大魔法使いに生まれ変わったので森に引きこもります

かとらり。

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三話 スライムと勇者

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「へっ…?なに!?」

 気持ち悪くて僕は手に巻きついたスライムを取ろうとした。

 でも取ろうとしたその手もスライムに巻き込まれて動けなくなってしまう。

「ちょ、わっ…強すぎ!!」

 スライムはどんどん僕の身体を這いずりまわる。

 腕の全てを覆い尽くした辺りで、スライムは発光し始めた。
 それはちょうどさっき僕が出した魔法のような光で…

(あれ、なんか…ちからが抜けてく…)

 僕の力が抜ける一方で、スライムはみるみる元気になっていく。

「もしかして…なにか吸われてる…?」

 明らかに肥大化したスライムは僕の体を覆っていく。

「う…きもちわるっ…」

 しかも、スライムが触れた服は徐々に溶けていく。

(ま、まって…怖すぎっ…皮膚は、溶けないみたいだけど…)

「ちょ、ほんとむりっ」

 うにょうにょと僕の体を弄るそいつはついに僕のアソコまで這いずってくる。

「やめっ…」

 スライムは恐怖で縮こまった僕のものを包み込んだ。

「ん…う、動かすなぁ!」

 スライムがちゅこちゅこと僕のものを扱き出した。

(きもちわるい…でも、あっためてローションいれたオナホみたいできもちいい…)

「ん…あっ…だめ、う…いく、いっちゃうぅ!」

 びゅ、と僕は勢いよく射精した。

「あ、ぁ…」

 スライムは僕の精液を消化したかのように、体内へ消えていった。

 呆然とそれを見ていたら、いきなり部屋の扉が開いた。

「へ…?」

 部屋に入ってきたのは見覚えのある格好の男だった。

「ゆうしゃ…?」
「あ、あなたは…どういう…?」

 勇者は顔を赤らめて僕に問いかけた。

 僕は自分の状況を顧みた。

 僕の服はほとんど溶けてるし、それに得体の知れないスライムに覆われている。

「あ…み、見ないで!!」
「は、はい!…すみません!」

 勇者は慌てて目を逸らした。

(ノックもせずに入ってくるなんて…失礼な勇者!)

 でも考えてみれば、RPGでノックする勇者なんていなかった。

 なんなら普通の民家も無断で侵入してた。


 僕はスライムを身体から剥がそうとする。
 もう満足したのか、スライムはあっさり僕から離れた。

「お前…後で痛い目合わせてやるからな…」

 スライムに言うと、うにょうにょと動いた。どうやら謝っている様子だ。

「あの…」
「?」

 勇者が僕から見ないようにしながら自分の上着を差し出した。

「えっと、良ければこれ着てください」
「…ありがとう、ございます」

 ありがたく服を受け取って羽織った。

「…あの、あなたがきた理由は知ってます」
「え?」
「魔法薬と魔王城までの地図と、伝説の盾が欲しいんでしょ」
「なぜそれを…」

 だって僕もそれが欲しくて大魔法使いを倒したからね!

「全部あげるから僕のこと殺さないでっ…!」
「こ、殺しませんよ!」
「良かった…」

 僕は勇者のお目当てのものを探した。

 どこにあるか全然分からない。

「この棚かな…?いやでも、あっち…?」
「ちょ、あぶなっ…」

 棚から瓶が落ちそうになったのを寸前で勇者がキャッチした。

「あ、それ魔法薬だ!」
「ほんとだ……あの、僕も探すのを手伝います」
「ありがとう」

 勇者が探した探し物を手伝い始めたら、あっという間に見つかった。

「あなた、この塔に住んでるんですよね…?」
「うん…いや、引っ越してきたばっかでさ…へへ」
「でも、助かりました。これで魔王を倒せます。ありがとうございます」

 勇者はそうお礼を言ってあっさりと出て行ってくれた。

「良かった…」

(あ、服返すの忘れちゃった…)

 まぁ、でもこの服ないとほぼ全裸だし、ありがたくいただこう。
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