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マヨイガの水鏡
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朱莉は言葉もなく、じいっとコーヒーカップを見つめていた。
いつの間にか映像は消え、冷えたコーヒーがそこにあるばかり。
「わたし」
胸いっぱいに何かが詰まっているようでうまく言葉にならない。
目頭がじん、と熱くなり、涙になって頬を伝う。
カンターテーブルにぽたりぽたりと落ちる雫が店内を照らす陽光を受けて輝く。
朱莉はエニシの心が欲しいと願っていた。
そんな風に考えているのは自分の方ばかりだと思っていたのに、蓋を開けてみれば抱えきれないほどの想いがそこにあって……。
「わたし、すごく大事にされてた……」
なんとか言葉にできたのはそれだけだった。
マスターがそっと白いハンカチを差し出してくれたので、朱莉は受け取って頬に当てる。
自分の中だけで受け止めきれない気持ちが溢れて、次々と涙になる。
「ごめんなさい、涙、止まらなくて。……エニシ様が迎えに来るまでには泣き止みますから」
「気の済むまで泣いてくださって大丈夫ですよ」
優しく言われれば、ますます涙は止まらない。
「私も思う人が居ますから、エニさんの気持ちも良くわかります。人と人でないモノが共に生きると言うのは確かに難しい事でしょう。でも、それは人と人であっても何も変わらないとその人が言ってくれましたので、私もいつか彼女をここに迎えようと決めております」
「素敵な人なんですね」
「ええ、とても」
マスターは目を細めて穏やかに笑った。
しばらく涙が流れるにまかせていたが、ようやく昂っていた気持ちが落ち着いて涙も止まった。
朱莉はふうーっと大きく息をついて、涙を拭う。
「私、ちゃんと伝えてみようと思います。私はこの縁が、エニさんが良いって」
スッキリとした顔になった朱莉の前にマスターは慣れた手つきで新たなカップを置く。
「ではこれは前祝いですね、おかわりをどうぞ」
「ありがとうございます」
ふわふわと立ち上るミルクの香りにうっとりと目を閉じて、そうして朱莉はエニシの訪れを待った。
結局、泣きすぎて真っ赤な目の朱莉を見たエニシが物騒な顔つきで夜木のところへ向かおうとしたのを、マスターと二人がかりで引き止めることになってしまい告白のタイミングを失うことになるなんて、その時は考えていなかった。
いつの間にか映像は消え、冷えたコーヒーがそこにあるばかり。
「わたし」
胸いっぱいに何かが詰まっているようでうまく言葉にならない。
目頭がじん、と熱くなり、涙になって頬を伝う。
カンターテーブルにぽたりぽたりと落ちる雫が店内を照らす陽光を受けて輝く。
朱莉はエニシの心が欲しいと願っていた。
そんな風に考えているのは自分の方ばかりだと思っていたのに、蓋を開けてみれば抱えきれないほどの想いがそこにあって……。
「わたし、すごく大事にされてた……」
なんとか言葉にできたのはそれだけだった。
マスターがそっと白いハンカチを差し出してくれたので、朱莉は受け取って頬に当てる。
自分の中だけで受け止めきれない気持ちが溢れて、次々と涙になる。
「ごめんなさい、涙、止まらなくて。……エニシ様が迎えに来るまでには泣き止みますから」
「気の済むまで泣いてくださって大丈夫ですよ」
優しく言われれば、ますます涙は止まらない。
「私も思う人が居ますから、エニさんの気持ちも良くわかります。人と人でないモノが共に生きると言うのは確かに難しい事でしょう。でも、それは人と人であっても何も変わらないとその人が言ってくれましたので、私もいつか彼女をここに迎えようと決めております」
「素敵な人なんですね」
「ええ、とても」
マスターは目を細めて穏やかに笑った。
しばらく涙が流れるにまかせていたが、ようやく昂っていた気持ちが落ち着いて涙も止まった。
朱莉はふうーっと大きく息をついて、涙を拭う。
「私、ちゃんと伝えてみようと思います。私はこの縁が、エニさんが良いって」
スッキリとした顔になった朱莉の前にマスターは慣れた手つきで新たなカップを置く。
「ではこれは前祝いですね、おかわりをどうぞ」
「ありがとうございます」
ふわふわと立ち上るミルクの香りにうっとりと目を閉じて、そうして朱莉はエニシの訪れを待った。
結局、泣きすぎて真っ赤な目の朱莉を見たエニシが物騒な顔つきで夜木のところへ向かおうとしたのを、マスターと二人がかりで引き止めることになってしまい告白のタイミングを失うことになるなんて、その時は考えていなかった。
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