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09 「ふたり」の形
12 Baltroy ( )
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明け方だった。ヴェスタがベッドから抜け出す気配がした。
俺はその時まだ半分眠っていて、頭が回らなかった。ヴェスタはそっと俺の頬に唇を押し当て、小さな声で何か囁いた。なんて言ったのかな……。でも俺はそれを聞いて、久々に幸せな気分になった。ヴェスタはリビングに行って、あのグリーンのマグでコーヒーを飲むんだなと思った。そんなことは2度とないのに。
夢の中っていうのは、いつも無責任で残酷だなと思う。うとうとして、はっと我に帰った。
「ヴェスタ」
ヴェスタのにおいがまだ残っていた。でももうベッドには俺の体温しかない。シャワーを浴びてリビングの椅子にかけると、レッダがコーヒーを出してきた。ブルーのマグ。
──大事にする。
──しなくていい。一回2クレジットだぞ。
いつかは割れるんだ。大事に宝物庫に入れてたわけじゃないんだから。毎日使ってりゃ……。でも好きだったんだ。お前が、あの緑のマグで、同じ髪の色で、目の前でコーヒーを飲んでいるのが。
「……ヴェスタは、今何で飲んでるんだ」
「来客用の白いコーヒーカップです。文句は付いていませんね」
時計を見る。6時近い。もう少しでヴェスタが起きてくるだろうけど、俺がここにいると出てこないかもしれない。なんでこうなったのかな。
「あの、お前に捨てろって言った香水ビン、何で捨てられてないんだ?」
「香水ビン? 材質は? ガラスですか?」
「そう。これっくらいの。……まあ、随分前だな」
まだヴェスタが恋人じゃなかった頃だ。アラスターの家からヴェスタが戻ってきた時。
「2年くらい前の話だ。俺には開けられないから、いない時に中身を空けて捨ててくれって言ったはずだな」
「検索します」
まさかまだあって、しかもヴェスタが使ってくるとは……。
なんでかな。抱かれたかった? 俺に? でもそれなら、あんなものをつける必要はない。ただ部屋に入ってくればいいんだ。どうしてそうしなかった?
「データを見つけました。ヴェスタが『拾った』んですね。あなたがテーブルの上に捨てたビンを」
「なんで拾ったのかな」
「さあ。記録はありません。ヴェスタに聞いてみては?」
「お前、この状況で聞けると思ってんのか?」
「世界は試行と失敗によって前進するんです」
まあそうだ。どう転ぶにしろ、こんな状態を続けるのは良くない。真意を聞かないといけない。
ふっとヴェスタの部屋のドアが開いた。真っ青な髪のヴェスタが姿を表す。一瞬目が合う。そして彼は俯く。
「おはよう、ヴェスタ。ちゃんと話をしよう」
「………」
「座って」
ヴェスタは座らない。レッダが白いコーヒーカップを向かいに置く。どこから聞けば答えるのか。何百人のレプリカントやヒューマンからあれこれやって事情聴取してきたのにな。自分のバディからは何も聞き出すことができない。
「体、大丈夫か?」
「うん」
「あれ使われると手荒になっちまうから……」
「ごめん。まだ使えるのか試したくて」
「試したくて?」
実験動物かよ。俺に抱かれたかったわけじゃないのか。俺はヴェスタにとってもそんなもんになっちまったのかな。ただ効き目を確かめたかっただけ……。
「まだ使えるよ。良かったな」
なんで使えるか試したかったのかというと……。使いたいやつが他にいるわけだ……。
「俺には使わないでくれ」
何で捨てなかった? 何で……
相手は誰だ? どこで会った? 思わずため息が出た。またか。ヴェスタだけはと思っていたのに。真っ青な髪。
「わかった。もういい」
俺といても、もうお前の髪はきっと緑にならない。
「もうやめよう、ヴェスタ。好きなところに行けよ」
ヴェスタは顔を上げて、久しぶりにその大きな瞳をこちらに向けた。
「………バル…」
でもそこまでだった。あとは涙がその青緑色の目から滝のように流れて、言葉が続かなかった。これは予想外だったから、びっくりして立ち上がりかけたところで、ヴェスタは逃げるように部屋に入ってしまった。
「………な」
「他に男がいるのは確定ですね」
「お前なあ。死体蹴りかよ……」
「迷っているんでしょうね」
