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07-すぐにイクようではいけません。

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「あっ、ああっ。だ、大悟っ」
 入る。入ってしまう。

 ダメだと思うのに、腰をあげなくちゃと思うのに。ローションに濡れたアナルの奥を、確かなものがずるずると這いのぼってくる。その感覚に、腰が震えて力が抜ける。
 アナルの内壁が、大悟のペニスにやわやわと纏わりついて、喜んで受け入れてるのが自分でもわかった。奥のほうが痺れ、ふわりと開いていくあの錯覚が、実際に起きてるようにさえ感じる。

 力が抜けたのは腰だけじゃない。手も脚も、まるで力が入らない。
 大悟の肩に埋めた頭と、わずかに寄りかかっている胸と、腰を掴む大悟の大きな手だけが、俺の身体を支えるすべてだった。

 もう、ゴムどころじゃない。もしここで大悟が手を緩めたら、俺は自分の重みで沈んで、ひと息に奥を突かれることになる。そうとわかっていても、こんな腑抜けた身体じゃどうすることもできない。
 腰に食い込む力強い指先からは、俺を支えようとする大悟の気遣いが伝わってくる。これはもう、大悟にされるがまま任せてしまうしかなかった。


「ッ、」
 それでもサイズがサイズだ。これまで経験のない最奥がずくりと拓かれていく感覚に、思わず息を詰める。
 その瞬間、俺の腰をゆっくりと引きおろしていた手がピタリととまった。

 この中断は、たぶん偶然じゃないよな。
 ふいに見せられた大悟の思いやりにつられて、昔のことを思い出す。確か中学の、俺が大悟に懐きだしてすぐくらいのことだ。

 体育の授業で突き指をして、たいしたことないからと放置していた俺を、放課後の部活中に大悟が保健室へ連行したんだ。違うクラスで、俺の負傷を知らないはずの大悟が、他の誰も気づかなかった俺の突き指に気づいたことがすごく不思議だった。

 そのときも確か、『見てればわかる』と言っていた気がする。あのときも、いまも、大悟は本当に俺のことが『わかる』んだな。

 出会った中学一年のときから、六年ものあいだ見続け、ずっとわかっていたというのなら、俺がゲイだということも秘密にしたかった諸々も、大悟が知ってて当然だ。
 わかろうと意識して見つめ続けていないと、きっと他人をそこまで把握することはできない。俺も大悟のことを大切だと思ってるけど、もしかしたらそれ以上に、大悟も俺のことを大切に思ってくれてるのかもしれなかった。


 そう思えば嬉しくて、たちまち胸が熱くなってくる。
 大悟を思いきり抱き締めたい気分だったけど、力の入らないこの腕では無理だった。仕方なく、抱き締める代わりに、肩に押しつけていた頭を大悟の首に摺り寄せた。

 すると何を思ったのか、大悟が俺の腰を自分のほうへと引き寄せた。
「うあッ、んんんーっ」
 ペニスの深さは変わらず、その角度だけが変わる。やっと慣れてきた深みを掻き混ぜられるようなその動きに、全身が一瞬で硬直した。

 その瞬間に訪れたのは、視界を白く焼かれるような衝撃の、甘い痺れだった。
 ゆっくりと硬直が解け、全身がふにゃりと蕩けていく。脱力しきった身体を大悟に凭せかけ、甘い余韻を存分に味わった。腰を引き寄せられたことで胸も腹もぴたりと合わさって、抱き締めたのと近い体感にうっとりと酔う。

 ああ、きもちいい……。
 はあ、と吐きだした息まで、甘い色に染まってる気がした。


 俺がうっとりとその快感を享受しているあいだ、大悟は動かずにじっとしていてくれた。でも、あまりにも動かないままの大悟に、だんだん物足りなくなってくる。
 俺の奥深くには、まだ大悟のぺニスが嵌まったままだ。太くて大きくて硬くて、存在感の半端ない、あのシロモノが。
 まだ全部は入りきってはいないようだった。でもきっと、この程度の違和感なら大丈夫だ。

 奥まで欲しい。大悟に突かれたい……。
 込みあげてきたそんな淫らな欲望に、素直過ぎるアナルがきゅんと反応した。
 もともとみしりと塞がれた場所だから、たいして締まる余地もない。それでも内圧をあげたアナルが、ジンとしたやわらかな心地好さを連れてきて、その緩い悦楽に腰全体が包まれる。

 その感覚をもう一度、とは思うものの、意識的にそこを締められるほどまだ力は戻ってきていない。
 思わず、はふう、と満足とも物足りないともつかない、妙に色めいた溜め息を吐いてしまった。


 そのとき、
「あっ!」
 腰の奥で、ずくりと動くものがあった。大悟は動いていない。でもこれは。
「や、大悟……おっきくすんな」
 そう詰ってみたものの、アナルの内壁をゆるりと擦られた快感があからさまに滲んでしまったその声は、文句をつけているというよりも、甘えて誘っているようにしか聞こえない。

 でもまさか、これ以上のサイズアップがあるとは予想外だった。俺の望む通り動き始めた大悟に、大丈夫だろうかと確かに不安が脳裏を掠めたけど、それも、腰を掴む大きな手の力強さと、腰の奥から湧きあがる甘い痺れに、あっという間に霧散していった。

「あ、あ、ああ、」
 両側から掴まれ支えられた腰をそろりと引きあげられては、ゆっくりと押しさげられる。初めは、様子をうかがいながら。それが、往復を重ねるうち少しずつ大胆に。

 でも、
「ああっ、ああっ、や、大悟っ、やっ」
 動いて欲しい、穿たれたいと望んでいたのは俺なのに、喘ぎに制止の声が混ざってしまう。

 だって、擦れてる。先走りに濡れた俺のペニスが、シャツの下で大悟の硬い腹筋に擦りつけられてるんだ。
 このままじゃ、呆気なく果ててしまう。いやだ、もっと感じていたいのに。大悟を俺の奥に、もっと。

 ペニスが擦れないよう腰の角度を変えたくても、大悟の大きな手に掴まれた俺の腰は、すでに俺のものであって俺のものじゃない。
 大悟を、なんとかしてとめないと。
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