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3・その気にするには?
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「はああああ!?」
全身の力が抜けた。
『交わるって、何すればいいか』ですって?
じゅ、ジュリオさまああぁ、まさか貴方、二十歳にもなって……。ああでも、この箱入り魔法使いならあり得るのかも……?
思わずがっくりと脱力してしまったあたしを、ジュリオ様は不思議そうに見ている。これは純粋に、答えを待っている顔だ。それにしても、花も恥じらう乙女のあたしが……何が悲しくて年上の男性に、そんな説明しなくちゃいけないの?
「ちょっと……、ちょっと待ってください、ジュリオ様」
深呼吸をして気持ちを整理し、あたしはどもりながらもジュリオ様に聞いてみた。結果は……そう、思ったとおり。
ジュリオ様、男女のことを何も知りませんでした……!
ああ、だめだ。天井に書いてあることが本当なら、万事休すってやつだ。こんなところで初めてなんて無理。それに、もし万一その気になったって、何も知らないジュリオ様じゃあどうにもならない。
だって、あたしだって処女なんだもの!
どうしよう、あたしたちここで……飢え死にするしかないのかなあ……?
あたしはどうにもならない気持ちで、膝を抱えてずっと座り込んでいた。あたしの控えめな説明で、ものすごく微妙なことだと理解したらしいジュリオ様も、時折あたしの様子を窺いつつも沈黙している。
お腹が鳴った。
「……もう夜でしょうか」
「……たぶん、そうだね」
それきりまた、黙り込んでしまう。
どうしよう、このまま本当に帰れないの……? 父さんにも母さんにも、もう会えないのかな……? そんなの嫌だよ……!
そんなあたしの頭に、悪魔が囁いた。
緊急手段だから、仕方ないよね? ジュリオ様は優しい方だから、もちろん秘密も守ってくれるし……黙ってればいいじゃない?
あたしはぶんぶんと頭を振った。だめだめ、無理に決まってる。でも……、このままじゃ。
あたしはちらりと横目でジュリオ様を見た。……あたしでも、ジュリオ様はその気になれるかしら? というより、そういうことの知識がないジュリオ様……できるの……?
いくらなんでも(好奇心だけはあるけれど)処女のあたしが、最初から最後までリードするなんて、無理だよ……!
ああ、あたしが農場の娘じゃなくて、町の娼館で身を売っていれば良かったのに。そしたらきっと、ジュリオ様のひとりやふたり簡単に……!
って違う! そうじゃない、何言ってるの。またぶんぶん頭を振るあたしを、ジュリオ様が不思議そうに見ているけど……構うもんか。
どうしよう、このままじゃきっと帰れない。あの文字が本当だって保証もないけど、今のところそれ以外にヒントがない。この不思議な空間にああ書いてあるなら、そうだと思うしかない気がする。ということは……。
「ううう……」
処女のあたしが、何も知らないジュリオ様をその気にできるんだろうか。
でも、やるしかない。
あたしは拳をぎゅうっと握りしめた。
夫婦が同衾して、何をしたら赤ちゃんができるのか。
さっき聞いたところでは、ジュリオ様は本当に何も知らないようだった。ローラン様も、そのくらい教えておいてくれたら良かったのに。
もっとも、本当はあたしだって偉そうなことは言えない。村の娘たちから聞いた話と、町へ来るようになってごくたまに、男たちから誘いをかけられる、その程度の知識しかないんだもの。
あからさまに言えば、ナニをドコに挿れるか、それくらいは知ってる。それに農場育ちだから家畜が番うのも見ているし、男の子たちが川で素っ裸で遊んでるのだって見たことはある。ただ、大人の男性のアレは見たことないし、本当にする時どうなのか知らない。というか、とても想像がつかない。それに、初めては痛いって……?
うう、怖い。やっぱり無理かも……。
でも、このままじゃ帰れない。こればかりは、あたしが勇気を出さないと……!