「お前知ってたのか?」
「いいえ。業務上知り得た個人情報を漏洩するようなことはしません。つまり、私は与えられた情報に基づく推測を述べたに過ぎません」
「あー腹立つ……」
「ドアを蹴破りますか?」
「お前に腹が立ってんだよ」
迷っている。そうなのかな……。
部屋に戻ってベッドに入り直す。まだヴェスタのにおいがする。でもこれも昼前にはシーツを抜かれて、洗濯されたやつに変えられてしまう。
まだ使えるのか試したくて……。
あいつがあれを着けて、誰か俺の知らない男の部屋に入るのを想像する。そういうことだろ。男はあの体に齧り付くしかない。あの強烈な性欲を、愛情だと勘違いさせるのは難しくない。俺がイグニスに騙されたみたいに。そして……ヴェスタのことだから、おそらくそれをいつかは本物の愛情に変えさせるだろう。
あいつはそれなら、昨夜の俺の言葉をどう聞いたんだろうか。
滑稽だったろうな。だって俺じゃないんだろ。それとも罪悪感かな……。うわごとだと思ったかもしれない。
気づくと二度寝していて、腹が減って起きた。時計は8時半だった。少し頭はすっきりしていた。一つはっきりしたのは良かった。あれを使いたい男がヴェスタにはもういるんだ。
ショックかと誰かがもし聞いてきたとしたら、正直「別に」としか言いようがない。歴代の彼女と別れた時はたいていこのパターンだったからだ。「またか」というのがストレートな感情。
「あなたといると窮屈なの」
その一言は漏れなく聞いた。わかる。匂いのするあらゆるものに気を遣わなきゃいけない。女性にとって、化粧品の一つも自由にならないというのは耐え難いだろう。
せめて一人一人の時は自由にして欲しいと思って、なるべく離れてる時は干渉しないようにしているとちゃんとその間に彼女らは別な男を作った。難しい。俺には難しいんだよ。だから……
「はは」
もはや笑えてきた。お前のことを祝いたいんだよ、俺は。ごめんな、ルー。まただめみたいだ。今回はでも痛いな。三冠王。
ゴンゴンとドアが鳴った。あれはレッダの派遣したワゴンがドアに体当たりしている音だ。「朝食を食え」。
仕方なくリビングに出て出されたものを口に入れる。外はみぞれになっている。ヴェスタの誕生日だな……。何も思い浮かばない。
ヴェスタが部屋からすっと出てきた。もう外出できる格好だった。いつも通りのシンプルでヴェスタらしい服。目も合わさずにヴェスタは慌ただしく部屋から出て行った。
「……誰なんだろうなあ」
まあ、詮索してもどうしようもないけど。
「あなたは本気を出したら調べられるでしょう」
「違法だ。それに……」
見つけてどうするんだよ。ぶん殴ってヴェスタを返せって言うのか?
それで返ってくるんならな。
「無理だろ。だめなもんはだめなんだよ」
「ヴェスタが騙されている可能性は?」
「………ないな。ヴェスタだ」
そんなバカじゃない。レプリカントがヒューマンに騙されて酷い目にあったケースも腐るほど知ってる。引っ掛かりはしない。
「ブリングで追跡はしなかったんですか?」
「しない」
それは、普段の生活の中でしたら終わりだと思う。
「匂いで犯人を突き止めては?」
「ははっ」
犯人じゃないだろ。俺も犬じゃない。ゴーシェくらいはっきりしてれば追えても、あんな微かな、たぶんレプリカントの匂いなんて……。
レプリカント。被害者の隣で、被害者が死ぬのを見ていた。被害者が手を伸ばしてその手を握る。たぶん思ったより強く。皮膚片が爪に入り込むくらいに。
恋人はいない。友人でもない。誰なら? 金を払った業者ならそんなに側にいない。
「……誰ならそんなに近くに寄る?」
「は? 推理ですか? ヴェスタの浮気相手を?」
「だからさ。恋人でも友達でもない。でも死ぬ時側にいて欲しくて、思わず手を取ってしまうようなやつは誰だ?」
「ヴェスタに直接聞いてくださいよ。どうして死ぬ時の話なんです? 私を何だと思っているんですか。私は顧客満足度が抜きん出ているだけのAIです。ヒューマンの感情や行動についてはケーススタディしかできません。ああ、でもヒントは知っていますよ」
「ヒント?」
「今月の請求書をブリングに送りますね。おっと、私としたことがヴェスタのも間違って送ってしまったようです。どうか開かずに削除してください」
「……お前なあ、その調子でヴェスタにも何か漏らしてねーだろうな」
