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第八十七話 些細なきっかけ
しおりを挟む時間は少し遡り工藤とエナは見張りを始めたところにまで戻り二人は焚き火をしながら仲良く話している
工藤「まさかクシアさんにあんな一面があるなんて知らなかったよ」
エナ「お店で働いてた時なんかかなり人気だったんだよー」
工藤「美人な天使に笑顔で接客されたらそうなるよね、それにエナさんの料理もとても美味しかった」
エナ「そんな事ないよ、工藤さんだって上手に作れてたじゃん」
工藤「そうかな……」
エナ「証拠に海斗とアリスちゃんが美味しそうに食べてたのをみたでしょ?」
工藤「確かにそうだね……ありがとう」
自信なさげに話していた工藤だったがエナに褒められて笑顔になり嬉しそうにしている
エナ「工藤さんに聞きたい事あるんだけどいいかな?」
工藤「どうしたの?」
エナ「海斗と工藤さん達の世界の事について教えてほしいなーって」
工藤「全然大丈夫ですけど海斗からは詳しく聞いてないの?」
エナ「あんまり聞けてないですね、確か魔力とかが無いって事はうっすらと聞いた事があります」
工藤「そうなんだ、えーっと……どこから話そうかな」
エナ「えーっと……そうだ!!魔力がないなら他に何か違う動力とかがあったりするのですか?」
工藤「魔力の代わりなのか分からないけどこっちの世界は…………」
エナの疑問に工藤が答えていくという形で自分たちの世界の事を教える
魔力の代わりに機械などの技術が発達している事、電子機器という物があって離れた人とも魔力なしで簡単に連絡をとることができるという事など大きな違いにエナはかなり驚いており工藤もエナの反応を楽しみながら仲良く話していた
エナ「そうだったのですか、海斗が言ってたように魔法に憧れてる人がそちらの世界では多いのですね」
工藤「実は私も少しだけ憧れてました」
エナ「以外です、少しに気になったのですが工藤さんと海斗は元の世界ではどのような関係だったのですか?」
これを聞いた工藤は寂しそうな表情を浮かべるが無理やり笑顔を作る
工藤「そうだね……実はエナさんが思うほど私と海斗は仲良くはなかったというよりも海斗と仲が良い亜紀ちゃんの共通の友達で少し勉強を教える程度でしたね」
エナ「えっ!? でもさっきは楽しそうに話してませんでしたか?」
工藤「それはこの世界に来てから私が勝手にそう呼んだら海斗もそれに答えるように呼んでくれただけなんです」
エナ「てっきり元の世界でも仲が良いものだと思ってました(確か亜紀さんという方はアスフェアみたいに喧嘩するけど仲が良いみたいな関係の人だったよね)」
工藤「海斗は色んな人と仲良かったから」
エナ「何だか分かるようなきがします」
工藤「はい……」
エナ「工藤さんの海斗との思い出があるなら聞かせて欲しいです」
工藤「そうだね……一番思い出に残ってることといえば中学生の頃に誕生日プレゼントをもらったことかな」
エナ「詳しく聞かせてください(確か中学は小学校の次だったよね?)」
工藤「分かりました あれは学校が終わった放課後に……」
昔の記憶を辿りながらエナに語りかける、これは工藤が海斗を気になり始めるきっかけとなった過去である
――――――――――――――――――――――――――
中学2年生の夏の日普段から勉強などで世話になっている亜紀は放課後に教室で工藤の誕生日をお祝いしていたのだが途中で海斗が入ってきてしまう所から始まる
中学生の海斗「あら、工藤さんの誕生日祝ってたのか?」
中学生の亜紀「はい馬鹿海斗 空気読めよ」
海斗「うるせーなガキンチョ 忘れ物したんだよ」
亜紀「何がガキンチョよ あんたもどうせ博人(ひろと)とガキンチョみたいな事してるくせに」
海斗「俺はあいつと今から公園で勝負するんだよ」
