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第八十八話 魂の行方
しおりを挟むエナ「この口笛は海斗かな?」
暗い森を進んでいると口笛が聞こえてくる、これは海斗がアリスを寝かしつけるために吹いている口笛である
エナ「やっぱり海斗が吹いてたんだね」
海斗「エナおかえり、アリスには子守唄を吹いてたんだよ」
エナ「素敵なメロディだね!! 海斗が考えやつ?」
海斗「これはな……前の親友が考えたやつかな」
アスフェア「海斗がこんな素敵な歌を思いつける訳ないでしょ」
海斗「眠りかけといてよく言うぜ」
エナ「そうなんだ……私はとても好きだよ」
普通に話しているのだが海斗はどことなく悲しそうな顔をしている
海斗「ありがとう、あいつもきっと喜ぶと思う それで何か急いでそうだけどどうしたの?」
エナ「工藤さんが落ち込んでたから前にアリスちゃんとやったみたいにして散歩しようかなーって」
海斗「成る程、月も綺麗だし良い景色だと思うそれにアリスにもまたやるって言ったしな」
エナ「でもアリスちゃん寝てるんだよね?」
海斗「アリス、この前みたいにフェンリルと散歩するけど行くか?」
頭を軽く叩いてアリスに問いかけると彼女の目は大きく開いて元気よく頷いたのである
アリス「うん!!行きたい」
海斗「だそうだぞ」
エナ「分かった それなら行こっか」
アリス「うん!!」
海斗「そうだな、行きますか」
エナ「えっと……ゴメンだけど海斗はフェンリルには乗らないで欲しいかな……」
海斗「えっ!?」
アスフェア「あら」
アリス「どうして?」
エナ「えーっと……この前はほらクシアも含めて人数多かったらフェンリルが疲れてたし少ない方が良いかなーって」
海斗「確かにな、エナ 工藤 アリスならそんなに重くはないだろうし満足いくまで散歩はできるよな」
エナ「……という事だからアリスちゃん!!一緒に行こう、それと……」
エナは海斗に顔を近づけていき海斗も察してお互いに口を近づけてキスをする
アスフェア「おおー」
アリス「ん?エナお姉ちゃんと海斗お兄ちゃんは何したの?」
アスフェアはニヤついた表情で見ており反対にアリスは何が起きたのかがよく分かっていないようで不思議そうに二人を見つめている
エナ「フフッ、アリスちゃんも大人になったら分かるよ」
アリス「もーう エナお姉ちゃんまでそんな事言うなんてー」
アスフェア(エナも最近大人になったばっかりでしょ)
エナ「あら 海斗にも言われたのかな」
アリス「うん」
海斗「そうだな……アリスは好きな人を見つける事からだな」
アリス「何を言ってるの?私は海斗お兄ちゃんが大好きだよ」
アスフェア「言われてるわよエナ」
エナ「それはいくらアリスちゃんでも譲れな……」
アリス「勿論エナお姉ちゃんも大好き」
アスフェア「これはやられたわね」
海斗「違いない」
エナ「もーう」
海斗「まあまあ 取り敢えず行きなよ工藤が待ってるだろ?」
エナ「そうだね、フェンリル アリスちゃん行くよ」
エナは恥ずかしそうにしながらアリスの手を引っ張っていきフェンリルも後に続いて行った
アスフェア「このパターンはよくあるわね」
海斗「アスフェアも行けばいいじゃないか」
アスフェア「あんたが寂しいだろうと思ってね」
海斗「ほー 少しは優しくなったな」
アスフェア「いらない一言よ」
海斗「そうかい、クシアのところにでも行くか?」
アスフェア「そうね 変に目覚めちゃったし行きましょうか」
海斗とアスフェアも他愛もない会話をしながらゆっくりと歩いて行った
焚き火の方へと歩いていくとクシアがホーリアーと共にエナ達を見守っていたのである
クシア「海斗、アスフェア交代の時間ではないですよ?」
アスフェア「暇になって目覚めちゃったからお話ししにきたの」
クシア「そうですか……」
ホーリアー「賑やかで何よりですよ」
始めは驚いた表情をしていたクシアだったが話し相手が増えて少し嬉しそうにしている
海斗「とはいってもさっき色々と話したからなー」
アスフェア「そうねー……」
クシア「無理に話さなくても大丈夫ですよ 私は来てくれただけでも嬉しいですから」
アスフェア「そうだ!!クシアって一応天使なのよね?何で海斗なんかと一緒に追い出されたの?」
クシア「それは……私が失敗してしまったからで」
海斗「あれは仕方なかった事だよ」
クシア「しかし私にもっと力があればあのような事には……」
海斗「でもそのおかげでエナやアスフェアに巡り会えたよ」
クシア「そう……ですね……そう言ってくれると嬉しいです」
アスフェア「ゴメンなさい……最初に海斗が大怪我してたの忘れてた」
海斗「今は元気なんだから気にするなって、俺はクシアの楽しかった過去を聞きたいなー」
クシア「……ゴメンなさい 私は失敗してばかりで良い過去なんて一つとして無いのです……」
雰囲気が暗くなり明るい話題にしようとした海斗だったがクシアには良い過去がなく逆効果になってしまう
海斗「……クシアもたくさん後悔してる事があるって事か」
アスフェア「良ければだけどクシアの過去を教えて欲しい」
