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十二話 パンはいつになったらできるのかな?
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あの中年のおばさんに小麦を渡したら、お礼と言われて半分もくれた。
魔物たちも多分もう村を襲わないと伝えると喜んでいた。
もしかしたら作物の作り方を学びに来るかもしれないと伝えると驚いてたけど。
思ったよりも沢山の小麦を得て、僕たちは森に戻った。
「ただいまー」
「おかえりなさい」
手ぶらで帰って来た僕たちを見てカイトくんは首を傾げてたけど、ユリが変体して小麦を大量に吐き出すと目をまん丸くして驚いた。可愛いな本当に。
「これでしばらく食べ物には困らないね!」
「ノア、小麦はそのままじゃ食べれないよ」
「はっ…そうだった」
小麦ってどう加工するんだ。
僕小麦粉しか見たことないよ。
なんなら小麦粉をどうすれば何ができるのかも分からないよ?パンとかうどんができるんだっけ?
うースマホがあれば調べられるのに…
「小麦から小麦粉を作る魔法とかないかな…」
僕が分厚い魔法書をめくり始めると、カイトくんが大きくため息をついた。
「あなた、小麦の扱いも知らないまま今日までよく生きてこれましたね…」
「だってご飯なくても生きてけるんだもん…」
「物置とかないんですか」
物置…というかゴミ置き場ならあるけど…
取りあえずカイトくんをガラクタの溜まり場となっている部屋につれて行った。
「きたない…」
「汚くないもん!」
「なんなんですかこのデカイ鍋…」
カイトくんは文句を言いながらガラクタの山をかき分けていく。
「あ、あった」
カイトくんが手招きするので見てみるとそこには円柱状の石があった。
そういやこんなの蕎麦屋で見たことあるな…いやうどん屋だっけ?
「なんだこれ」
「これで小麦をひくんです」
「へぇ」
「僕じゃ重くて運べないので…」
たしかにカイトくんには無理そうだ。
僕は石臼みたいなそれを身体強化魔法をかけてから持ち上げた。
うわ、割とずしっとくるな…
「すごいですね…こんな重たいの持ち上げられるなんて」
「大魔法使いだからね~」
余裕ぶって僕はそれを厨房に運んだ。
「よいしょ、と……で、これってどう使うの」
「えっと、たしか、この穴から…」
カイトくんはいろいろとやり方を教えてくれた。
「ふむふむ、つまり、ここから小麦を入れて、これをぐるぐるして、粉だけ取り出せばいいのね」
「はい」
昔の道具だけあって、構造は単純だった。
手作業でやったらとんでもない労力がかかりそうだけど…
鍋をかき回すとき、棒を自動で動かしてくれる魔法の応用で自動化できそう。
「ユリ~」
「なぁに」
「大きい瓶と小麦出して」
ユリを呼んで、ユリから小麦と瓶を出してもらう。
日常的に使うものはユリに飲み込ませている。四次元ポケットみたいで便利だ。
出て来た瓶に小麦を入れて魔法をかける。
同時に石臼にも自動化魔法をかけた。
すると…
「わぁ、すごい…」
「やぁあ、やっぱ僕天才かも?」
一定量の小麦が瓶から石臼に入り、自動で回る石臼が引くようになった。
「これで小麦粉ゲットだね」
小麦粉があればパンが作れる。
でも…
きゅるる、とカイトくんのお腹が控えめに音を立てた。
「…お肉でよければ食べる?」
「…お願いします」
僕とユリは急いで森にでてカイトくんのために魔獣を一匹仕留めた。
魔物たちも多分もう村を襲わないと伝えると喜んでいた。
もしかしたら作物の作り方を学びに来るかもしれないと伝えると驚いてたけど。
思ったよりも沢山の小麦を得て、僕たちは森に戻った。
「ただいまー」
「おかえりなさい」
手ぶらで帰って来た僕たちを見てカイトくんは首を傾げてたけど、ユリが変体して小麦を大量に吐き出すと目をまん丸くして驚いた。可愛いな本当に。
「これでしばらく食べ物には困らないね!」
「ノア、小麦はそのままじゃ食べれないよ」
「はっ…そうだった」
小麦ってどう加工するんだ。
僕小麦粉しか見たことないよ。
なんなら小麦粉をどうすれば何ができるのかも分からないよ?パンとかうどんができるんだっけ?
うースマホがあれば調べられるのに…
「小麦から小麦粉を作る魔法とかないかな…」
僕が分厚い魔法書をめくり始めると、カイトくんが大きくため息をついた。
「あなた、小麦の扱いも知らないまま今日までよく生きてこれましたね…」
「だってご飯なくても生きてけるんだもん…」
「物置とかないんですか」
物置…というかゴミ置き場ならあるけど…
取りあえずカイトくんをガラクタの溜まり場となっている部屋につれて行った。
「きたない…」
「汚くないもん!」
「なんなんですかこのデカイ鍋…」
カイトくんは文句を言いながらガラクタの山をかき分けていく。
「あ、あった」
カイトくんが手招きするので見てみるとそこには円柱状の石があった。
そういやこんなの蕎麦屋で見たことあるな…いやうどん屋だっけ?
「なんだこれ」
「これで小麦をひくんです」
「へぇ」
「僕じゃ重くて運べないので…」
たしかにカイトくんには無理そうだ。
僕は石臼みたいなそれを身体強化魔法をかけてから持ち上げた。
うわ、割とずしっとくるな…
「すごいですね…こんな重たいの持ち上げられるなんて」
「大魔法使いだからね~」
余裕ぶって僕はそれを厨房に運んだ。
「よいしょ、と……で、これってどう使うの」
「えっと、たしか、この穴から…」
カイトくんはいろいろとやり方を教えてくれた。
「ふむふむ、つまり、ここから小麦を入れて、これをぐるぐるして、粉だけ取り出せばいいのね」
「はい」
昔の道具だけあって、構造は単純だった。
手作業でやったらとんでもない労力がかかりそうだけど…
鍋をかき回すとき、棒を自動で動かしてくれる魔法の応用で自動化できそう。
「ユリ~」
「なぁに」
「大きい瓶と小麦出して」
ユリを呼んで、ユリから小麦と瓶を出してもらう。
日常的に使うものはユリに飲み込ませている。四次元ポケットみたいで便利だ。
出て来た瓶に小麦を入れて魔法をかける。
同時に石臼にも自動化魔法をかけた。
すると…
「わぁ、すごい…」
「やぁあ、やっぱ僕天才かも?」
一定量の小麦が瓶から石臼に入り、自動で回る石臼が引くようになった。
「これで小麦粉ゲットだね」
小麦粉があればパンが作れる。
でも…
きゅるる、とカイトくんのお腹が控えめに音を立てた。
「…お肉でよければ食べる?」
「…お願いします」
僕とユリは急いで森にでてカイトくんのために魔獣を一匹仕留めた。
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