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魔王出現
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第三王女、ソフィア。騎士姫と皆が呼び慕う、剣を手に騎士に混じり鍛錬を重ねる少女。民衆から愛されてはいるけど、すでに第一王子が王太子となり、次期王となる事が決まっているので、近隣の国へ嫁ぐのか、国内のパワーバランスを崩さない貴族のもとへ嫁ぐのかと噂されていた。
ユリアの記憶の奥から引っ張り出してきたそんな情報と、目の前の少女を見比べる。
絹糸の様な金の髪といい、艶やかな白い肌といい、ちょっと吊り上がってはいるけれど大きな瞳といい。
なんとはなしに、大きな猫を思わせる。
今は、毛を逆立てて警戒している感じ。
「『魔王』を倒すのに、どうしてアレクシスが行かなければならないの?」
「氷の城の主たるあなたならばご存知のはず。『魔王』を倒す為の剣を王家より託されたあなたなら」
パシッと、頭の中で何かが弾けた。
夢の中でアレクが私の胸を貫いていた剣。宝物庫で見た、何故か目が離せなくなった剣。そして、『魔王』を倒す為という言葉で今、頭に浮かんだ剣。それは全部同じ姿だった。
「その為に、彼を騎士として鍛えていたのではないのですか?」
頭を押さえてぎゅっと目を閉じる私に、ソフィアの言葉が追い打ちをかける。やめて、記憶が次から次に、繋がって浮かび上がってくる……。
「『氷の聖剣』を振るう為の騎士として」
その言葉が駄目押しだった。
ユリアの記憶が、ぶわっと頭の中に溢れて広がった。今までどこに仕舞われていたんだろう、こんなたくさんの記憶。
優里愛の記憶が蓋をしていたんだろうか。
私はぐるぐると渦を巻く記憶の中から、必要そうなものを必死に繋ぎ合わせて返事をする。
「そう、そうね騎士として育てているのは確かよ。でも、まだ時が満ちていない」
「一刻も早く、まだ『魔王』が育ち切る前に倒したいのです!」
ソフィアの言うことは尤も。記憶によれば『魔王』とは、人の悪感情の塊が世界に漂う魔力とくっついて、大きな大きな塊になったもの。
自然発生した後は、のろのろと進みながら人や動物、農作物に害を与える。さらに悪いのが、魔獣にとって『魔王』の周りは居心地がいいらしく、集まって一緒に進む為、被害が甚大になるということ。
人の悪感情が『魔王』を産み、『魔王』が進んでまた悪感情を育てる。
そんな悪循環を断ち切れるのが、この城の宝物庫にある『氷の聖剣』。ユリアの力を少しずつこの地から吸い上げながら育つ、魔法剣。
でもその魔力が『魔王』に対抗できる程になるまでにはまだ数年かかる。それが、女神が言っていた期間だったんだ。
でも、私の感覚では、10年でも『氷の聖剣』は力が足りないはずだけど……?
まして今なんて、全然も全然。魔力不足で『魔王』に傷一つ、つけられない。
「直接戦ってわかっているでしょう? アレクの力はちょっと強い騎士程度。魔力もそこまで強いわけでもないわ。『氷の聖剣』もまだ、魔力不足よ」
「それでもどうしても今、彼に聖剣を振るって欲しいのです。私にはできないことだから……」
悔しそうに唇を噛み、ソフィアは燃える様な目でそう言った。
ユリアの記憶の奥から引っ張り出してきたそんな情報と、目の前の少女を見比べる。
絹糸の様な金の髪といい、艶やかな白い肌といい、ちょっと吊り上がってはいるけれど大きな瞳といい。
なんとはなしに、大きな猫を思わせる。
今は、毛を逆立てて警戒している感じ。
「『魔王』を倒すのに、どうしてアレクシスが行かなければならないの?」
「氷の城の主たるあなたならばご存知のはず。『魔王』を倒す為の剣を王家より託されたあなたなら」
パシッと、頭の中で何かが弾けた。
夢の中でアレクが私の胸を貫いていた剣。宝物庫で見た、何故か目が離せなくなった剣。そして、『魔王』を倒す為という言葉で今、頭に浮かんだ剣。それは全部同じ姿だった。
「その為に、彼を騎士として鍛えていたのではないのですか?」
頭を押さえてぎゅっと目を閉じる私に、ソフィアの言葉が追い打ちをかける。やめて、記憶が次から次に、繋がって浮かび上がってくる……。
「『氷の聖剣』を振るう為の騎士として」
その言葉が駄目押しだった。
ユリアの記憶が、ぶわっと頭の中に溢れて広がった。今までどこに仕舞われていたんだろう、こんなたくさんの記憶。
優里愛の記憶が蓋をしていたんだろうか。
私はぐるぐると渦を巻く記憶の中から、必要そうなものを必死に繋ぎ合わせて返事をする。
「そう、そうね騎士として育てているのは確かよ。でも、まだ時が満ちていない」
「一刻も早く、まだ『魔王』が育ち切る前に倒したいのです!」
ソフィアの言うことは尤も。記憶によれば『魔王』とは、人の悪感情の塊が世界に漂う魔力とくっついて、大きな大きな塊になったもの。
自然発生した後は、のろのろと進みながら人や動物、農作物に害を与える。さらに悪いのが、魔獣にとって『魔王』の周りは居心地がいいらしく、集まって一緒に進む為、被害が甚大になるということ。
人の悪感情が『魔王』を産み、『魔王』が進んでまた悪感情を育てる。
そんな悪循環を断ち切れるのが、この城の宝物庫にある『氷の聖剣』。ユリアの力を少しずつこの地から吸い上げながら育つ、魔法剣。
でもその魔力が『魔王』に対抗できる程になるまでにはまだ数年かかる。それが、女神が言っていた期間だったんだ。
でも、私の感覚では、10年でも『氷の聖剣』は力が足りないはずだけど……?
まして今なんて、全然も全然。魔力不足で『魔王』に傷一つ、つけられない。
「直接戦ってわかっているでしょう? アレクの力はちょっと強い騎士程度。魔力もそこまで強いわけでもないわ。『氷の聖剣』もまだ、魔力不足よ」
「それでもどうしても今、彼に聖剣を振るって欲しいのです。私にはできないことだから……」
悔しそうに唇を噛み、ソフィアは燃える様な目でそう言った。
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