被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。

かとらり。

文字の大きさ
8 / 36

八話 秘事

しおりを挟む
 ルイは緊張しながら自分の部屋で待っていた。

 約束してしまった以上責任は果たさなくていけない。
 そう思ったルイは図書室に赴き、被虐趣味のある人物の出てくる本を読んだ。
 その内容はあまりにも刺激的でルイは気が遠くなってしまった。

「あんなことできるのか…?あの子に」

 セシリオは線の細い、いかにもオメガという風貌だ。
 アルファの習性なのか知らないが、ああいうオメガらしい風貌のものは無条件で守りたくなってしまうものなのだ。
 セシリオの家族がセシリオを可愛がっているのはそういう理由もあるのだろう。

 それを虐げるなんて。

 ルイが悩んでいる間に時は過ぎ、扉をノックする音が響いた。

「ルイ様…セシリオです」
「はい」

 ルイが扉を開けると緊張した様子のセシリオが立っていた。
 緊張していたのがルイだけではないとわかり少しホッとする。

「あの、えっと…これ!」

 ずいっと、セシリオがルイに差し出したのは真っ赤な縄だった。

「…縄」
「今日は初めてなので…縛るのならルイ様でもできるかと思ったのですが…」

 縛る。たしかに小説の中にそのような描写はあった。
 しかし具体的な縛り方などは書いていない。

「ルイ様が縛りたいように縛ってくれればいいんです」
「いや、僕には縛りたいなんて気持ち少しもないんですけど…」
「あっ…す、すみません」
「何喜んでるんですか」
「その冷たい瞳…素敵です」
「はぁ…」

 ルイはとりあえずセシリオから縄を受け取る。

「じゃあ、僕が基本的な縛り方を教えるのでそれに従って縛り付けてください」
「はい」

 ルイはセシリオの言う通りに縄を巻きつけていく。
 人の縛り方は習っていないものの、ロープの縛り方はある程度学んでいる。野営に必要だからだ。
 元から器用なのも相まって上手く縛り付けることができた。

 セシリオの純白の絹の寝巻きの上に真紅の縄が巻き付いているのは確かに官能的だった。

「これでいいんですか?」
「はい」

 ルイは肩透かしを喰らったような感じがした。
 もっとハードなことをさせられると思っていた。
 あくまで小説は小説。実際はあそこまで酷いことはしないのだろうか。ルイは少し安心した。

「ん…」

 セシリオは身じろぐが縄のせいでほとんど動けないようだ。

「大丈夫ですか」
「は、はい…」

 セシリオは頰を紅潮させている。
 縄は結構際どいところまで食い込んでいる。

「あ、う…」

 セシリオは動くたびにあえかな喘ぎ声をあげる。
 どうやら動けば動くほどキツくなっていくような縛り方になっているようだ。

「…ほどきましょうか?」
「ん…らいじょうぶ…れす、ふぁ…!」

 セシリオは顔を真っ赤にして身体を震わせている。
 大丈夫と本人は言うが、見ている側からすれば心配だ。
 それに、セシリオからほんのりとあの匂いが香り始めている。
 また理性を失うのは避けたい。

「…やっぱり心配です。あなたの身体に傷をつけでもしたら僕が困りますから」

 ルイは縄を解こうとして縛り目をぐいっと引っ張った。

「へ、あっ…さ、さわっちゃ…あぁあ!!」

 すると、セシリオは一際大きく身体を震わせて、そしてくたりとベッドに突っ伏してしまった。

「セシリオ様…?っ!!」

 なにかしてしまったのかと焦るルイを、あの匂いが襲った。

「あ…うぐ」

 理性が持っていかれる甘い匂い。
 その匂いは、セシリオの下半身から強く香っている。

「もしかして…」
「あ、ごめんなさ……許可なくイって、ごめんなさい…」

 セシリオの下肢はほんのりと濡れていた。

「っ…あ」

 引き寄せられるように、ルイはセシリオの下肢へにじり寄る。

「ルイ、さま…?」
「う…うぅ…」

 この甘い蜜を啜りたい。その欲求に抗うことはできなかった。

「ひ、ひぁ!ルイ様っ?」

 ルイがセシリオの濡れた股間を舐めると、セシリオが間の抜けた声をだす。

「そんなとこ、だめですっ…」
  
 セシリオの精液の味は甘美だった。
 もっと味わいたいと思うのに、縄と寝巻きが邪魔で蜜にありつけない。

「る、ルイ様…?どうしてしゃべってくださらないんですか?」

 困惑するセシリオをよそに、ルイは赤い縄に手をかけた。

「ひ、う…」

 一瞬、締め付けられる感覚にセシリオは喘ぐ。しかし、その後ぶち、という鈍い音とともに戒めは解かれた。

「うそ…」

 ルイが素手で、あの丈夫な縄を引きちぎったのだ。

 しかも、それだけでは止まらない。
 ルイは上質な絹で作られた寝巻きまでびりびりに破り捨ててしまった。

 そしてすっかり萎えてしまったセシリオの性器をためらいもなく口にふくんだ。

「へあっ!?」
「ん、むぐ…」
「る、ルイさま!やめてっ…だめっ…」

 甘い匂いのせいで理性を失ったルイが止まるわけなかった。

 セシリオはご主人様に自分のものを舐めさせるという背徳的な行為に溺れていた。

「あぁっ…だめ、もうっ…!」
「ん…」

 ルイは溢れた精液を一滴残らず嚥下してしまった。

「はぁっ…はあっ…」

 セシリオは獣のような目をしたルイを見て腰を疼かせた。

 あの時のような、激しい行為が始まることを期待して。そして、その期待はすぐに叶えられることになった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

仕方なく配信してただけなのに恋人にお仕置される話

カイン
BL
ドSなお仕置をされる配信者のお話

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

久しぶりの発情期に大好きな番と一緒にいるΩ

いち
BL
Ωの丞(たすく)は、自分の番であるαの かじとのことが大好き。 いつものように晩御飯を作りながら、かじとを待っていたある日、丞にヒートの症状が…周期をかじとに把握されているため、万全の用意をされるが恥ずかしさから否定的にな。しかし丞の症状は止まらなくなってしまう。Ωがよしよしされる短編です。 ※pixivにも同様の作品を掲載しています

ふたなり治験棟

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

処理中です...