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十六話 おっきくなったね
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カイトくんはこれといった反抗期もないまま16歳になった。
反抗期はなかったけど、12歳になる頃には添い寝は辞めていた。
恥ずかしいからやだ、と言われて、その頃にはカイトくんが寝ている時にうなされたり泣いていることも無くなっていたので辞めることにしたのだ。
「おっきくなったねぇ…」
「ふふ、ノアさん最近いつもそう言ってますよ」
金髪碧眼のカイトくんはまさに王子様って感じだった。
「だってほんとに、おっきくなったから…」
最近僕には悩みがあった。
まだまだ可愛いカイトくんだけど、もうそろそろ大人とも言える歳だ。
僕の感覚からすると18歳ぐらいから大人だけど、この世界では15歳でもう大人と言われている。
僕はカイトくんが大人になるまで面倒を見ると決めた。
この塔の中は安全だけど、ずっと閉じ込めているのは可哀想だ。
だから、カイトくんを解放してあげないと…
でも、
(かわいい、んだよなぁ…)
10年以上一緒にいたら当たり前に情が移る。
僕の中には手放してあげなきゃと言う気持ちと手放したくないと言う気持ちがせめぎ合っていた。
「ノアさん?」
「え?なに…?」
「ノアさんが言った魔法薬作りましたけど…」
「あ、ありがとう…」
カイトくんはもう魔法も器用に使いこなせていて、ユリから聞いたら体術も相当な腕前になったらしい。
勉強も…僕が教えられる限りは教えたけど、僕が教えられるのは数学ぐらいで、変にカイトくんは計算が得意になってしまった。
カイトくんから受け取った魔法薬は純度の高い最高級の出来だった。
手先が器用な分、カイトくんは僕よりも上手く魔法を使いこなすこともある。
そろそろ潮時かな、と思った。
カイトくんを手放してあげなきゃ。
僕はカイトくんから受け取った小瓶をぎゅっと握りしめる。
「ねぇ、カイトくん」
「なんですか?」
「今日は一緒に寝てもいい?」
「…はい。ノアさんはいつになっても甘えん坊ですね」
ほら、今となってはカイトくんが僕の頭を撫でるんだ。
いつの間にか僕の背丈を越してしまったカイトくん。
もうちゃんとお別れするから、最後に昔みたいに一緒に寝たかった。
反抗期はなかったけど、12歳になる頃には添い寝は辞めていた。
恥ずかしいからやだ、と言われて、その頃にはカイトくんが寝ている時にうなされたり泣いていることも無くなっていたので辞めることにしたのだ。
「おっきくなったねぇ…」
「ふふ、ノアさん最近いつもそう言ってますよ」
金髪碧眼のカイトくんはまさに王子様って感じだった。
「だってほんとに、おっきくなったから…」
最近僕には悩みがあった。
まだまだ可愛いカイトくんだけど、もうそろそろ大人とも言える歳だ。
僕の感覚からすると18歳ぐらいから大人だけど、この世界では15歳でもう大人と言われている。
僕はカイトくんが大人になるまで面倒を見ると決めた。
この塔の中は安全だけど、ずっと閉じ込めているのは可哀想だ。
だから、カイトくんを解放してあげないと…
でも、
(かわいい、んだよなぁ…)
10年以上一緒にいたら当たり前に情が移る。
僕の中には手放してあげなきゃと言う気持ちと手放したくないと言う気持ちがせめぎ合っていた。
「ノアさん?」
「え?なに…?」
「ノアさんが言った魔法薬作りましたけど…」
「あ、ありがとう…」
カイトくんはもう魔法も器用に使いこなせていて、ユリから聞いたら体術も相当な腕前になったらしい。
勉強も…僕が教えられる限りは教えたけど、僕が教えられるのは数学ぐらいで、変にカイトくんは計算が得意になってしまった。
カイトくんから受け取った魔法薬は純度の高い最高級の出来だった。
手先が器用な分、カイトくんは僕よりも上手く魔法を使いこなすこともある。
そろそろ潮時かな、と思った。
カイトくんを手放してあげなきゃ。
僕はカイトくんから受け取った小瓶をぎゅっと握りしめる。
「ねぇ、カイトくん」
「なんですか?」
「今日は一緒に寝てもいい?」
「…はい。ノアさんはいつになっても甘えん坊ですね」
ほら、今となってはカイトくんが僕の頭を撫でるんだ。
いつの間にか僕の背丈を越してしまったカイトくん。
もうちゃんとお別れするから、最後に昔みたいに一緒に寝たかった。
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