【完結】悪役失格 〜どうにも年下騎士の執着から逃げ切れる気がしない〜

オトカヨル

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時の狭間の(ミスミ視点)

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 大事な人。
 大好きな人。
 守りたい人。

 俺に、居場所をくれた人。

 なのにどうして、俺の目の前で貴女は倒れているんだろう。
 なのにどうして、俺の手にある剣は、貴女の胸を貫いているんだろう。

 目の前がぼやけて、滲んで、自分が涙を流していると気づいた。

 既にそこに貴女の魂は無いとわかっているのに、諦めきれない。
 俺の中で何かが囁く。何度、こんなことを繰り返すのかと。

 途端に、意識がどこかに吸い込まれる様な感覚があった。俺は必死に抵抗した。
 もう嫌だ、いっそこんな世界も俺も全部全部消えてなくなってしまえばいい。
 そっちになんか、もう行かない。

 気づけば世界は真っ暗で何にも無かった。自分自身すら見えない……。

 ああ、よかった。もうやり直さなくていいんだ。
 俺は、そう思ってその暗闇に身を任せようとして……。

「ごめんなさい」

 声がした。

 振り返ったつもりでも、結局そこには暗闇しかない。
「ごめんなさい。あの子はまだ世界を育てるには経験が足りていない。でも、私達姉妹は、直接の手助けが出来ないの」

 何を言っているか分からない。俺は、嫌だと首を振る。その謝罪を受け入れたく無いと首を振る。

「何度も戻って、何度も『魔王化』した貴方。積もり積もった大きな魔力は積み重なってとうとう神に肉薄し、世界が戻ることを拒否して別の魂として分離してしまった。……遠くに光が通り過ぎてゆくのが見えるでしょう。あれが魂達の輝き。本来のアレクシスの魂は、あの中にいて、これからまた生まれた頃に戻ってゆく」

 悲しい記憶を持たず、また最初に戻ってゆくアレクシス。俺自身。
 けれどそんなことはどうでもよかった。
 俺は、全部思い出していた。あの苦しみと悲しみを何度も繰り返したってことを。
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