Occupied レプリカント人権保護局

黒遠

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02 潜入捜査

15 Baltroy (free)

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 女の声がして通信が急に切れた。俺と話してたのがバレてないといいが。後で確認してみないとな。

 さて。何でReLFがラライサのことをわかってるのか、か。ラライサだけが確信を持ってレプリカントだと知ってたわけだ。

「ディー、複数のレプリカントを持ってる中で、一人だけレプリカントバレしてるってどんな状況?」
「えっ! 急に言われてもわかんないなあ。うっかり喋っちゃったとか?」
「オーナーから口止めされてる」
「えー……。思い浮かばないよ。ごめん、定時なんだ。ちょっと約束があってさ、上がるね」

 ヴェスタだったらとにかく何か出てくるんだけどな。仕方ない。一人で考えてみる。

 5人のレプリカント。みんなヒューマンのふりをしてる。オーナーがヒューマンだと言ってるんだから、みんなそれを守る。人権がないから戸籍からバレることもない。じゃあどこからバレる? だれがReLFにその情報を売るんだ? オーナー? いや。気に食わなきゃ政府に払い下げればいい。わざわざReLFに誘拐させたりしない。

「うーん」

 ラライサの納品書をもう一度見てみる。納品書には全ての情報が記載されている。身長、体重、ヘアカラー、アイカラー、スキンカラー、性別、年齢設定、AI支配率、発注者情報、製造年月日、メーカー、流通業者。オプションが何か付いていればこれも記載されるが、書かれていない。

 わからないな。普通のレプリカント。

「ったくよ……」

 ヴェスタがいればな。何か見つけてくれるかも知れないのに。
 ヴェスタならどうするかな? 一人だけ特別扱いされてるのに、平凡。ヴェスタなら……。

 ──ほんとに普通なのかな? 他のレプリカントのはどうなってるの?

 まあそうだ。そう言うだろうな。

 ラライサのオーナーが持ってるレプリカントたちのデータを全部並べてみる。特に変わったのはない。オプションが付いてるのもいなければ、ヴェスタみたいに髪の色が変色するようなやつもいない。体型も普通。

「ん」

 身長体重各部のカラー以外に全員がバラバラのところがある。ちょっと珍しい。メーカーが違う。レプリカントの大手メーカーは5社あるが、一社一体。コレクション的なやつなのか。ラライサは、アンドロイド・アンド・アドバンス製。メーカーとしては三番手になる。特殊なオーダーメイド対応が可能なのが特色だが、ごく一般的なレプリカントも製造販売している。

 ラライサもオーダーメイド? 違うな。何か特殊な注文をすればそれも納品書に記載される。別にこれといって。

 わからん。

 ピンとこないので次の手がかり。ヴェスタからの画像。ルームメイトたちが連日写ってる。最近一人増えた。最初からいた二人は調査済み。増えた一人を照会する。

 ファビア・ビアゼラ。一昨年の春に造られた34%のレプリカント。オーナーはエンリケ・ビアゼラ。支配率といい、見た目の感じといい、愛玩用か結婚相手だったんだろうな。結婚してんのかな?

 攫われたのか? 自分でReLFに入ったのか? 試しにオーナーにコールしてみる。

『ファビアのこと?』
「そうです。ご一緒ではないんですよね?」
『そう。せっかく買ったんだけど、やっぱり一生って感じじゃなくてさあ。親も友達もいい顔しないしね。出てってくれって言ったんだ。俺に金を持ってくるなら置いてやってもいいけど、結婚はしないって。払い下げようとしたんだけどそれは凄い嫌がってさ』
「一番最近連絡されたのはいつですか?」
『半年前かな。急にあいつが自分のブリングを送りつけてきたんだよ。その少し前に話をして、それっきり』
「ブリングを? ID紐付きのやつですか?」
『そう。だからもう連絡が取れなくなったんだよね』
「なぜそんなことをしたのかわかりますか? 手紙が付いていたり?」
『そうそう。メモが入ってて。もう私は自由になりますって』

 自由になります・・・・・・・

「それ以来、行方がわからないと」
『そうだね』

 聞いたことがあるフレーズだ。自由になる。ファビアの画像を照合にかける。半年前の街中での画像が最後。それ以来ぱったりと画像が途絶えている。

「ふーん……」

 半年間、彼女はどこで何をしていたんだ?

 
 

 

 
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