「ジュリオ様。お願いがあります」
あたしの必死の声に、ジュリオ様はびくりと顔を上げた。
全身の力が抜けた。
『交わるって、何すればいいか』ですって?
じゅ、ジュリオさまああぁ、まさか貴方、二十歳にもなって……。ああでも、この箱入り魔法使いならあり得るのかも……?
思わずがっくりと脱力してしまったあたしを、ジュリオ様は不思議そうに見ている。これは純粋に、答えを待っている顔だ。それにしても、花も恥じらう乙女のあたしが……何が悲しくて年上の男性に、そんな説明しなくちゃいけないの?
「ちょっと……、ちょっと待ってください、ジュリオ様」
深呼吸をして気持ちを整理し、あたしはどもりながらもジュリオ様に聞いてみた。結果は……そう、思ったとおり。
ジュリオ様、男女のことを何も知りませんでした……!
ああ、だめだ。天井に書いてあることが本当なら、万事休すってやつだ。こんなところで初めてなんて無理。それに、もし万一その気になったって、何も知らないジュリオ様じゃあどうにもならない。
だって、あたしだって処女なんだもの!
どうしよう、あたしたちここで……飢え死にするしかないのかなあ……?
あたしはどうにもならない気持ちで、膝を抱えてずっと座り込んでいた。あたしの控えめな説明で、ものすごく微妙なことだと理解したらしいジュリオ様も、時折あたしの様子を窺いつつも沈黙している。
お腹が鳴った。
「……もう夜でしょうか」
「……たぶん、そうだね」
それきりまた、黙り込んでしまう。
どうしよう、このまま本当に帰れないの……? 父さんにも母さんにも、もう会えないのかな……? そんなの嫌だよ……!
そんなあたしの頭に、悪魔が囁いた。
緊急手段だから、仕方ないよね? ジュリオ様は優しい方だから、もちろん秘密も守ってくれるし……黙ってればいいじゃない?
あたしはぶんぶんと頭を振った。だめだめ、無理に決まってる。でも……、このままじゃ。
あたしはちらりと横目でジュリオ様を見た。……あたしでも、ジュリオ様はその気になれるかしら? というより、そういうことの知識がないジュリオ様……できるの……?
いくらなんでも(好奇心だけはあるけれど)処女のあたしが、最初から最後までリードするなんて、無理だよ……!
ああ、あたしが農場の娘じゃなくて、町の娼館で身を売っていれば良かったのに。そしたらきっと、ジュリオ様のひとりやふたり簡単に……!
って違う! そうじゃない、何言ってるの。またぶんぶん頭を振るあたしを、ジュリオ様が不思議そうに見ているけど……構うもんか。
どうしよう、このままじゃきっと帰れない。あの文字が本当だって保証もないけど、今のところそれ以外にヒントがない。この不思議な空間にああ書いてあるなら、そうだと思うしかない気がする。ということは……。
「ううう……」
処女のあたしが、何も知らないジュリオ様をその気にできるんだろうか。
でも、やるしかない。
あたしは拳をぎゅうっと握りしめた。
夫婦が同衾して、何をしたら赤ちゃんができるのか。
さっき聞いたところでは、ジュリオ様は本当に何も知らないようだった。ローラン様も、そのくらい教えておいてくれたら良かったのに。
もっとも、本当はあたしだって偉そうなことは言えない。村の娘たちから聞いた話と、町へ来るようになってごくたまに、男たちから誘いをかけられる、その程度の知識しかないんだもの。
あからさまに言えば、ナニをドコに挿れるか、それくらいは知ってる。それに農場育ちだから家畜が番うのも見ているし、男の子たちが川で素っ裸で遊んでるのだって見たことはある。ただ、大人の男性のアレは見たことないし、本当にする時どうなのか知らない。というか、とても想像がつかない。それに、初めては痛いって……?
うう、怖い。やっぱり無理かも……。
でも、このままじゃ帰れない。こればかりは、あたしが勇気を出さないと……!
「ジュリオ様。お願いがあります」
あたしの必死の声に、ジュリオ様はびくりと顔を上げた。
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