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03 トライアル (1)マリーン探し
04 Vesta (ただのバディ)
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「びっくりしたよ。バルトロイからデータの照会が来てたから。バルトロイにも話したんだ?」
「バルに話しちゃダメだった? 捜査局とかザムザのことは言ってないんだけど」
ザムザとカフェスタンドでコーヒーを飲みながら話していた。その日は土曜日で、もう春だった。
「ダメじゃないけど、個人的な頼みだからさ」
「バルはプログラム書き換えられているなら保護対象だからやろうって」
「なるほど。レプリカント人権保護局としてはそういうことな訳か。さすがのバルトロイでもそう簡単には見つけられないよな……」
「でも! バルはすぐにこの街の風俗店とかちゃんと調べてくれたんだよ」
「わかってるわかってる。別に貶してねえよ。考えてもみろよ、俺たちだって三ヶ月足踏みしてるよ」
「………」
「ほんとお前バルトロイが大好き! だよなあ~」
ザムザはニヤニヤしながら言った。髪が白くなる。やめて。彼は俺とバルの関係性をよくわかっている。
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ、まずマリーンを見つけないと。どんどん生活が苦しくなるはずなんだから」
「そうなんだよ。どこで何してるのか……」
苦しくなったらザムザに連絡してくるだろうか? 今まではなんの連絡もなかった。マリーンのブリングが通話不能で、今の連絡用IDがわからないのでこちらからは連絡の取りようがない。マリーンの方ももしかしたらザムザのIDがわからなくなってコールできないのかも知れない。
「マリーンはザムザの家は知ってるんだっけ」
「知ってる。てか、連邦捜査局にコールすりゃいいんだ、その気になればね」
「そうだよね」
もう二人でできることはやり尽くした感じがあった。何か情報が掴めたらまた来週ということで別れた。ザムザは話しやすい。バルにはどうしても自分のことをよく見せたくなってしまうけど、ザムザには何も考えなくていい。
家に戻るとバルはいなかった。こうやってふっといない時がある。レッダは何も教えてくれない。
「バルは? 戻ってくるのかな?」
「さあ、どうでしょう」
イグニスとバルが付き合っていた時、すごくもやもやしていた。
バルがすごくイグニスを大切にしてるのもわかって、もし二人で住むから出てってって言われたらどうしようって思った。たしかに俺はもう捜査官として一人で生きていけるくらいには収入もあるし、総務に言えば住むところも手配してもらえると思う。でもバルのそばにいたい。
あの時は調べていくうちにイグニスは偽名だってわかって、結局そこから色々なことがあって今でも二人で住んでるけど、今のバルと俺との関係なら別々に住んでも変わらないんだ。一年三カ月経った今でも、ちっともバルはそんな風に俺を見てくれない。
本当に俺は、バルの恋人になるためじゃなくて仕事用に作られただけだったんだなあって。
正直、それはかなり悲しい。バルに俺を好きになって欲しくて仕方ない。こっちを向いて欲しい。いつも。
バルがイグニスと別れて、俺のことを見てくれたのはすごく嬉しかった。ちゃんと。俺の言葉を聞いて俺のことを、目を、髪の色を見てくれた。俺に価値があると言ってくれた。仕事用としてはきっとこれ以上ない。でもどうしたらいいんだろう。苦しくなるばっかりだ。
ドアがぱっと開いてバルが帰ってきた。
「おかえり」
「やあ! ヴェスタ」
バルの後ろから、茶色寄りの金髪でバルと同じくらい背の高い男の人が現れた。誰? 笑顔が優しい。かなり明るいアンバーの瞳。すごく感じのいい人だ。
「ああ。いつもフライトヘルメットしてるからね。俺アラスターだよ」
「アラスター!」
アラスターはさっと手を出して握手してきた。大きな温かい手だった。
「へえ。本当に二人で住んでるんだ」
「部屋は別。一緒にメシ食ってくって」
バルは前半をアラスターに、後半を俺に言ってテーブルに座った。さっとレッダが三人分の食事を出す。レッダ。知ってたな。くえないやつ……。アラスターがにこにこと声を掛けてきた。
「普段は何してるの? 二人で」
「何もしてない。食事は一緒だけど後はお互い自分の部屋だから。二人で何かするってのはないな。たまに買い物に行くくらいかな」
「本当?」
バルの答えにアラスターはすごくびっくりしていたみたいだった。本当だよ。俺だってびっくりするくらいに。
「今日は二人で出かけてたの?」
試しに聞いてみると、アラスターが答えた。
「うん! 知ってる? 4Dゲームのサバイバーズ・アクトっていうやつ。あれすごくバルがうまくてさ。クリアに協力してもらってんだ」
ゲーム? バルが?