「私がそんなミスをするのはここ9年間で一度だけです。クビにしますか?」
「いや。お前はヴェスタの次にいい買い物だったと思うね」
「どうも。そうだと思いました」
俺はその時まだ半分眠っていて、頭が回らなかった。ヴェスタはそっと俺の頬に唇を押し当て、小さな声で何か囁いた。なんて言ったのかな……。でも俺はそれを聞いて、久々に幸せな気分になった。ヴェスタはリビングに行って、あのグリーンのマグでコーヒーを飲むんだなと思った。そんなことは2度とないのに。
夢の中っていうのは、いつも無責任で残酷だなと思う。うとうとして、はっと我に帰った。
「ヴェスタ」
ヴェスタのにおいがまだ残っていた。でももうベッドには俺の体温しかない。シャワーを浴びてリビングの椅子にかけると、レッダがコーヒーを出してきた。ブルーのマグ。
──大事にする。
──しなくていい。一回2クレジットだぞ。
いつかは割れるんだ。大事に宝物庫に入れてたわけじゃないんだから。毎日使ってりゃ……。でも好きだったんだ。お前が、あの緑のマグで、同じ髪の色で、目の前でコーヒーを飲んでいるのが。
「……ヴェスタは、今何で飲んでるんだ」
「来客用の白いコーヒーカップです。文句は付いていませんね」
時計を見る。6時近い。もう少しでヴェスタが起きてくるだろうけど、俺がここにいると出てこないかもしれない。なんでこうなったのかな。
「あの、お前に捨てろって言った香水ビン、何で捨てられてないんだ?」
「香水ビン? 材質は? ガラスですか?」
「そう。これっくらいの。……まあ、随分前だな」
まだヴェスタが恋人じゃなかった頃だ。アラスターの家からヴェスタが戻ってきた時。
「2年くらい前の話だ。俺には開けられないから、いない時に中身を空けて捨ててくれって言ったはずだな」
「検索します」
まさかまだあって、しかもヴェスタが使ってくるとは……。
なんでかな。抱かれたかった? 俺に? でもそれなら、あんなものをつける必要はない。ただ部屋に入ってくればいいんだ。どうしてそうしなかった?
「データを見つけました。ヴェスタが『拾った』んですね。あなたがテーブルの上に捨てたビンを」
「なんで拾ったのかな」
「さあ。記録はありません。ヴェスタに聞いてみては?」
「お前、この状況で聞けると思ってんのか?」
「世界は試行と失敗によって前進するんです」
まあそうだ。どう転ぶにしろ、こんな状態を続けるのは良くない。真意を聞かないといけない。
ふっとヴェスタの部屋のドアが開いた。真っ青な髪のヴェスタが姿を表す。一瞬目が合う。そして彼は俯く。
「おはよう、ヴェスタ。ちゃんと話をしよう」
「………」
「座って」
ヴェスタは座らない。レッダが白いコーヒーカップを向かいに置く。どこから聞けば答えるのか。何百人のレプリカントやヒューマンからあれこれやって事情聴取してきたのにな。自分のバディからは何も聞き出すことができない。
「体、大丈夫か?」
「うん」
「あれ使われると手荒になっちまうから……」
「ごめん。まだ使えるのか試したくて」
「試したくて?」
実験動物かよ。俺に抱かれたかったわけじゃないのか。俺はヴェスタにとってもそんなもんになっちまったのかな。ただ効き目を確かめたかっただけ……。
「まだ使えるよ。良かったな」
なんで使えるか試したかったのかというと……。使いたいやつが他にいるわけだ……。
「俺には使わないでくれ」
何で捨てなかった? 何で……
相手は誰だ? どこで会った? 思わずため息が出た。またか。ヴェスタだけはと思っていたのに。真っ青な髪。
「わかった。もういい」
俺といても、もうお前の髪はきっと緑にならない。
「もうやめよう、ヴェスタ。好きなところに行けよ」
ヴェスタは顔を上げて、久しぶりにその大きな瞳をこちらに向けた。
「………バル…」
でもそこまでだった。あとは涙がその青緑色の目から滝のように流れて、言葉が続かなかった。これは予想外だったから、びっくりして立ち上がりかけたところで、ヴェスタは逃げるように部屋に入ってしまった。
「………な」
「他に男がいるのは確定ですね」
「お前なあ。死体蹴りかよ……」
「迷っているんでしょうね」
「お前知ってたのか?」
「いいえ。業務上知り得た個人情報を漏洩するようなことはしません。つまり、私は与えられた情報に基づく推測を述べたに過ぎません」
「あー腹立つ……」