亜紀「やっぱりガキじゃん」
海斗「男の勝負だよ、というよりも工藤さんと他の人が困った顔してるじゃねーか」
工藤「あはは……」
亜紀「あんたが乱入してこなかったら済んだ話よ」
海斗「悪かったって 見た感じプレゼントあげてるみたいだけどまともなプレゼント選んだんだろうな?」
亜紀「はあ?あんたと違って工藤さんには勉強で世話になってるしちゃんとしたのを選んだに決まってるじゃない」
海斗「工藤さん もしゴキブリとかムカデのびっくり箱だったら言ってくれよ 俺がデコピンしてやるから」
工藤「あはは……本当ならびっくりするかも」
亜紀「だからあんたじゃないって言ってるでしょうが」
由依「ちょっと二人共ヒートアップしすぎよ」
海斗と亜紀を止めた女子は由依といい色んな人と仲がよく特に亜紀とは部活が一緒という事もあり仲良しだがスポーツもできる上に頭も良い元気な女の子である
亜紀「由依ちゃんゴメン……」
海斗(俺が絡むといつもこうなんだからよ)
由依「工藤さんが主役なんだからね、でもせっかく福田君も来てくれたんだし一緒にお祝いしようよ」
海斗「そうだな 俺も小学校から時々勉強で世話になってるしお祝いするよ」
海斗と女子数名は工藤に向けて歌を歌ってお祝いしてプレゼントを渡していった
海斗「俺だけプレゼント無しってのも何か駄目な気がするよな」
工藤「別に良いんだよ、突然の事で何も用意してないだろうし」
海斗「いーや少しだけど勉強で世話になってる工藤さんには何か渡さないと……とは言ってもこれしかないけど」
海斗は自分の机から筆箱を取り出してシャープペンシルと消しゴムを工藤に渡す
海斗「いつも勉強頑張ってる工藤さんだからこれが一番良いかなーって……というよりもこれしかないんよ」
亜紀「良いプレゼント渡すじゃない これなら工藤さんの点数が下がってもこのシャーペンの呪いだって言い訳できるもんね」
海斗「確かにそうだよな!! 俺の筆記用具なんか渡したら馬鹿ウイルスに感染しちまうぜ」
この一連のやり取りに周りは笑っており普段は笑わない物静かな工藤も大声で笑ってしまう
工藤「二人とも面白いです」
由依「本当よ 私も貰って点数落ちた時の言い訳にしようかな」
海斗「由依と工藤さんは点数落ちても俺らよりも高いだろー」
由依「確かにそうかもねー」
工藤「福田君もしっかりやればできますよ」
海斗「そうかな?」
工藤「はい!!」
海斗「ありがとう 少し自信がついてきたよ」
亜紀「どこから湧いてくるのよ」
海斗「うるさい!!そういう事で俺は博人と勝負があるから行くよ それと工藤さん それはプレゼントだけどマジで点数下がったりしたら燃やしたりして構わないから、それじゃ!!」
亜紀「ちょっと待ちなさ」
海斗はそう言い残して風のように去っていき亜紀の言葉も聞かずに教室を飛び出して教室には女子だけになってしまう
工藤「行っちゃいましたね……」
亜紀「あいつの言った事は嘘じゃないから本当に燃やしてもいいわよ」
工藤「いえ……せっかくの福田君からのプレゼントです から大切に扱います」
由依「工藤さんは良い子だねー 亜紀もこれくらい良い子なら今頃博人と……」
亜紀「なっ!? 何であんなやつを好きになるのよ 何でも器用にできるってだけで調子に乗りすぎなのよあいつは」
由依「へー なら海斗は?」
亜紀「あいつだけは絶対ない」
工藤(福田君は違うんだね……なら私にもチャンスが)
――――――――――――――――――――――――
エナ「そんな事があったのですね」
工藤「はい、海斗にとっては些細な事でも私にとってはそれが異性から初めて貰ったプレゼントでとても嬉しかったんです」
エナ「そうですよね、どんな物でもプレゼントして貰ったら嬉しいですよね」
エナは海斗からプレゼントとして貰った月の首飾りを見つめて工藤の話を聞いている