ぷっと笑うとバルはばつが悪そうな顔をした。
「……ガンシューティングなんだ。アラスターがあんまりへたくそで……」
「今度ヴェスタもやってみようよ!」
「ゲームってやったことないんだ。やってみたい」
「じゃ明日は? バルはどうだ?」
「俺はいいよ。今日さんざんやっただろ。ヴェスタと行ってこいよ」
「やった。じゃあそうしよう。迎えに来るよ」
アラスターと明日会う約束をして見送った。彼とちゃんと話をしたのは、この間バルとReLFの本拠地まで迎えに来てくれた時以来だ。空中以外で喋ったのは初めて。
「アラスターと仲良かったんだ?」
「うーん?」
「バル!」
「はは」
俺とより仲良さそう。ずいぶん昔から知り合いみたいだったからな。それにしても、出かけてたのはゲームか。安心した。
「バルに話しちゃダメだった? 捜査局とかザムザのことは言ってないんだけど」
ザムザとカフェスタンドでコーヒーを飲みながら話していた。その日は土曜日で、もう春だった。
「ダメじゃないけど、個人的な頼みだからさ」
「バルはプログラム書き換えられているなら保護対象だからやろうって」
「なるほど。レプリカント人権保護局としてはそういうことな訳か。さすがのバルトロイでもそう簡単には見つけられないよな……」
「でも! バルはすぐにこの街の風俗店とかちゃんと調べてくれたんだよ」
「わかってるわかってる。別に貶してねえよ。考えてもみろよ、俺たちだって三ヶ月足踏みしてるよ」
「………」
「ほんとお前バルトロイが大好き! だよなあ~」
ザムザはニヤニヤしながら言った。髪が白くなる。やめて。彼は俺とバルの関係性をよくわかっている。
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ、まずマリーンを見つけないと。どんどん生活が苦しくなるはずなんだから」
「そうなんだよ。どこで何してるのか……」
苦しくなったらザムザに連絡してくるだろうか? 今まではなんの連絡もなかった。マリーンのブリングが通話不能で、今の連絡用IDがわからないのでこちらからは連絡の取りようがない。マリーンの方ももしかしたらザムザのIDがわからなくなってコールできないのかも知れない。
「マリーンはザムザの家は知ってるんだっけ」
「知ってる。てか、連邦捜査局にコールすりゃいいんだ、その気になればね」
「そうだよね」
もう二人でできることはやり尽くした感じがあった。何か情報が掴めたらまた来週ということで別れた。ザムザは話しやすい。バルにはどうしても自分のことをよく見せたくなってしまうけど、ザムザには何も考えなくていい。
家に戻るとバルはいなかった。こうやってふっといない時がある。レッダは何も教えてくれない。
「バルは? 戻ってくるのかな?」
「さあ、どうでしょう」
イグニスとバルが付き合っていた時、すごくもやもやしていた。
バルがすごくイグニスを大切にしてるのもわかって、もし二人で住むから出てってって言われたらどうしようって思った。たしかに俺はもう捜査官として一人で生きていけるくらいには収入もあるし、総務に言えば住むところも手配してもらえると思う。でもバルのそばにいたい。
あの時は調べていくうちにイグニスは偽名だってわかって、結局そこから色々なことがあって今でも二人で住んでるけど、今のバルと俺との関係なら別々に住んでも変わらないんだ。一年三カ月経った今でも、ちっともバルはそんな風に俺を見てくれない。
本当に俺は、バルの恋人になるためじゃなくて仕事用に作られただけだったんだなあって。
正直、それはかなり悲しい。バルに俺を好きになって欲しくて仕方ない。こっちを向いて欲しい。いつも。
バルがイグニスと別れて、俺のことを見てくれたのはすごく嬉しかった。ちゃんと。俺の言葉を聞いて俺のことを、目を、髪の色を見てくれた。俺に価値があると言ってくれた。仕事用としてはきっとこれ以上ない。でもどうしたらいいんだろう。苦しくなるばっかりだ。
ドアがぱっと開いてバルが帰ってきた。
「おかえり」
「やあ! ヴェスタ」
バルの後ろから、茶色寄りの金髪でバルと同じくらい背の高い男の人が現れた。誰? 笑顔が優しい。かなり明るいアンバーの瞳。すごく感じのいい人だ。
「ああ。いつもフライトヘルメットしてるからね。俺アラスターだよ」
「アラスター!」
アラスターはさっと手を出して握手してきた。大きな温かい手だった。
「へえ。本当に二人で住んでるんだ」
「部屋は別。一緒にメシ食ってくって」
バルは前半をアラスターに、後半を俺に言ってテーブルに座った。さっとレッダが三人分の食事を出す。レッダ。知ってたな。くえないやつ……。アラスターがにこにこと声を掛けてきた。
「普段は何してるの? 二人で」
「何もしてない。食事は一緒だけど後はお互い自分の部屋だから。二人で何かするってのはないな。たまに買い物に行くくらいかな」
「本当?」
バルの答えにアラスターはすごくびっくりしていたみたいだった。本当だよ。俺だってびっくりするくらいに。
「今日は二人で出かけてたの?」
試しに聞いてみると、アラスターが答えた。
「うん! 知ってる? 4Dゲームのサバイバーズ・アクトっていうやつ。あれすごくバルがうまくてさ。クリアに協力してもらってんだ」
ゲーム? バルが?
ぷっと笑うとバルはばつが悪そうな顔をした。
「……ガンシューティングなんだ。アラスターがあんまりへたくそで……」
「今度ヴェスタもやってみようよ!」
「ゲームってやったことないんだ。やってみたい」
「じゃ明日は? バルはどうだ?」
「俺はいいよ。今日さんざんやっただろ。ヴェスタと行ってこいよ」
「やった。じゃあそうしよう。迎えに来るよ」
アラスターと明日会う約束をして見送った。彼とちゃんと話をしたのは、この間バルとReLFの本拠地まで迎えに来てくれた時以来だ。空中以外で喋ったのは初めて。
「アラスターと仲良かったんだ?」
「うーん?」
「バル!」
「はは」
俺とより仲良さそう。ずいぶん昔から知り合いみたいだったからな。それにしても、出かけてたのはゲームか。安心した。
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