俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ

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during period

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「痛むか?」

 と聞いてさりげなくソファーの前に座り込むあたしの後ろに回り込むあなた。ソファーに膝をつき、背後からそっと包み込むと頭をぽんぽんし、

「……ちょっと、こうさせて貰っても構わないか」

 俺様上司のくせに、気を回す。いいよ、とあたしが答えれば、

「おまえの髪、なんかいい匂いする……」

 ほっと安らぐあなたの顔が目に浮かぶ。そして微笑んでしまうのだよ。

「好きなだけこうしてていいよ」

「うん。……紘花の香り、すげえ好き」

 毎日シャンプーもドライヤーも頑張れる。

 他の誰でもない、あなたが褒めてくれるから。

「癒される……」

 頭のてっぺんを嗅ぐあなた。あたしはちょっと笑って、「ねえ、なんか、犬みたい」

「おれはおまえの下僕……だわん!」

「もう。蒔田さんったら!」

「わん。……こは、大人しく飯を作るわ。おかゆとか雑炊がいい?」

「うーん。キャベツの使いかけがあったから、野菜炒めとかにする?」

「お任せあれ。……わん。ところでご主人様」と犬みたいに両手の手の甲を上にして丸を作る蒔田わん、違う、蒔田さんは、「どうせなら余っている素麺使ってにゅうめんにしますか。寒いからあったかいものがいいかもだわん。お腹にもわん!」

「そうね」とあたしはきりりとした表情を作り、「タロウ、お願い」

「はいだわん!」

 ……蒔田さんってば。職場であんなしかめっ面の仏頂面で笑っていけないを見ても笑わない男。なので有名なのに……。

 私生活では案外おちゃめなところがある。

 ノリがいいし、ベッドでは激しいし、綺麗好きだし、どんなに忙しくても清潔感及び品性を損なうことはしないし……。

「完璧すぎて怖いくらいだわん……あ、違う」

 *

「あーんする?」

 ええ、是非。

 目で分かったらしい。あなたは、あたしの前で、あちちと言いつつ器を持ち、麺を持ち上げるとふーふーし、……あたしの目を見て再びふーふーし、

「……ご賞味あれ」

 つるん、と喉を通っていく旨味。「――美味しい!」思わず叫んだ。

「ええー。なんか、おだしが効いていてすっごく美味しい! 蒔田さん天才! ……ああそう……冬場ってこういうあったかいにゅうめんってすごく染みる……蒔田さんありがとう……あたしすごく幸せ……」

 器を置くと、そのあったかい手であたしの頬をぷにっと摘まみ、「大げさだな」――その。

 笑う顔が少年みたいに無邪気で素敵で。

 プライベートのときには下ろす、アシンメトリーな前髪の下に潜む瞳の美しさにいつも魅了されている。……ああ……好き……。

「ありがとう」ちゅ、とほっぺにキスをしてからあたしは器に向き直った。「じゃ、あったかいうちに食べるね!」

 三分食べた頃だろうか。隣を見た。――そこには。

 ほっぺたを手で包んだまま顔を赤くした愛おしいそのひとがいた。……可愛い……。

「蒔田さん……好き……」

 たまらず抱きついた。大好きで……胸が焦げるくらいに、あなたが好き……。

 せっかく作ってくれたにゅうめんが、すこし冷めてふやけてしまうのに。でもどうしてもあなたを前にすると止められない。

 女のこういう時期って、苛々するし、放っておいて欲しいときもある。酷いときには男の欲求だけを満たせと求められることもある。――蒔田さんは。

 全然、いままでの男とは違って……。本当にやさしい。

 今日だって、いつもだったら、ちゃちゃっと簡単に野菜炒めを作ってくれるところを、あたしを気遣って、お腹にやさしい料理にしてくれた。俺様で強者。強欲で野性的なあなた。

 足を絡ませくっついて、唇を貪り唾液を絡ませあっていると、「あ……」どろり、とあふれるのに気づいた。まずい。えぇっと後ろが……。

「ごめん蒔田さん。すこし席外すね」

「ああ」

 そうしてさっぱりして帰ってくると蒔田さんはまた元の彼氏の顔に戻り、

「食べようか」と言ってくれる。……そういう、やさしくて、気遣いが出来るところ、理性的に抑制出来るところも、

「だぁーいすき。蒔田さん。ぎゅうー」

 後ろから抱き着くと蒔田さんに笑われた。「おまえ、そういうことしてっとまた大変なことになるぞ?」

「ぶー。夜用に替えてきましたのでいくらでも遊べまよぉうーだ」

「そっか。残念」笑ってまた重なり合う。好きが止まらない。料理なんて食べる隙がない。
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