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10・いっそ思い切って
しおりを挟む昼か夜かも分からない不思議な穴に捕らわれてから、どのくらい時間が経ったんだろう。
あれからジュリオ様がさらに研究に勤しんでくれたおかげで、あたしはジュリオ様の指を三本も挿れられた。恥ずかしくて思い出したくもないけれど、どれだけ声を上げたか分からない。「気持ちいい」という感覚もどんどん強くなって、さっきからなんだかお腹のあたりがきゅんきゅんと疼いている。
ジュリオ様はまだあたしの脚の間にいて、何やら工夫しようとしているけれど、もうこれ以上は無理……。
「ジュリオ、さま、もう……挿れて」
するとジュリオ様が驚いて顔を上げた。
「でもダリア、まだこんなに狭いのに。これじゃ辛いだろう」
あたしは必死で首を振る。それ以上されたら身がもたない。むしろかえって辛い気がする。
「もう、これ以上は……。どれだけ準備しても、痛いものは痛いみたいだから、もう」
疑わしそうな顔に焦れたあたしは、ジュリオ様のローブに手を伸ばした。あたしに夢中になっていたせいか、さっきよりくったりしているけど……。それでも、触るとすぐにまた大きくなったみたいだった。
「あっ、ダリア!」
「ね、ジュリオ様。もう、大丈夫だから」
「……うん、君がそう言うのなら」
とはいえ、最初みたいにする勇気はもうなかった。あたしはジュリオ様を見上げたままお願いする。
「ジュリオ様。もし、あたしが痛がっても……、お願いだからやめないで。痛いのは、最初だけらしいから」
「分かった。でも、本当に無理なら言うんだよ?」
あたしがこくりと頷くと、不安げながらジュリオ様も微笑んでくれた。
「……難しいかもしれないけど、できたら力を抜いたほうがいいと思う」
ジュリオ様はそう言ってあたしの髪を撫でて、優しくキスをしてくれた。それから身体を起こして、あたしの脚を掴む。
「……いくよ?」
そして再びあの熱いかたまりがぐっと押し付けられ、あたしは思わず息をのんだ。
それはさっきより滑らかに押し入ってきた……と思った。ものすごく押し広げられ、息苦しいみたいな圧迫感はあるけれど、これならもしかして大丈夫かも?
「……んっ」
「あっ、ダリア……!」
一瞬目を閉じたジュリオ様が、それでも私の顔色を見ながらほんの少し腰を進める。そのあたりでやはり同じような痛みを感じ、あたしは眉をひそめてしまった。
「ダリア、大丈夫……?」
「う……、大丈夫」
たぶん、ぜんぜん大丈夫な顔じゃなかったと思う。でも、痛いなんて言ったらジュリオ様はきっとやめてしまうから。
「がまん、できるから」
「ダリア……」
完全に信じたわけじゃないだろうけど、それでもジュリオ様はじりじりとゆっくり入ってきた。
「ひ……、う……っ」
入ってるんだから、さっきよりはずっとましなはずだ。でも、やっぱり辛い。ああこれ、いつまで我慢すればいいの……?
「んっ、い、ああ……」
「ああ……、君には悪いけど、すごい……きつくて温かくて……。こんな……!」
ジュリオ様が思わず呟いたその時、あたしのきつく閉じた目じりから、耐えきれずに涙が零れた。
「ああごめん、ダリア。もうやめるかい?」
涙に気付いたジュリオ様が狼狽えた声を出したけど、あたしは歯を食いしばって首を振る。
―――冗談じゃない、こんなに痛い思いして、途中でやめられてたまるもんか。
「や、今さら、やめないで……! ジュリオ様、もう……いっそ思い切って」
ジュリオ様はあたしの返事に目を剥いた。ところが次の瞬間、思いもよらない言葉が返ってきた。
「分かった。ダリア、すぐ済むから……っ!」
「え、待って本当に……!? あ、えっ、ん――――――っっ!」
ずずん……とか、そんな感じの衝撃に圧し潰されたかと思った。
―――まさか本当にやるなんて……。
ううん、あたしが自分で言ったんだけど。ジュリオ様は眉間にきつく皺を寄せて、あたしに覆い被さっている。溢れた涙で、あたしにはその顔が揺れて見えていた。さっきまでの引き裂くような痛みの名残と、じんじんとした疼き。それから、内側から圧し潰されそうな圧迫感……。
「は、入った……の?」
やっとの思いで尋ねると、ジュリオ様が目を開けて微笑んだ。
「うん。辛かったよね、ダリア……ちょっと待って」
繋がったまま、ジュリオ様がそっと身体を起こし、あたしは思わず顔をしかめた。するとジュリオ様はあたしのお腹に手を当てて、口の中で何か唱える。
「あ……!」
「楽になった?」
さっきまでの痛みが、嘘のように消えてしまった。
「痛みを感じなくはできないけれど、傷を治すことならできるから……」
すごい、ジュリオ様。こんなに楽になるなんて。
嬉しくて微笑んだ拍子に、ジュリオ様が身じろぎした。
「あんっ」
「どうしたのダリア? まだ痛い?」
慌てて身を屈めて、ジュリオ様があたしの顔を覗き込もうとする。
「やっ、ちが……! 待って」
そう、痛みはすべてなくなった。残っているのは……。
「ああそうか、気持ちいいんだね?」
「やだ、言わないで!」
「うっ……! ダリア、そんな締めつけないで」
ジュリオ様が眉を寄せた。こうなってみると、あたしもそれを意識せずにはいられない。ジュリオ様と繋がっているその部分が、熱をもったように疼いているのが分かる。
「ああ、ジュリオ様……」
頬が熱くなって息が弾んできてしまう。するとジュリオ様が困ったように言った。
「ねえ、ダリア。……僕、この後どうしたらいい?」
「え……?」
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