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08 デモンストレーション
19 Vesta (アウト)
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冷凍庫。開けたり閉めたり。うちの冷凍庫つきの冷蔵庫は、全部レッダが管理している。だから俺は開けたことがなかった。
「何か食べたいんですか? ヴェスタ」
「ううん。冷蔵庫のことが知りたいんだ」
「なんでしょうかね。私の知識の範囲でお知らせしますよ」
「あのね、レッダ、冷蔵庫の中のものを全部出さないといけないことってあるの?」
「ありますよ。全部というのは語弊がありますけど」
「ほんと? どんな時?」
「掃除する時ですね。うちは私が完全に冷蔵庫の中身を在庫管理しているのであまり汚れませんが、それでも衛生のため年に数回は清掃し除菌しています」
「それって、冷凍庫の方もするの?」
「しますよ。冷凍庫の方は『霜取り』ということをしなければなりませんから」
霜取り。
「それって何?」
「冷凍庫の中身を出し入れすると、開けるたびに少しずつ凍った水分が溶け出します。また、空気中の水蒸気が冷却されて冷凍庫の中に付着します。それらの理由で冷凍庫の中には霜がついてしまうんですよ。これを取らないとどんどん厚く積もってしまうので、年に一度は冷凍庫の中身を全て出して、内側についた霜、まあ氷ですね。これを剥がすわけです」
「そうなんだ! それってどんな冷凍庫もやるのかな?」
「やるでしょうね。ほとんど開けることがなくて外気に触れないような冷凍庫ならともかく、出し入れするたびに少しは空気の出入りがあるでしょうから、霜は着くでしょう」
「ありがとう!」
「お役に立てたようで」
そうか! わかった。それで定期的にしまっている遺体を外に出さなきゃならなかったんだ。
「バル! あのね……」
バルの部屋をノックする。返事がない。いつもはすぐに開くのに。
「バルはあなたがシャワールームにいる間に外出しました」
「え?」
「少し出てくるだけだからと言ってましたよ」
「………」
そんな。そんなのは、らしくない。
「じゃあ……俺のことは? 何か言われてない?」
「何も。提案はしたんですがね」
「提案?」
「バルがあなたにべったりすぎるので、代わりにあなたが家の中にいる間くらいは私が守りますと言ったんです。でもオーダーはされませんでした」
なんで? なんでかと言うと………。玄関から外に出る。一人で出るのが久しぶりすぎる。エレベーターの前に来ると、ぱっとドアが開く。
「ヴェスタ」
目の前にバルが立っていた。
何か言って、バル。
俺が思う通りなら、バルは俺を叱るはずだ。一人で外に出るな、夜に出歩こうと思うな。
「どうした? 部屋に戻ろう」
エレベーターのドアが閉まる。ああ。だめだ。
バルが、俺の知らない人になってしまった。
「何か食べたいんですか? ヴェスタ」
「ううん。冷蔵庫のことが知りたいんだ」
「なんでしょうかね。私の知識の範囲でお知らせしますよ」
「あのね、レッダ、冷蔵庫の中のものを全部出さないといけないことってあるの?」
「ありますよ。全部というのは語弊がありますけど」
「ほんと? どんな時?」
「掃除する時ですね。うちは私が完全に冷蔵庫の中身を在庫管理しているのであまり汚れませんが、それでも衛生のため年に数回は清掃し除菌しています」
「それって、冷凍庫の方もするの?」
「しますよ。冷凍庫の方は『霜取り』ということをしなければなりませんから」
霜取り。
「それって何?」
「冷凍庫の中身を出し入れすると、開けるたびに少しずつ凍った水分が溶け出します。また、空気中の水蒸気が冷却されて冷凍庫の中に付着します。それらの理由で冷凍庫の中には霜がついてしまうんですよ。これを取らないとどんどん厚く積もってしまうので、年に一度は冷凍庫の中身を全て出して、内側についた霜、まあ氷ですね。これを剥がすわけです」
「そうなんだ! それってどんな冷凍庫もやるのかな?」
「やるでしょうね。ほとんど開けることがなくて外気に触れないような冷凍庫ならともかく、出し入れするたびに少しは空気の出入りがあるでしょうから、霜は着くでしょう」
「ありがとう!」
「お役に立てたようで」
そうか! わかった。それで定期的にしまっている遺体を外に出さなきゃならなかったんだ。
「バル! あのね……」
バルの部屋をノックする。返事がない。いつもはすぐに開くのに。
「バルはあなたがシャワールームにいる間に外出しました」
「え?」
「少し出てくるだけだからと言ってましたよ」
「………」
そんな。そんなのは、らしくない。
「じゃあ……俺のことは? 何か言われてない?」
「何も。提案はしたんですがね」
「提案?」
「バルがあなたにべったりすぎるので、代わりにあなたが家の中にいる間くらいは私が守りますと言ったんです。でもオーダーはされませんでした」
なんで? なんでかと言うと………。玄関から外に出る。一人で出るのが久しぶりすぎる。エレベーターの前に来ると、ぱっとドアが開く。
「ヴェスタ」
目の前にバルが立っていた。
何か言って、バル。
俺が思う通りなら、バルは俺を叱るはずだ。一人で外に出るな、夜に出歩こうと思うな。
「どうした? 部屋に戻ろう」
エレベーターのドアが閉まる。ああ。だめだ。
バルが、俺の知らない人になってしまった。
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