クシア「聞いても意味ないとは思いますが……」
アスフェア「私達はもう仲間じゃない、無理にとは言わないけど聞かせて欲しいの」
海斗「そうだな 俺もたくさん助けて貰ったしクシアの力になりたい」
クシア「分かりました……差し支えなければ聞いて欲しいです」
クシア「私は……過去に人を殺してしまった事があります」
まさかの告白に全員が衝撃をうけている
アスフェア「まさかクシアが……」
海斗「それはデストリンガーみたいな奴らを殺したって事だろ?」
クシア「いえ、罪のない人です……私はこの罪を一生背負わなければならないのです」
海斗「でも故意にやった訳じゃないんだろ?」
クシア「海斗達を勇者としてこの世界に召喚したでしょ?」
海斗「そうだね……転移魔術か何かを使ってるんだっけ?」
クシア「その通りです、実は今から一年前に私が勇者として転移させる魔術に失敗してしまった事があるのです」
アスフェア「失敗なんてあるのね……」
クシア「はい……天使の中でも私の方が適正が高いという事もあり一刻も早く魔族領で暴れるデストリンガーを止めたいという思いがあったからです」
アスフェア「確かに一年前は酷かったわね……食料を運ぶ馬車を破壊されたりしてお腹いっぱいに食べられない子供が増えてたもん」
クシア「特にビスト王国はその影響を大きく受けて今でもその影響が続いていますね……」
海斗「ビスト王国の国民は……貧しい暮らしをしてるのか?」
クシア「明日に行ってみれば現状が分かると思います」
海斗「分かった……それで召喚に失敗したらその人はどうなるの?」
クシア「それが……分かりません」
海斗「失敗ならこっちに転移しないで俺らの世界に残るんじゃないのか?」
クシア「召喚する際にあなた達の様子を見ているのですが私が召喚するはずだった人は危険な状態で今にも命が危ない状況だったのです」
海斗「死にかけって事?」
クシア「よく分からない物に押し潰されそうになっていて私が慌てて転移させてしまった事で魔術式が不完全なままになってしまい魂と肉体をこちらの世界に転移させる事ができなかったのです」
アスフェア「じゃあその人はよく分からない狭間を彷徨ってるって事なの?」
クシア「それが分からないのです……もしかしたらこの世界のどこかに転移できたのかもしれませんし後数年後にいきなり現れるかもしれません……」
海斗「そんな事があったんだ……」
クシア「その事がトラウマになってしまい私は魔力を上手く扱う事ができなくなり一年経ってリゼルと王女様によってあなた達の召喚に成功したという訳なのです」
海斗「俺達がやって来る前にそんな事があったなんて」
アスフェア「リゼルって天使はあのチビで生意気そうなやつだったよね?」
海斗(アスフェアも似たようなもんだけどな)
アスフェア「何よ」
海斗「いーや何も、リゼルって奴はクシアに突っかかってくるイメージがあったな」
クシア「そうですね……私が失敗したのもあってかリゼルは人一倍努力していましたから」
海斗「あいつなりには頑張ってるのか」
クシア「それで私ときたら何もできない役立たずになったのでリゼルや他の天使達の態度も理解できます」
海斗「何か色々と言われてたってのは聞いたよ……」
クシア「だからこそ海斗や工藤さん達が私の授業を一生懸命聞いてくれたり仲間として信頼してくれた時はとても嬉しかったんですよ」
アスフェア「少しでも自信を取り戻せてるのなら良かったわ」
海斗「クシアの授業は評判良かったからね」
クシア「海斗はもう少し私の授業を聞いといてほしかったですけどね」
海斗「それは……本当にすみません……」
クシア「反省してるのなら良いですよ、そのおかげか海斗は段々と変わっていると思います」
海斗「ありがとうございます、多分今後は説教されるような事はないと思います……」
クシア「フフッ 分かりました、期待しておきますよ」
海斗「はい!!」
クシア「それと私の話を聞いてくださりありがとうございます、おかげで気持ちが楽になった気がします」
アスフェア「多分だけどあなたは一人で抱え込むタイプだろうから私達をいつでも頼って良いのよ」
ホーリアー「妖精さんのいう通りです、天使だからと言って責任を抱え込むのは自分の身を滅ぼす事になりますから」
海斗「そうだね、辛い時はお互いに助けあおう」
クシア「はい!! 本当にありがとうございます!!」
暗かった空気からお互いを励まし合う事によって明るくなって笑顔が満ち溢れていた
海斗達が気付いた頃にはエナ達の夜の散歩も終わっておりアリスも久しぶりだったのもあり楽しくなったようでぐっすりと眠っていた
工藤も気分転換になったのかスッキリした顔になっており理由は分からないがエナと工藤はお互いに呼び捨てで呼び合うようになっていたのである
そしてクシアも過去の罪を気にしていたが仲間に話す事で気持ちが少し楽になり心の底から笑える仲間ができて嬉しさを感じていた
またクシアの失敗によって彷徨った勇者が世界の危機を救う事になるのだがこれはまた別の話で
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