転生した精霊少女は教団騎士と感情を探す

和三盆

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八話

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「だって、エルネスト、明日お仕事でしょ? 私がそっちに寝るって言っても、困ると思うから」
 芽衣は妹が雷の音が怖くて、布団に潜ってきたことを思い出しながら言った。エルネストは芽衣の提案に動揺する。エルネストから見る芽衣は艶のある黒髪を持った可愛らしい人間の少女の姿をしているためだった。
(困った。警戒心が薄すぎる。そういうのも知識に入っているかと思ったのだが、入っていないのか? いや、もしかして、脱いだら少年の肉体をしているかもしれないし、同性だからかもしれない。実験だと思われる痕跡もあるかもしれないし、調べてみるか)
「メイ、すまないが、寝る前に健康状態を確認したいのだけど、服を脱いでくれるかい?」
「うん。いいよ」
「俺が頼んでおいて、こういうことをいうの、おかしいけど、人に頼まれたからって服を脱いだら駄目だよ」
「脱がないよ? エルネストだから脱ぐんだよ」
「そうか……期待に添えられるようにするよ」
 決まっているじゃないかという風に告げる芽衣にエルネストは言葉を飲み込んだ。また、優しいからと言われてしまえば、それどころじゃなくなるのだ。
「座ったままのほうがいい」
 芽衣はエルネストの立ち、上下とも繋がっている服を脱いだ。エルネストは芽衣の裸体を見て目を見開いた。
 健康的な色をした肌につんと上を向く胸と柔らかそうな腹部。少年の体ではなく、少女の体だった。傷ひとつない体にエルネストは見とれかけた自分を叱咤して、慎重に違和感がないか探っていく。
「後ろを向いてくれないか?」
「うん」
 芽衣が後ろを向く。背中は同じように健康的な色の肌が続くと思っていたが、彼女の背中には不思議な形の模様が浮きあがっていた。エルネストは背中に手を伸ばして、模様をなぞる。禍々しさはないが、何のためにあるのかもわからない。
「この紋章は?」
「紋章? あるの?」
「ああ、背中にあるよ」
「そっか、知らなかった」
 芽衣は背中に模様が浮き出ていることを知らなかったようだ。エルネストは実験のときに生じたものだと結論づけて、相談する内容に含める。
「ありがとう。もう大丈夫だ。服を…いや、それじゃあ、寝にくいかな」
 一通り体を見終わったが模様が浮き出てる以外に問題はなかった。エルネストはチェストを開けて、一枚のシャツを着せる。ぶかぶかになったが、これで寝やすいはずだと一仕事終えたような気持ちになった。
「ありがとう。エルネスト、じゃあ、一緒に寝よう」
「……」
 話が振り出しに戻った。けれども、最初から勝敗は決まったようなものだった。
「わかった。ちょっと待っててくれ」
「うん!」
 じっとこちらを見つめくる芽衣に負け、手を出すわけでないから仕方ないとエルネストは上着を脱いで、芽衣と一緒にベッドに潜り込んだ。
(暖かい……)
 芽衣の体温を感じた。仕事以外で花街にも寄らないため、人肌を感じたのは久しぶりだった。眠れないかと思ったが、エルネストもベッドに入って、すぐに眠りに引き込まれてしまった。
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