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十七話 魚取り
しおりを挟むその後、僕とカイトくんは晩御飯のおかず探しに出かけた。
「俺今日は魚の気分だから~」
などとユリが言ったので魚釣りだ。
森の小川にはたくさん魚がいるので短い時間で手に入る。
「お、かかった…!」
始めてから数分で魚がかかった。
釣り上げると、タリベヤウオだった。
「わ、すごい…大きい魚ですね」
カイトくんが針を取ろうと魚に手を伸ばした。
「あ、カイトくん『だめ』!」
「え」
ぴた、とカイトくんの動きが止まる。
「その魚、鱗に毒があるからかぶれちゃうよ」
「あぁ…すみません」
久しぶりに使役魔法を使った。
『だめ』の使役魔法はカイトくんが子供の時によく使っていたものだった。
塔の中は危ないものもたくさんあるから、カイトくんがなにか危険なことを仕掛けているときに止めるよう使っていた。
大人になるにつれて使うことも減っていたけど…
「紫と赤の魚は毒持ちのことが多いから気をつけた方がいいよ」
「はい」
森の中には毒を持った魚が少ないけど、外には一定量の毒魚がいる。
僕は魚の針を取って桶に放り込んだ。
「こんだけ大きい魚があればお腹いっぱいになるよね」
「そうですね」
「じゃ、帰ろっか」
カイトくんが魚の入った桶を持って反対の手で僕の手を取る。
昔はカイトくんが森ではぐれないように手を繋いでいたけど、今となっては僕が繋いでもらっているみたいだ。
塔に戻ってご飯を作って食べる頃にはもう日が暮れていて、その日は夜更かしすることなく寝ることにした。
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