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第三章 真っ暗聖女、聖女のお役目
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「ところでシア様、私の役目というのは『魔力の巡りを整える』と聞いているのですが、その方法について神託を賜れるのでしょうか?」
『そうね、神託というか、お願いになるかしら。……まず、前提として、ここに居る私は本来の私の分身体。本来の私は、大地となってこの国を支えているわ』
「それは神話の通りなのですね」
『そう。要するに私はずうっと貴方たちの下で眠っている状態なの。で、長く寝ていると何が起こると思う?』
そんな事ではないだろうなと思いつつも、私は、長く寝ついてしまった村の老人の様子を思い出しつつ、例に上げてみる。
「首や肩や腰がガチガチに固まって辛くなったり、歩く力が失われたり、場合によっては床ずれが起きたり、でしょうか?」
『そう、それなの!』
女神は私の言葉に何度も力強く頷く。
『ずうっと寝てばっかりだと、身体中が固まっちゃうのはどうにもならなくて……そうすると魔力の巡りが滞っちゃうの。だから貴方みたいな「光の魔力適性が高い子」に全身を揉みほぐして貰う必要があるのよ』
聴きながら、つい私は天を仰ぐ。
まさかの、魔力の滞り=女神様の肩こり腰痛が原因とは。
確かに、これは歴代聖女も内容を秘匿する。聖女だと持ち上げられて、この国を守る為にと腹を括ったところで下されたご信託が、『揉み治療を所望する』だったわけだから。
これは書き残しにくいし……私も書き残さないかな。
「あの、シア様……確かに私の『揉み治療』は、村のお年寄りに好評でしたけど、もっと上手い方は他にたくさん居ると思いますが」
『貴方の言う通り、手技の巧みさというだけならもっと他にも居るけど、そこは、どうしても相性があるのよ』
「……相性、ですか?」
『光の魔力に対しての、親和性とでもいうのかしら。稀にそれがすっごく高い子がいるの。今代だと貴方がそう。だから、貴方に触れているだけで、私はとても癒されるの』
私の両手を握り、女神はうっとりと私を見る。
「でも、それなら王都でなく、私が居た村で行うのはダメだったのですか?」
『王城の辺りは、私の身体の心臓に当たる場所。ここが一番私と貴方が通じあえるの。他の所だと一方的に加護を与えるのが精々ね』
と言うことは、王都は女神様の胸の上にあると言うことなのかな。私の居た辺りは手足の先くらいだろうか。
『時期が近づいたら、まずは精神だけをあちこちに飛ばして、「聖女」になれる子を探し、見つけたらここに連れてきてもらえる様に、目印と光の魔力に愛される加護を与えるのだけど……』
「加護ですか? もしかして私が光を吸い込んで真っ暗になってしまっていたのは……」
私の言葉に、女神の表情がみるみる曇る。
『あのね、前の聖女の時に加護のせいで聖女が光っちゃってすごく怒られたから、今度は光らせないように! って気をつけて加護を与えたのだけど……」
「今回は光るどころか、暗くなったと……」
泣きそうな顔の女神。だけど私は理由がわかってスッキリしていた。
『そうね、神託というか、お願いになるかしら。……まず、前提として、ここに居る私は本来の私の分身体。本来の私は、大地となってこの国を支えているわ』
「それは神話の通りなのですね」
『そう。要するに私はずうっと貴方たちの下で眠っている状態なの。で、長く寝ていると何が起こると思う?』
そんな事ではないだろうなと思いつつも、私は、長く寝ついてしまった村の老人の様子を思い出しつつ、例に上げてみる。
「首や肩や腰がガチガチに固まって辛くなったり、歩く力が失われたり、場合によっては床ずれが起きたり、でしょうか?」
『そう、それなの!』
女神は私の言葉に何度も力強く頷く。
『ずうっと寝てばっかりだと、身体中が固まっちゃうのはどうにもならなくて……そうすると魔力の巡りが滞っちゃうの。だから貴方みたいな「光の魔力適性が高い子」に全身を揉みほぐして貰う必要があるのよ』
聴きながら、つい私は天を仰ぐ。
まさかの、魔力の滞り=女神様の肩こり腰痛が原因とは。
確かに、これは歴代聖女も内容を秘匿する。聖女だと持ち上げられて、この国を守る為にと腹を括ったところで下されたご信託が、『揉み治療を所望する』だったわけだから。
これは書き残しにくいし……私も書き残さないかな。
「あの、シア様……確かに私の『揉み治療』は、村のお年寄りに好評でしたけど、もっと上手い方は他にたくさん居ると思いますが」
『貴方の言う通り、手技の巧みさというだけならもっと他にも居るけど、そこは、どうしても相性があるのよ』
「……相性、ですか?」
『光の魔力に対しての、親和性とでもいうのかしら。稀にそれがすっごく高い子がいるの。今代だと貴方がそう。だから、貴方に触れているだけで、私はとても癒されるの』
私の両手を握り、女神はうっとりと私を見る。
「でも、それなら王都でなく、私が居た村で行うのはダメだったのですか?」
『王城の辺りは、私の身体の心臓に当たる場所。ここが一番私と貴方が通じあえるの。他の所だと一方的に加護を与えるのが精々ね』
と言うことは、王都は女神様の胸の上にあると言うことなのかな。私の居た辺りは手足の先くらいだろうか。
『時期が近づいたら、まずは精神だけをあちこちに飛ばして、「聖女」になれる子を探し、見つけたらここに連れてきてもらえる様に、目印と光の魔力に愛される加護を与えるのだけど……』
「加護ですか? もしかして私が光を吸い込んで真っ暗になってしまっていたのは……」
私の言葉に、女神の表情がみるみる曇る。
『あのね、前の聖女の時に加護のせいで聖女が光っちゃってすごく怒られたから、今度は光らせないように! って気をつけて加護を与えたのだけど……」
「今回は光るどころか、暗くなったと……」
泣きそうな顔の女神。だけど私は理由がわかってスッキリしていた。
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