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Another story カイトside
五話
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「ユリさんの言う通りでした…」
「だろ?お前は俺の言うこと聞いてりゃ良いんだよ」
「いやほんとに…感謝してます」
僕とノアさんは無事結ばれる事ができた。
これも一重にユリさんのおかげだ。
「ところで相談なんですけど」
「……いいよ」
「嫌そうな顔しないでください」
でも、ユリさんはめんどくさそうな顔しても僕のために頑張ってくれる人だってもう知ってる。
「最近、ノアさんに指輪をもらったんです」
「へぇ」
「何かお返しをしたいと思うんですけど…何が良いですかね?」
「どうでもよ…」
指輪を僕から贈るのも考えたが、やっぱりこの一つだけを嵌めていたい。
しかし、ほかに何がいいか浮かんでこないのだ。
「ネックレスとかは?」
「あの人の首になにか巻きたくないです。危険なので」
「たしかに…」
そう、できれば常に身につけられるものがいいが、おっちょこちょいのくせに危険なの実験をしたりするあの人に持たせられるものがわからない。
「…ピアス、とか?」
「ピアス…」
確かに良いかもしれない。
いや、でも僕もノアさんも穴を開けていない。
それにノアさんの体にこれから穴を開けるのもいやだ。
「…イヤリングにします」
「あ、そ…頑張って」
興味なさそうにユリさんは出て行ってしまった。
それから僕は材料を集めて、ノアさんに似合いそうなお揃いのイヤリングを錬成した。
その日の夜、僕たちはいつものように甘い夜を過ごした。
うとうとしているノアさんに、僕は何ともない風にイヤリングを渡した。
「ん…なぁに、これ?」
「イヤリングです。ノアさんが指輪くれたので…そのお返しに」
「イヤリング?」
僕はノアさんの両耳にイヤリングをつけた。
銀色の髪に輝くイヤリングが映えた。
「僕とお揃いですよ」
「お揃い…?嬉しい」
へにょ、とノアさんが笑う。
その笑顔に胸が潰れそうなほどきゅんとした。
「愛してます」
ぽろりと、そんな言葉をこぼした。
「んふ、僕も」
ノアさんはそう返して僕にキスをした。
あぁ、幸せってこんな形をしているんだ。
と、しみじみと思った。
小さい頃からずっと好きな人が、こうして横に眠って、僕と同じ指輪とイヤリングを付けている。
なんて幸せで尊い事なんだろう。
僕は触れるだけのキスをノアさんに返して、瞳を閉じた。
今日は幸せな夢を見れる気がする。
「おやすみ、カイトくん」
「おやすみなさい」
囁き合いながら僕たちは眠りについた。
これから何千、何万と超えるであろう、夜のうちの一つ。
でも、そのかけがえのない夜なのだ。
僕は愛する人との未来を考えながら眠りについた。
「だろ?お前は俺の言うこと聞いてりゃ良いんだよ」
「いやほんとに…感謝してます」
僕とノアさんは無事結ばれる事ができた。
これも一重にユリさんのおかげだ。
「ところで相談なんですけど」
「……いいよ」
「嫌そうな顔しないでください」
でも、ユリさんはめんどくさそうな顔しても僕のために頑張ってくれる人だってもう知ってる。
「最近、ノアさんに指輪をもらったんです」
「へぇ」
「何かお返しをしたいと思うんですけど…何が良いですかね?」
「どうでもよ…」
指輪を僕から贈るのも考えたが、やっぱりこの一つだけを嵌めていたい。
しかし、ほかに何がいいか浮かんでこないのだ。
「ネックレスとかは?」
「あの人の首になにか巻きたくないです。危険なので」
「たしかに…」
そう、できれば常に身につけられるものがいいが、おっちょこちょいのくせに危険なの実験をしたりするあの人に持たせられるものがわからない。
「…ピアス、とか?」
「ピアス…」
確かに良いかもしれない。
いや、でも僕もノアさんも穴を開けていない。
それにノアさんの体にこれから穴を開けるのもいやだ。
「…イヤリングにします」
「あ、そ…頑張って」
興味なさそうにユリさんは出て行ってしまった。
それから僕は材料を集めて、ノアさんに似合いそうなお揃いのイヤリングを錬成した。
その日の夜、僕たちはいつものように甘い夜を過ごした。
うとうとしているノアさんに、僕は何ともない風にイヤリングを渡した。
「ん…なぁに、これ?」
「イヤリングです。ノアさんが指輪くれたので…そのお返しに」
「イヤリング?」
僕はノアさんの両耳にイヤリングをつけた。
銀色の髪に輝くイヤリングが映えた。
「僕とお揃いですよ」
「お揃い…?嬉しい」
へにょ、とノアさんが笑う。
その笑顔に胸が潰れそうなほどきゅんとした。
「愛してます」
ぽろりと、そんな言葉をこぼした。
「んふ、僕も」
ノアさんはそう返して僕にキスをした。
あぁ、幸せってこんな形をしているんだ。
と、しみじみと思った。
小さい頃からずっと好きな人が、こうして横に眠って、僕と同じ指輪とイヤリングを付けている。
なんて幸せで尊い事なんだろう。
僕は触れるだけのキスをノアさんに返して、瞳を閉じた。
今日は幸せな夢を見れる気がする。
「おやすみ、カイトくん」
「おやすみなさい」
囁き合いながら僕たちは眠りについた。
これから何千、何万と超えるであろう、夜のうちの一つ。
でも、そのかけがえのない夜なのだ。
僕は愛する人との未来を考えながら眠りについた。
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ありがとうございます!
直しておきました。
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だと思います。間違っていたらすみません。
(1番最初の感想が文章の指摘ですみません)
ありがとうございます!直しておきますね。