いない。イグニスの意図はわからないが、とにかく俺はあの匂いでイグニスを好きにさせられていたんだろう。
何のために?
こんな時、いつもならヴェスタがいてぐだぐた喋っていた。だらだら話すうちに考えがまとまって次のヒントが見えてきて、細い糸が繋がっていった。
ヴェスタには何度かコールしてみたけど、反応がなかった。ブリングは持っていったみたいなのに。
──なんでいなくなってから言うの?
ニゲイラを探すってことになった時に言ってたな。なんでだろうな。俺の場合、ずっといると思ってたからかな。支配率ゼロなんだから、ずっといるなんて保障はどこにもないのに。
さて。一人で考えなきゃならない。何でイグニスは俺に近づいて来た? 何の目的で? そもそもを思い出してみよう。オートキャリアを譲った。これが始まり。でも、俺が譲ったのは定期便で予約してるやつだ。俺のことをちょっと見てたら、あの時間にあの場所に俺が予約した車が定期で来るってわかる。
そこで発情を誘発するような──一目惚れしちゃったと勘違いするようなフェロモンを付けたレプリカントを配置する。見事、レプリカントは俺の生活に入り込む。
俺の生活に入り込んで何が得なんだ? ヴェスタならなんて言うだろうか。「ゴシップ記事の記者じゃなくて、捜査官としての情報を盗みたいんじゃない?」そうだな。それくらいは言う。だからイグニスはうちに来たがってブリングを覗き見したりした。本当ならあの変な匂いのする薬品を使って何かするつもりだったのかも知れない。あの薬品はレプリカントを売ったオーナーに使ってたのと同じやつだ、たぶん。あんな強烈なにおいの薬品は他でかいだことがない。
なんでバレてるのかな? 俺が捜査官だって。相手に顔を見られてるから。最初にカラスとステーションであのにおいを嗅いだ時、バルは制服だったんだろ。イグニスが見たとは限らない。レプリカントの買い手とイグニスが繋がっているとすれば……
「……買い手はイグニスのオーナーか」
リースリー・キマでオーナーを検索する。オーナーはメイハン・アニンロキア。ヒューマン。男性。顔写真。端正な優男。こいつがレプリカントの売人だとすれば、レプリカント人権保護局の動きを探りたいと思うだろう。
ここまで、ヴェスタが辿り着かないわけがあるだろうか。
もっと考えてみよう。ヴェスタならどうするか。あいつは必ずこの男まで辿り着く。そして考える。どうすればしっぽを掴めるか? まずコール。着信不能。まあそうだな。家に行ってみる。だろうな。
本当はここで俺と一緒に行かないといけない。バディだから。でもあいつは髪を白く光らせて一人で行く。めっちゃ怒ってるから。公用車は使わない。使うと一人行動がバレる。
ツールボックスを確認してみる。全部数が揃っている。ヴェスタは持ち出していない。捕まってるかもな。あいつはまだ場数が少ないから。捕まってるくらいならまだいいけど。
公用車を予約しようとした時、バタバタと警官がフロアに入ってきた。ジョッジのブースを囲む。
「ジョジマ・イシシュト、情報漏洩の容疑で任意同行を求めます」
「え? 俺?」
ジョッジは目を丸くしている。そんな記憶はない! なんの情報を漏らしたって言うんだ! デスクにしがみ付いたが、手をもぎ取られるようにして連れて行かれる。
「現在あなたと警察との共同で進めている案件。証人の居場所が割れてしまいました」
「そんなの、絶対に!! 誓って話さない! 誰にも!」
「あなたしか知らない情報ですからね、逮捕させてもらいます」
「ちょっと待って」
警官が足を止める。ぜんぜん逮捕とは関係ないことなんでちょっと彼に聞いてもいいですか?
「ジョッジ、お前、彼女と運命の出会いって言ってたな。もしかして、予約してたオートキャリアを譲らなかったか?」
「えっ……そうだけど」
「彼女と会ってる時、何を話した?」
「……それが、覚えてないんだ。いつもふわふわした気分になって……」
「もういいですか?」
証人の居場所なんて、確かに何があっても通常なら話すわけがない。話したとしたら余程の弱みを握られたか、正気じゃなかったかのどっちかだ。あの匂いの中で彼女に何かを話すジョッジ。いつの間にかレプリカントを売り払ってしまった人々。繋がった。運命の出会いと薬品の匂い。
イグニスが持ってたあのやばい匂いの元は、記憶を消すんじゃなくて、自白剤みたいなものなんだろう。恋人のふりをして油断させたところで、薬を嗅がせて秘密を話させる。俺の他にも手を打ってたわけだ。ヴェスタはそんなやつのところに単身乗り込んでしまったことになる。
早く見つけなければ。まずいことになっているかも知れない。
ヴェスタのブリングの場所を探索する。配給のブリングには位置検索アプリが入っているから、ブリング同士で在処がわかる。
今度は犯人の方の行動を考えてみよう。髪の色がくるくる変わる小柄なやつがたった一人で訪ねてくる。ヴェスタならなんて言うかな。キュリオシスタの記者です。何の取材? 適当に。この辺ももう少し仕込んでおけば良かった。
怪しいなと思うだろうな、犯人は。ヴェスタのことだから、たぶんちょっと突っ込んで聞いてしまう。行方不明のレプリカントについて、とか。
でもヴェスタがレプリカントかヒューマンかはわからないはずだ。とりあえずヒューマンとして扱うんじゃないか。だめか。イグニスはヴェスタが俺のレプリカントだと知っている。殺してしまうかな。ニゲイラみたいに、ぽいと捨ててしまうかも知れない。
昨日のうちに気づいていれば。いや………
なんでいなくなってから言うの?
最悪の想定しか思い浮かべられない。最初からヴェスタを信じて気付いてなきゃいけなかった。また、俺は見過ごした。ニゲイラの時みたいに。
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