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03 トライアル (1)マリーン探し
05 Vesta (ファースト・プレイ)
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翌日、午前中からアラスターがオートキャリアで迎えに来てくれた。
「やあヴェスタ! じゃあ行こうか」
オートキャリアにバル以外と二人きりで乗るのも初めてで緊張した。あんまりまだ親しくないのに。
でもアラスターはにっこり笑って色んな話をしてくれたので、ゲームセンターに着く頃には俺も笑っていた。美味しいサンドイッチの店。まずいけどくせになるトルティーヤの屋台。「バルとは来られないんだよ、あいつサルサのにおいがだめで。サルサ全部がダメなんじゃないんだ、あの店のサルサがダメなんだって」。
「ここ?」
「そうだよ。ゲームセンター初めて?」
ゲームセンターは天井がとても高くて、透明な壁のブースがいくつもいくつも連なっていた。ほとんどのブースにヘッドセットを付けた人が一人か二人入っていて、向かいの壁に何か映像が映っている。
「あそこが開いてる。入ろう。とりあえず一時間ね」
アラスターが入り口のカードリーダーにカードを近づけると、ポンと軽い音がしてブースが開いた。中にヘッドセットとゲーミングシューズ、モデルガンが置いてある。彼は一つを俺に渡してくれ、自分も付けた。こんな感じのアラスターの方が馴染みがある。
「じゃ、早速でいいかな?」
「うん」
「弾倉が空になったら床に向けて引き金をひいてね。リロードするから」
「ふふふ、そんな簡単にリロードしないよ」
「ゲームゲーム」
始まってみるとかなり怖かった。ゾンビが襲いかかってくるから銃で撃って倒さないといけない。4Dだから、全方位から襲ってくる。
「ヴェスタ、後ろ!」
振り返って撃つ。脳天に当たると一発で倒せる。たしかにバルは得意そう。体も使うからだんだん息が上がってしまう。疲れて来たところでボス戦。
「えー……」
「がんばれヴェスタ!」
次々に湧いてくるボスの手下のゾンビを倒しながらボスにも撃たないといけない。リロードが間に合わない。弱点が時々光るのですかさず撃つ。減っていくHP。撃破!
「倒せた……暑い!」
「すごい。ヴェスタ上手! 休憩しようか。セーブしておくね」
ヘッドセットをとんと置くと、アラスターがさっと冷たい飲み物を渡してくれた。
「ありがとう……」
「どう? 楽しい?」
「楽しいけど、すごい体力使う」
「そうかもね。何度かやってるとどこで後ろから敵が湧くのか覚えちゃうからあんまり動かなくなるよ」
はまるのもわかる。達成感がある。
「ヴェスタはさすがだね、ちゃんと狙って当てるもんね。俺はいまいちなんだ」
「そう? わかんないけど……」
なんだか照れる。少し休んで続き。さっきの面はジャングルだったけど、今回は屋内だから壁の向こうが怖い。そっと歩いて行くとやっぱりというか、デカくて血塗れの被り物をしていて大きなチェーンソーを振り回す奴が出てきた。何こいつ。頭が狙えない!
「ヴェスタ、そいつはチェーンソーを振りかぶってる間に心臓を狙って撃つんだよ。でもHPが高いから気長にね」
チェーンソーの攻撃範囲が広い。ぱっと俺の腕から血が飛び散るグラフィック。逃げながらだ。仕事より厳しい……。
あっという間に一時間が終了。すごく体を使った。汗だく。
「疲れた? 何か食べようか。さっきのトルティーヤ食べる?」
ブースの外に出る。別世界な感じ。急に現実に戻ってきたからクラクラする。
「4D酔いかな? 大丈夫?」
「大丈夫」
アラスターはすごく優しい。色々気を使ってくれるのでびっくりする。バルやザムザはもっとこう……親切だけど、荒い。歩いて屋台でトルティーヤを買い、二人で近くの公園に行って食べた。
「ん! たしかに……」
「ね? まずいけどクセになるだろ」
「ふふ……わかる」
四月の陽気の中で見ると、アラスターはバルよりもかなり年上に見える。
「アラスターは何歳なの?」
「俺? 今年で32かな」
「バルとは何年?」
「同期だよ、バルとは。だから十年目かな。バルは年取らないからね。だいぶ離されちゃったな、見た目が。まだいいかなと思って年齢調整してないんだよ。しないとだめかなー?」
バルって32だったんだ。びっくりした。年取らないんだ……。見た目はどう見ても二十代なのに。アラスターはにこっと笑った。目尻に細かく笑い皺ができる。いつもにこにこしている。気持ちが柔らかくなる。こんな顔の人だったんだなあ。
「すごい優しそうでそのままでいいと思う……」
「本当? 嬉しいな」
さっと一瞬影が空を横切る。小型のエアランナーが通って行く。
「アラスターはエアランナーのパイロットなんだよね」
「そうだよ。小型から十人乗りの大型までなんでもござれだ」
「パイロットになるのは難しいの?」
「小型のは簡単だよ。人を乗せるようになるとちょっと難しいかな。それなりに飛行時間がないとだめだし、適性検査も受けないといけない。興味ある?」
「うん」
「小型の免許取ってみるかい? 俺、実務経験十年だから中型までの訓練士の許可が降りてるんだ」
「本当?」
「うん。教えてあげる。来週はどう? エアランナーで迎えに行くよ」
「え? 持ってるの?」
「持ってるよ~。好きだからね。二人乗りの小さいのだけど」
「えー! すごい」
「よし。決まりだ。ちょっとずつやれば半年もすれば取れるよ。何か甘いものでも買いに行こうか。そのまま帰ったらバルが嫌がるよ」
