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魔王出現
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「え?」
私の口から間の抜けた声が転がり出た。
「今、アレク、何て言ったの?」
「俺、行こうと思うんです、って言いました」
聞き直してもアレクは笑顔で同じ言葉を繰り返した。私は言葉を失う。
確かに魔王は最後はアレクが打ち倒す予定だけど、まだ、まだまだ年数が足りていない。この間の剣術大会だって、結局はイウレスに負けたのだし。
それに、ジョンの話を聞く限り、剣技でどうこうできるような相手には思えない。
「アレク、それはこの城での仕事を放り出すという事に他なりませんが、それでも行くと言うのですか?」
「それは、ごめんなさい。でも俺の力が必要だって言われたんです」
ジョンの言葉にしゅんと肩を落として、それでも意思を曲げるとは言わないアレク。
「一体誰にそんな事を言われたの?」
アレクに入れ知恵した大罪人は誰なのか、私は慌てて問いかける。
と。
「私が言ったのです!」
白を基調に金の刺繍を施した見るからに上等そうなドレスに身を包んだ少女が、扉を開け放ち、腰に手を当てて立っていた。
さらっさらの金の髪が、整った顔立ちを際立たせている。
「この間の大会でアレクに負けた子じゃない。一体何処から入ってきたの」
「彼の後ろを着いてきました」
アレクは少女に指で示されて、目を丸くする。気づいていなかったみたい。
「俺に着いてきたの? 駄目だよ。ここはユリア様の大事なお城なんだから」
そう言い、アレクは少女の腕を優しく掴み、外へ出る様に促す。だけど少女はそれに抵抗し、ぐっと両足を踏ん張る。
「出ていきません! 私はこの城の主人たる方、ユリア・フィロアに話があるのです」
「もしや、貴方は騎士姫様でございますか?」
ジョンの問いに、少女が鷹揚に頷く。
「騎士姫?」
「この国の第三王女、ソフィア様の事です」
ジョンが小さな声でそう教えてくれる。
「君、お姫様だったの?」
驚くアレクに、ソフィアは眉根を寄せて言う。
「それは今、重大な事ではないのです。私はただのソフィアとして、この国を憂う一人としてここに来たのです。どうか、話を聞いてもらえませんか?」
「話くらいは聞くわよ。この場でよければね」
私の言葉に、ソフィアは首を振る。
「二人だけで話をしたいのです」
真っ直ぐに私を射る金の瞳。あんまりにもじいっと見つめられて、私は渋々頷いた。
「わかったわ、ジョン、応接室に案内して」
「承知いたしました、アレクはお茶の用意を」
「はい!」
私はため息を着いて、部屋を出てゆく三人の背中を眺める。
どうにも、いい話は聞けないような気がしていた。
私の口から間の抜けた声が転がり出た。
「今、アレク、何て言ったの?」
「俺、行こうと思うんです、って言いました」
聞き直してもアレクは笑顔で同じ言葉を繰り返した。私は言葉を失う。
確かに魔王は最後はアレクが打ち倒す予定だけど、まだ、まだまだ年数が足りていない。この間の剣術大会だって、結局はイウレスに負けたのだし。
それに、ジョンの話を聞く限り、剣技でどうこうできるような相手には思えない。
「アレク、それはこの城での仕事を放り出すという事に他なりませんが、それでも行くと言うのですか?」
「それは、ごめんなさい。でも俺の力が必要だって言われたんです」
ジョンの言葉にしゅんと肩を落として、それでも意思を曲げるとは言わないアレク。
「一体誰にそんな事を言われたの?」
アレクに入れ知恵した大罪人は誰なのか、私は慌てて問いかける。
と。
「私が言ったのです!」
白を基調に金の刺繍を施した見るからに上等そうなドレスに身を包んだ少女が、扉を開け放ち、腰に手を当てて立っていた。
さらっさらの金の髪が、整った顔立ちを際立たせている。
「この間の大会でアレクに負けた子じゃない。一体何処から入ってきたの」
「彼の後ろを着いてきました」
アレクは少女に指で示されて、目を丸くする。気づいていなかったみたい。
「俺に着いてきたの? 駄目だよ。ここはユリア様の大事なお城なんだから」
そう言い、アレクは少女の腕を優しく掴み、外へ出る様に促す。だけど少女はそれに抵抗し、ぐっと両足を踏ん張る。
「出ていきません! 私はこの城の主人たる方、ユリア・フィロアに話があるのです」
「もしや、貴方は騎士姫様でございますか?」
ジョンの問いに、少女が鷹揚に頷く。
「騎士姫?」
「この国の第三王女、ソフィア様の事です」
ジョンが小さな声でそう教えてくれる。
「君、お姫様だったの?」
驚くアレクに、ソフィアは眉根を寄せて言う。
「それは今、重大な事ではないのです。私はただのソフィアとして、この国を憂う一人としてここに来たのです。どうか、話を聞いてもらえませんか?」
「話くらいは聞くわよ。この場でよければね」
私の言葉に、ソフィアは首を振る。
「二人だけで話をしたいのです」
真っ直ぐに私を射る金の瞳。あんまりにもじいっと見つめられて、私は渋々頷いた。
「わかったわ、ジョン、応接室に案内して」
「承知いたしました、アレクはお茶の用意を」
「はい!」
私はため息を着いて、部屋を出てゆく三人の背中を眺める。
どうにも、いい話は聞けないような気がしていた。
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