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9・ノートの行方が気になります 後
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恥ずかしながら前世の私は、控えめに言っても恋愛経験豊かとは言えなかった。
創作の中ではデロ甘ラブシーンも鬼畜えっちもいくらでも書く。でもそれは、あくまでもフィクションだ。実際こんな体勢になったら、もうどうしたらいいか分からない。
カチンコチンに固まって、シャルルを見上げるだけだ。
「結婚できないって、どういうこと?」
「……あ」
自分が逃げ帰ろうとしていたことなど、完全に頭から飛んでいた。いけない、ぼーっとしている場合じゃない。
あれを読まれたからには、やっぱりシャルルとは結婚できない。シャルルだって、きっと呆れ果てたに決まっている。
ところが私がそう言うと、シャルルはきつく眉を寄せた。
「本当に君は……。いや、アイリーン嬢のときもそうだったっけ。君はすぐ一人で考えて、勝手に結論を出そうとする」
私を押さえつける指に力が込められた。ドレスの肩に指先が食い込む。
「僕の気持ちなんか、いつも二の次だ」
「え……」
そんなことは……、と言いかけて、私はハッとする。――確かにそうだったかもしれない。あれを読んでどう思ったか、シャルルが言ったわけではない。
でもあんなものを読んだら、普通……呆れるか怒るかするものじゃないの?
「ほら、また。何を考えてる?」
「あ」
「頼むから決めつけないで。――全部僕に言ってよ」
シャルルがきゅっと唇を噛んだ。
ようやく私にも、シャルルの言いたい意味が分かってきた。いまだに私は心のどこかで、シャルルをゲームの……小説の登場人物のように思っているのかもしれない。彼の心を勝手に想像し、それならこうだと決めつけてしまっているのかもしれない。
それは違うはずだ。この世界のシャルルは、一人の人間。お話ではない、現実だ。
ならば、ちゃんと聞かなくては。……伝えなくては。
「あ……あんな話を書いて。呆れたでしょう? てっきり貴方に怒られると思って、私……」
「呆れはしないよ」
そう言うシャルルの頬に、また赤みが戻ってきた。
「どうして? 私のこと、嫌いにならないの?」
そっと視線を外したシャルルに、私はなぜか悲しくなった。――それが、貴方の答えなんじゃないの……?
また泣きそうになった私に、シャルルの呟く声が聞こえた。
「……もんか」
「……え?」
その声はひどく小さくて早口で、よく聞き取れなかった。
「何て言ったの?」
もう一度聞くと、シャルルの頬がさらに赤くなる。シャルルは、ひどくばつの悪そうな顔をした。
「嫌いになんか、なるもんか」
「え……?」
――嫌いにならない……って、それは……?
心臓ばかりが狂ったように音をたてている。息苦しささえ感じる胸から、私はようやく息を吐き出した。
「どうして?」
「嬉しかったもの」
シャルルの耳が赤くなっている。どうやら本気で言っているらしいと分かって、私は驚きに目を丸くした。
――あんなエロいものが……嬉しかった? 待って、シャルルってもしかして……そういうの好きなんですか? まさか、ムッツリ何とかいうやつ?
またしても脳内で考えが暴走しかかった私を、シャルルの次の言葉が止める。
「あんなに何回も、好きって書いてくれたら……」
「え……うそ」
――私……そんなこと、書いたっけ?