サルサソースのにおいでね、とアラスターはいたずらっぽく笑った。
「やあヴェスタ! じゃあ行こうか」
オートキャリアにバル以外と二人きりで乗るのも初めてで緊張した。あんまりまだ親しくないのに。
でもアラスターはにっこり笑って色んな話をしてくれたので、ゲームセンターに着く頃には俺も笑っていた。美味しいサンドイッチの店。まずいけどくせになるトルティーヤの屋台。「バルとは来られないんだよ、あいつサルサのにおいがだめで。サルサ全部がダメなんじゃないんだ、あの店のサルサがダメなんだって」。
「ここ?」
「そうだよ。ゲームセンター初めて?」
ゲームセンターは天井がとても高くて、透明な壁のブースがいくつもいくつも連なっていた。ほとんどのブースにヘッドセットを付けた人が一人か二人入っていて、向かいの壁に何か映像が映っている。
「あそこが開いてる。入ろう。とりあえず一時間ね」
アラスターが入り口のカードリーダーにカードを近づけると、ポンと軽い音がしてブースが開いた。中にヘッドセットとゲーミングシューズ、モデルガンが置いてある。彼は一つを俺に渡してくれ、自分も付けた。こんな感じのアラスターの方が馴染みがある。
「じゃ、早速でいいかな?」
「うん」
「弾倉が空になったら床に向けて引き金をひいてね。リロードするから」
「ふふふ、そんな簡単にリロードしないよ」
「ゲームゲーム」
始まってみるとかなり怖かった。ゾンビが襲いかかってくるから銃で撃って倒さないといけない。4Dだから、全方位から襲ってくる。
「ヴェスタ、後ろ!」
振り返って撃つ。脳天に当たると一発で倒せる。たしかにバルは得意そう。体も使うからだんだん息が上がってしまう。疲れて来たところでボス戦。
「えー……」
「がんばれヴェスタ!」
次々に湧いてくるボスの手下のゾンビを倒しながらボスにも撃たないといけない。リロードが間に合わない。弱点が時々光るのですかさず撃つ。減っていくHP。撃破!
「倒せた……暑い!」
「すごい。ヴェスタ上手! 休憩しようか。セーブしておくね」
ヘッドセットをとんと置くと、アラスターがさっと冷たい飲み物を渡してくれた。
「ありがとう……」
「どう? 楽しい?」
「楽しいけど、すごい体力使う」
「そうかもね。何度かやってるとどこで後ろから敵が湧くのか覚えちゃうからあんまり動かなくなるよ」
はまるのもわかる。達成感がある。
「ヴェスタはさすがだね、ちゃんと狙って当てるもんね。俺はいまいちなんだ」
「そう? わかんないけど……」
なんだか照れる。少し休んで続き。さっきの面はジャングルだったけど、今回は屋内だから壁の向こうが怖い。そっと歩いて行くとやっぱりというか、デカくて血塗れの被り物をしていて大きなチェーンソーを振り回す奴が出てきた。何こいつ。頭が狙えない!
「ヴェスタ、そいつはチェーンソーを振りかぶってる間に心臓を狙って撃つんだよ。でもHPが高いから気長にね」
チェーンソーの攻撃範囲が広い。ぱっと俺の腕から血が飛び散るグラフィック。逃げながらだ。仕事より厳しい……。
あっという間に一時間が終了。すごく体を使った。汗だく。
「疲れた? 何か食べようか。さっきのトルティーヤ食べる?」
ブースの外に出る。別世界な感じ。急に現実に戻ってきたからクラクラする。
「4D酔いかな? 大丈夫?」
「大丈夫」
アラスターはすごく優しい。色々気を使ってくれるのでびっくりする。バルやザムザはもっとこう……親切だけど、荒い。歩いて屋台でトルティーヤを買い、二人で近くの公園に行って食べた。
「ん! たしかに……」
「ね? まずいけどクセになるだろ」
「ふふ……わかる」
四月の陽気の中で見ると、アラスターはバルよりもかなり年上に見える。
「アラスターは何歳なの?」
「俺? 今年で32かな」
「バルとは何年?」
「同期だよ、バルとは。だから十年目かな。バルは年取らないからね。だいぶ離されちゃったな、見た目が。まだいいかなと思って年齢調整してないんだよ。しないとだめかなー?」
バルって32だったんだ。びっくりした。年取らないんだ……。見た目はどう見ても二十代なのに。アラスターはにこっと笑った。目尻に細かく笑い皺ができる。いつもにこにこしている。気持ちが柔らかくなる。こんな顔の人だったんだなあ。
「すごい優しそうでそのままでいいと思う……」
「本当? 嬉しいな」
さっと一瞬影が空を横切る。小型のエアランナーが通って行く。
「アラスターはエアランナーのパイロットなんだよね」
「そうだよ。小型から十人乗りの大型までなんでもござれだ」
「パイロットになるのは難しいの?」
「小型のは簡単だよ。人を乗せるようになるとちょっと難しいかな。それなりに飛行時間がないとだめだし、適性検査も受けないといけない。興味ある?」
「うん」
「小型の免許取ってみるかい? 俺、実務経験十年だから中型までの訓練士の許可が降りてるんだ」
「本当?」
「うん。教えてあげる。来週はどう? エアランナーで迎えに行くよ」
「え? 持ってるの?」
「持ってるよ~。好きだからね。二人乗りの小さいのだけど」
「えー! すごい」
「よし。決まりだ。ちょっとずつやれば半年もすれば取れるよ。何か甘いものでも買いに行こうか。そのまま帰ったらバルが嫌がるよ」
サルサソースのにおいでね、とアラスターはいたずらっぽく笑った。
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