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07 ドミニオン
01 Vesta (best)
しおりを挟むバルは「3階から飛び降りた時から好きだった」と言ったけど、じゃあどうしてアラスターと付き合ってみろって言ったのかな。それが今でも腑に落ちない。
バルのせいにするわけじゃない。アラスターから好きだって言われた時、嬉しかったのも舞い上がっちゃったのも俺だもの。でも、バルはどんな気持ちだったのかな……。
脱走中だったゴーシェ・ノッディングハムがバルのいた児童養護施設の職員を3人、子どもたちを14人も殺したにも関わらず、無罪になってしまったと聞いてから2ヶ月が経った。
バルはもう一切ゴーシェの話をしない。わかり合えないことがわかったから。俺はあんな、どこか不気味な人からバルが手を引いてくれてほっとした。最初からなんだか悪い予感のする人だった。バルには近づけたくない人だ。
コン、とドアをノックする音が聞こえた。
「いいよ」
返事をすると、音もなくドアが開く。バルが入ってくる。どきどきする。もうこうなって一年近くになるのに、まだまだ夢みたいだ。バルの手が髪と耳に触れる。くすぐったい。耳元でバルがささやく。
「もう白くなってる」
だって……。
バルが俺の左の腕を取る。肘の内側に唇をつける。
「……ん」
バルの唇の跡が上書きされていく。
「まだこれ、要るか?」
「いる」
まだ夢みたいなんだもの。本当にこんな幸せなことが現実なのかな?
バルの指が、肌の上をさらさらと滑っていく。もどかしいくらいに柔らかく。部屋着を脱ぎ捨てる。もっと触って。肉食獣のようなバルの体。唇が、唇からあご、首筋をつたって、胸から腹に。そして俺の、期待して震えているそれをバルが口に含む。
「……!」
声すら出せない。バルがこんなこと……。
「だめ! だ……め………」
根元まで全部。優しく吸われる。そのままバルの舌が、俺の入り口に入り込んでくる。頭がおかしくなりそう。舌が抜かれて長い指が入ってくる。バルの指は俺の中のどこがどう感じるのかをとてもよく知っている。
「バル……いじめ……な……いで…もうゆるして……」
「いじめてないだろ」
いじめてる。言っているそばから指で中を攻められて軽くいってしまう。バルとするようになって、射精しなくてもいってしまうようになった。バルの指は許してくれない。何度も頭が白くなる。
「ゆるして……もう、来て……」
自分から脚を開く。こんなに欲しがる自分をバルはどう思っているんだろう。淫乱? はしたない? でも我慢できない………。
バルのは大きい。最初に入ってくる時はものすごくゆっくりだ。浅いところをじりじり擦って、なじんだらやっと奥に入ってくる。もういってるから、さらにやって来る強烈な快感に体が震える。バルのことしか見えなくなってしまう。何をされても卑猥な信号として体が受け止める。
「あ! ……バル! バ……ル……」
「……お前……ずっといってる?」
頷く。ごめん。だって気持ち良すぎる……。背筋まで突き抜ける。何も考えられない。
「……きら……いに……」
「……ん?」
「きらいに……ならないで」
ずん、と深く突かれる。
「──‼︎」
ぎゅっとバルの体に縋り付いてしまう。ベッドの軋む音。
「……すき……」
言わずにはいられない。俺の愛しい人。返事はいつもキスだ。バルはしてる時ほとんど何も言わない。でもその代わり、熱い吐息や、ほおを伝う汗や、最中に向けられるまなざし、壊れものに触れるように体をなぞっていく指、ぎゅっと抱きしめてくれる力強い腕から、バルの想いが伝わってくる。何もいらない。この時間だけでいい。バルとこうして、ひとつの塊になって。何も怖くないし何の不安もない。バルが深くため息をついて首筋を噛む。くる。
「……んんっ」
中にバルのが満ちる。体がまだ痙攣している。バルが汗でほおに張り付いた髪を、そっと払ってくれる。
「……シャワー浴びて来な」
「まだ動けない……バル先に」
俺の髪をくしゃっと撫でると、バルはベッドを降りた。ゆっくり波が引いていく。俺ほどに幸せなレプリカントはきっと、いない。
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