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おまけ 神様風邪をひく
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「多分、風邪をひいたんだろう。うまく神力がコントロールできないせいか、気がついたらこんな姿で」
思い当たるのは私の風邪。感染してしまったと項垂れる。
「人のように熱が出るわけでもないし、苦しくもない。心配いらない」
低い声で優しくそう言い、美しい瑠璃色の羽を震わせるふっくらまん丸なオオルリ。
「なんだ、ただの風邪かあー。慌てて損したー」
「私が説明する前にここに向かったのは、ツツジだろう」
「それはそうだけど、急にそんなまんまるになったらびっくりするでしょー」
ほっと息をついて、ツツジが私を見上げる。
「風邪ならルリが言う通り心配しなくても、すぐ元に戻ると思うよ。たまにあるんだよね、人の子の風邪をもらっちゃうの」
そこで言葉を切って、ツツジは私を手招く。顔を寄せると、小さく耳打ち。
「でも、縁が深い相手からだけね」
風邪をうつしてしまって申し訳ない気持ちと、自分がルリにとって『縁深い相手』になれているという嬉しい気持ちがせめぎ合い、私は複雑な表情になる。
「とりあえず今日一日、ルリは仕事休みねー。こっちでゆっくりしてて」
「具体的に何をすればいいとかありますか?」
「側にいればいいよー。それが一番の薬」
片目をぱちりと瞑って可愛らしくそう言い、ツツジは「ごゆっくり~」と一言残して、店へと戻って行ってしまった。
「仕事もあるだろうから、私の事は放っておいてもらって問題ない」
「駄目です! 今日は一日一緒にいます」
私はぴょこぴょこと机の上を歩き去ろうとするルリの前に立ちはだかり、そう宣言した。
ルリは少し迷うように頭を巡らせていたが、ぴょんと跳ねて私の肩に飛び移った。
「お互い今日は仕事を忘れて休息日としよう」
声と共にルリの柔らかな羽が頬を撫でる。結構くすぐったい。
「それならお花見、なんてどうでしょう?」
「三月上旬では、桜にはまだ少し早くないだろうか」
ルリの問いに、私は机の上のノートパソコンを開く。目的のホームページはすぐにみつかった。
「なるほど、河津桜」
「そうです、もう咲き始めてるんですよ」
河津桜といえば、早咲きの桜として有名な品種。まだ肌寒いと感じる2月から各地でちらほらと開花の話題があるくらい。
雲仙市にある『百花台公園』のホームページでも、開花情報が出ていた。
「近くの和菓子屋さんのフルーツサンドが、美味しそうで! って、……花より団子、だな、とか思ってます?」
ルリはそれに答えず、ただ囀るように軽やかに笑った。
思い当たるのは私の風邪。感染してしまったと項垂れる。
「人のように熱が出るわけでもないし、苦しくもない。心配いらない」
低い声で優しくそう言い、美しい瑠璃色の羽を震わせるふっくらまん丸なオオルリ。
「なんだ、ただの風邪かあー。慌てて損したー」
「私が説明する前にここに向かったのは、ツツジだろう」
「それはそうだけど、急にそんなまんまるになったらびっくりするでしょー」
ほっと息をついて、ツツジが私を見上げる。
「風邪ならルリが言う通り心配しなくても、すぐ元に戻ると思うよ。たまにあるんだよね、人の子の風邪をもらっちゃうの」
そこで言葉を切って、ツツジは私を手招く。顔を寄せると、小さく耳打ち。
「でも、縁が深い相手からだけね」
風邪をうつしてしまって申し訳ない気持ちと、自分がルリにとって『縁深い相手』になれているという嬉しい気持ちがせめぎ合い、私は複雑な表情になる。
「とりあえず今日一日、ルリは仕事休みねー。こっちでゆっくりしてて」
「具体的に何をすればいいとかありますか?」
「側にいればいいよー。それが一番の薬」
片目をぱちりと瞑って可愛らしくそう言い、ツツジは「ごゆっくり~」と一言残して、店へと戻って行ってしまった。
「仕事もあるだろうから、私の事は放っておいてもらって問題ない」
「駄目です! 今日は一日一緒にいます」
私はぴょこぴょこと机の上を歩き去ろうとするルリの前に立ちはだかり、そう宣言した。
ルリは少し迷うように頭を巡らせていたが、ぴょんと跳ねて私の肩に飛び移った。
「お互い今日は仕事を忘れて休息日としよう」
声と共にルリの柔らかな羽が頬を撫でる。結構くすぐったい。
「それならお花見、なんてどうでしょう?」
「三月上旬では、桜にはまだ少し早くないだろうか」
ルリの問いに、私は机の上のノートパソコンを開く。目的のホームページはすぐにみつかった。
「なるほど、河津桜」
「そうです、もう咲き始めてるんですよ」
河津桜といえば、早咲きの桜として有名な品種。まだ肌寒いと感じる2月から各地でちらほらと開花の話題があるくらい。
雲仙市にある『百花台公園』のホームページでも、開花情報が出ていた。
「近くの和菓子屋さんのフルーツサンドが、美味しそうで! って、……花より団子、だな、とか思ってます?」
ルリはそれに答えず、ただ囀るように軽やかに笑った。
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