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間話 思い、芽吹く
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朱莉がエニシをしっかりと『家族』ではないと知ったのは中学生になった頃だった。
そろそろ理解できる頃合いだろうと、祖母が色々と教えてくれたのだ。
朱莉がこの神社を守る祭神『ムスビ姫』がどこかから拾ってきた子供で、祖母や父母と血のつながりがないこと。
……だけど今まで通り家族なのは変わりはないという事。
畳の上。まだ苦手な正座で祖母と向かい合い、ゆっくりと朱莉は話を聞いた。
祖母の顔は真剣で、だけど目は優しくて。
だから、なんだ、今まで通りだって朱莉は思った。
「私はあなたを後継にと思っていますが、もしこれから先、もっと他の道を選びたくなったらその時は遠慮せずに言うように。変に恩義を感じて我慢したりした時にはただでは済ませませんよ」
ピシャリと跳ね除けるような口調なのに優しい言葉。
朱莉は思わず笑ってしまう。
「ありがとう、家族なんだから遠慮なんてしないよ。だからお祖母ちゃんも遠慮しないで。手伝いが欲しい時は言ってね。……欲しいものもあるからお小遣いも必要だし」
そう言うと、『あまり無駄遣いはしないように』と返された。
血のつながりがないとはいえ、その気安いやり取りが家族なのだという実感になって朱莉を満たしてくれた。
だけど、
「あれ? じゃあエニシ様は? エニシ様も家族だよね?」
「あの方はこの神社の祭神ムスビ姫の使い、縁結びのご利益があると言われ、この神社に伝わってきた招き猫が長い年月を経て神霊を宿した付喪神」
「神様ってこと?」
「そうです」
朱莉の脳裏に、エニシの姿が過ぎる。
寂しい時にはそばにいてくれて、授業参観だってきてくれて、運動会も他の父母を押し除ける勢いで応援に来てくれて。
誰よりも近しい家族だと思っていた。
混乱している様子の朱莉を見て、祖母はしばらく目を閉じて何か悩んでいるようだった。
「どうしたの、お祖母ちゃん?」
「あなたはエニシ様の事をどう思っていますか?」
「えーっと、大好きなお兄ちゃん、かな?」
朱莉の答えに祖母が、あからさまにほっとしたような長い息を吐く。
その様子を見ながら朱莉は何かを思い出しかけていた。
誰かが同じような事を朱莉に聞いてきたような気がする。
「覚えておいてくださいね、朱莉には選ぶ権利がありますから」
「選ぶ権利?」
「そう、未来を選ぶ権利です。忘れないように」
「なんだかよくわからないけど、覚えておくね」
にこり笑ってみせると、祖母は安心したのかめずらしく頬を緩ませ、笑顔を返した。
そろそろ理解できる頃合いだろうと、祖母が色々と教えてくれたのだ。
朱莉がこの神社を守る祭神『ムスビ姫』がどこかから拾ってきた子供で、祖母や父母と血のつながりがないこと。
……だけど今まで通り家族なのは変わりはないという事。
畳の上。まだ苦手な正座で祖母と向かい合い、ゆっくりと朱莉は話を聞いた。
祖母の顔は真剣で、だけど目は優しくて。
だから、なんだ、今まで通りだって朱莉は思った。
「私はあなたを後継にと思っていますが、もしこれから先、もっと他の道を選びたくなったらその時は遠慮せずに言うように。変に恩義を感じて我慢したりした時にはただでは済ませませんよ」
ピシャリと跳ね除けるような口調なのに優しい言葉。
朱莉は思わず笑ってしまう。
「ありがとう、家族なんだから遠慮なんてしないよ。だからお祖母ちゃんも遠慮しないで。手伝いが欲しい時は言ってね。……欲しいものもあるからお小遣いも必要だし」
そう言うと、『あまり無駄遣いはしないように』と返された。
血のつながりがないとはいえ、その気安いやり取りが家族なのだという実感になって朱莉を満たしてくれた。
だけど、
「あれ? じゃあエニシ様は? エニシ様も家族だよね?」
「あの方はこの神社の祭神ムスビ姫の使い、縁結びのご利益があると言われ、この神社に伝わってきた招き猫が長い年月を経て神霊を宿した付喪神」
「神様ってこと?」
「そうです」
朱莉の脳裏に、エニシの姿が過ぎる。
寂しい時にはそばにいてくれて、授業参観だってきてくれて、運動会も他の父母を押し除ける勢いで応援に来てくれて。
誰よりも近しい家族だと思っていた。
混乱している様子の朱莉を見て、祖母はしばらく目を閉じて何か悩んでいるようだった。
「どうしたの、お祖母ちゃん?」
「あなたはエニシ様の事をどう思っていますか?」
「えーっと、大好きなお兄ちゃん、かな?」
朱莉の答えに祖母が、あからさまにほっとしたような長い息を吐く。
その様子を見ながら朱莉は何かを思い出しかけていた。
誰かが同じような事を朱莉に聞いてきたような気がする。
「覚えておいてくださいね、朱莉には選ぶ権利がありますから」
「選ぶ権利?」
「そう、未来を選ぶ権利です。忘れないように」
「なんだかよくわからないけど、覚えておくね」
にこり笑ってみせると、祖母は安心したのかめずらしく頬を緩ませ、笑顔を返した。
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