「ドアを蹴破りますか?」
「お前に腹が立ってんだよ」
迷っている。そうなのかな……。
部屋に戻ってベッドに入り直す。まだヴェスタのにおいがする。でもこれも昼前にはシーツを抜かれて、洗濯されたやつに変えられてしまう。
まだ使えるのか試したくて……。
あいつがあれを着けて、誰か俺の知らない男の部屋に入るのを想像する。そういうことだろ。男はあの体に齧り付くしかない。あの強烈な性欲を、愛情だと勘違いさせるのは難しくない。俺がイグニスに騙されたみたいに。そして……ヴェスタのことだから、おそらくそれをいつかは本物の愛情に変えさせるだろう。
あいつはそれなら、昨夜の俺の言葉をどう聞いたんだろうか。
滑稽だったろうな。だって俺じゃないんだろ。それとも罪悪感かな……。うわごとだと思ったかもしれない。
気づくと二度寝していて、腹が減って起きた。時計は8時半だった。少し頭はすっきりしていた。一つはっきりしたのは良かった。あれを使いたい男がヴェスタにはもういるんだ。
ショックかと誰かがもし聞いてきたとしたら、正直「別に」としか言いようがない。歴代の彼女と別れた時はたいていこのパターンだったからだ。「またか」というのがストレートな感情。
「あなたといると窮屈なの」
その一言は漏れなく聞いた。わかる。匂いのするあらゆるものに気を遣わなきゃいけない。女性にとって、化粧品の一つも自由にならないというのは耐え難いだろう。
せめて一人一人の時は自由にして欲しいと思って、なるべく離れてる時は干渉しないようにしているとちゃんとその間に彼女らは別な男を作った。難しい。俺には難しいんだよ。だから……
「はは」
もはや笑えてきた。お前のことを祝いたいんだよ、俺は。ごめんな、ルー。まただめみたいだ。今回はでも痛いな。三冠王。
ゴンゴンとドアが鳴った。あれはレッダの派遣したワゴンがドアに体当たりしている音だ。「朝食を食え」。
仕方なくリビングに出て出されたものを口に入れる。外はみぞれになっている。ヴェスタの誕生日だな……。何も思い浮かばない。
ヴェスタが部屋からすっと出てきた。もう外出できる格好だった。いつも通りのシンプルでヴェスタらしい服。目も合わさずにヴェスタは慌ただしく部屋から出て行った。
「……誰なんだろうなあ」
まあ、詮索してもどうしようもないけど。
「あなたは本気を出したら調べられるでしょう」
「違法だ。それに……」
見つけてどうするんだよ。ぶん殴ってヴェスタを返せって言うのか?
それで返ってくるんならな。
「無理だろ。だめなもんはだめなんだよ」
「ヴェスタが騙されている可能性は?」
「………ないな。ヴェスタだ」
そんなバカじゃない。レプリカントがヒューマンに騙されて酷い目にあったケースも腐るほど知ってる。引っ掛かりはしない。
「ブリングで追跡はしなかったんですか?」
「しない」
それは、普段の生活の中でしたら終わりだと思う。
「匂いで犯人を突き止めては?」
「ははっ」
犯人じゃないだろ。俺も犬じゃない。ゴーシェくらいはっきりしてれば追えても、あんな微かな、たぶんレプリカントの匂いなんて……。
レプリカント。被害者の隣で、被害者が死ぬのを見ていた。被害者が手を伸ばしてその手を握る。たぶん思ったより強く。皮膚片が爪に入り込むくらいに。
恋人はいない。友人でもない。誰なら? 金を払った業者ならそんなに側にいない。
「……誰ならそんなに近くに寄る?」
「は? 推理ですか? ヴェスタの浮気相手を?」
「だからさ。恋人でも友達でもない。でも死ぬ時側にいて欲しくて、思わず手を取ってしまうようなやつは誰だ?」
「ヴェスタに直接聞いてくださいよ。どうして死ぬ時の話なんです? 私を何だと思っているんですか。私は顧客満足度が抜きん出ているだけのAIです。ヒューマンの感情や行動についてはケーススタディしかできません。ああ、でもヒントは知っていますよ」
「ヒント?」
「今月の請求書をブリングに送りますね。おっと、私としたことがヴェスタのも間違って送ってしまったようです。どうか開かずに削除してください」
「……お前なあ、その調子でヴェスタにも何か漏らしてねーだろうな」
「私がそんなミスをするのはここ9年間で一度だけです。クビにしますか?」
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