工藤「その綺麗な首飾りは……その……海斗に貰ったものですか?」
エナ「そうですよ、色々と衝突もありましたがこれは絶対に大切にすると誓ったんです」
工藤「やっぱり……海斗はエナさんに……うぅ」
工藤は堪えていた涙が溢れてしまい焦って目を擦って誤魔化そうとするが涙は止まらずに溢れてくる
エナ「工藤さん……(やっぱり工藤さんは海斗の事を)」
工藤の表情や仕草を見ていたエナは色々と察するが彼女に何を話したら良いのかが分からなかった
工藤「……っ ゴメンなさい 突然泣いて驚きましたよね……」
エナ「いえ……大丈夫ですよ」
二人の間には沈黙が流れるがしばらくしてエナが口を開く
エナ「工藤さんは海斗の事が……好きになったのですか?」
工藤「分かりません……でも……エナさんが隣に居るって分かってから涙がでてしまったのでそうなんだと思います……」
エナ「そう……ですか だからと言って譲る気はありません!!」
工藤「それは分かっています……チャンスはいくらでもあったのにアタックしなかった私が悪いのですから」
エナ「海斗は普段から色んな人に囲まれてたから話しかけづらかったりしたのですか?」
工藤「はい……プレゼントをもらった日から海斗の事を気になっていたのですが私は自分に自信がなく普段から別クラスから海斗を見てただけなんです」
エナ「気持ち分かります……私なんかが行っても邪魔になるんじゃないかな?って私も思ったりしてました」
エナは学園でクラスが別になった時のことを思い出すと同時に喧嘩してクシアに慰められた事を思い出す
エナ「……思ってる事を全部吐き出してみたらどうですか?……そしたら少しは楽になるかもしれないですし」
工藤はゆっくり頷いて両手で膝を抱えて話しだす
工藤「違うクラスだったから同じクラスにならないかなーとか向こうから話しかけてくれないかなとかずっと受け身になってしまって卒業して……」
工藤「高校2年になってやっと同じクラスになれて嬉しくてプレゼントで貰った物も家で大事に使ってたんですが恥ずかしくて言い出せずにいると異世界に転移させられちゃうし……」
エナ「素直になるって簡単そうで難しいですもんね……」
工藤「そうですね……それでこの世界にきてそんな事を考える暇もなくなったけど同じパーティになってやっと肩を並べる事ができたって皆が必死に戦ってる中私だけ勘違いしてたからか海斗はいつの間にかいなくなっちゃって……」
エナ「…………」
工藤「そしてやっと会えて亜紀ちゃんみたいに仲良くなれたから頑張ろうと思ってたけど……エナさんとは固い絆で結ばれてるしこれは早く自分の気持ちに気付けなくて自分勝手にやってきた罰が来たんだと思ってます……」
エナ「工藤さん……」
涙で顔を赤くした工藤の話しを聞き続けているとあっという間に時間が過ぎ去っていき交代の時間となりクシアがやってくる
クシア「交代にやってきまし……工藤さんどうされたのですか?」
泣いている工藤を見たクシアは優しく声をかける
工藤「ちょっと色々ありましたけど少しスッキリしました」
クシア「そうですか……それなら良かったです」
エナ「良い事思いついた 工藤さんここで待っててくれない?」
工藤「何をするのですか?」
エナ「それは後で言うから、クシア フェンリルとアリスちゃんをしばらく預かっていいかな?」
クシア「はい分かりました、ですがあまり遅くならないようにお願いしますよ」
エナ「うん、分かってる」
クシアはエナのやろうとしている事を察しており工藤は何をするのか分からないまま二人を見つめている
そしてエナは海斗達がいる方向へと走っていきクシアはさっきまで泣いていた工藤を優しく包み込み慰めると彼女はクシアの胸に頭を当てて残りの涙を流したのであった
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