ベッドシーンの濃度ばかりが気になって、その辺はあまり覚えていない。だいたい衝動のままに書いて、見直しなどしていなかったのだから当然だ。でもまさか、そんな……。
私は何も言えなくなってしまった。気のせいか、一気に体温が上がった気がする。
「それに、僕のことをたくさん褒めてくれていたし」
「うう……」
何それ? 心の声がダダ洩れってやつじゃないですか? 泣きながら書いたとはいえ、私って……。
別の恥ずかしさに、背中を変な汗が伝う。
シャルルは小さく咳ばらいをした。
「その……。閨のことは、さ。僕にもまだよく分からないけど」
そう、そこが肝要です。私はぶんぶんと首を振った。
「あれは忘れて、お願い! 私、どうかしてたの――」
「忘れない」
やけにきっぱり言い切ったシャルルに、私はぽかんと口を開ける。
「できるだけ君の希望に添うように、頑張るから」
「へ」
「大丈夫、二人で努力しよう」
「え……、なにそれ、あの……」
「とりあえず、もっと体力をつけるよ」
にっこり笑うシャルルに、もう何を言って良いやら分からない。
そうでした……。
ゲームアプリ「ヒミツの恋愛遊戯」のシャルルは、「それまで女性経験がなかったくせに、やたらとHシーンが激しい」って評判だったんだよね。だから私も、当然そういうふうに書いたわけで……。
だからシャルルは、私がそうされたがってると思い込んでしまったわけですね。この手のストーリーのお約束、絶倫ヒーローにひと晩中泣かされるヒロインですよ。……って、それが私なんですか。ミレーヌ、この世界でももちろん処女なんですけどね、ハハハ……。
乾いた笑いが、喉から流れ出ていった。
「あっ」
突然シャルルの顔が近づいた。――と思うと同時に、頬に唇が触れる。
「あっ、シャルル」
「もう、心配いらないでしょ?」
唇を寄せたまま、シャルルが囁く。耳に息がかかってくすぐったい。
「ひゃっ!」
「君は僕と結婚するんだ」
その声にはいつものシャルルらしからぬ、熱っぽい響きがあった。もはや彼の本気を疑う気にはなれない。耳元にチュッとキスが落とされ、私はひゅっと息を吸った。
「いいよね?」
「や、そこで喋っちゃだめ」
「返事」
「ひゃあん」
くすぐったさに身をすくめる私に、シャルルは何故か嬉しそうだ。
「それが返事?」
「ちがっ……! ちょっと、やめてったら!」
「嫌だね」
「はあっ!?」
シャルルはちょっとだけ身体を起こして、私を見下ろした。その唇がきゅっと上がる。
「君を押さえつけていたら、変な気になった」
「ちょ……、馬鹿! そんなことはっきり言わないでよ!」
――はい? 何なのこれ……めちゃくちゃ色っぽいんですけど!
キスを拒もうとした私の手を取り、指先にもキスをする。うそ……、こんなシャルル、知らない。
「黙って襲ったほうがいいの?」
「そんなわけないで――んんっ」
シャルルの豹変に、私はもうついて行けない。焦る私の唇は、いとも簡単に塞がれてしまった。
創作の中ではデロ甘ラブシーンも鬼畜えっちもいくらでも書く。でもそれは、あくまでもフィクションだ。実際こんな体勢になったら、もうどうしたらいいか分からない。
カチンコチンに固まって、シャルルを見上げるだけだ。
「結婚できないって、どういうこと?」
「……あ」
自分が逃げ帰ろうとしていたことなど、完全に頭から飛んでいた。いけない、ぼーっとしている場合じゃない。
あれを読まれたからには、やっぱりシャルルとは結婚できない。シャルルだって、きっと呆れ果てたに決まっている。
ところが私がそう言うと、シャルルはきつく眉を寄せた。
「本当に君は……。いや、アイリーン嬢のときもそうだったっけ。君はすぐ一人で考えて、勝手に結論を出そうとする」
私を押さえつける指に力が込められた。ドレスの肩に指先が食い込む。
「僕の気持ちなんか、いつも二の次だ」
「え……」
そんなことは……、と言いかけて、私はハッとする。――確かにそうだったかもしれない。あれを読んでどう思ったか、シャルルが言ったわけではない。
でもあんなものを読んだら、普通……呆れるか怒るかするものじゃないの?
「ほら、また。何を考えてる?」
「あ」
「頼むから決めつけないで。――全部僕に言ってよ」
シャルルがきゅっと唇を噛んだ。
ようやく私にも、シャルルの言いたい意味が分かってきた。いまだに私は心のどこかで、シャルルをゲームの……小説の登場人物のように思っているのかもしれない。彼の心を勝手に想像し、それならこうだと決めつけてしまっているのかもしれない。
それは違うはずだ。この世界のシャルルは、一人の人間。お話ではない、現実だ。
ならば、ちゃんと聞かなくては。……伝えなくては。
「あ……あんな話を書いて。呆れたでしょう? てっきり貴方に怒られると思って、私……」
「呆れはしないよ」
そう言うシャルルの頬に、また赤みが戻ってきた。
「どうして? 私のこと、嫌いにならないの?」
そっと視線を外したシャルルに、私はなぜか悲しくなった。――それが、貴方の答えなんじゃないの……?
また泣きそうになった私に、シャルルの呟く声が聞こえた。
「……もんか」
「……え?」
その声はひどく小さくて早口で、よく聞き取れなかった。
「何て言ったの?」
もう一度聞くと、シャルルの頬がさらに赤くなる。シャルルは、ひどくばつの悪そうな顔をした。
「嫌いになんか、なるもんか」
「え……?」
――嫌いにならない……って、それは……?
心臓ばかりが狂ったように音をたてている。息苦しささえ感じる胸から、私はようやく息を吐き出した。
「どうして?」
「嬉しかったもの」
シャルルの耳が赤くなっている。どうやら本気で言っているらしいと分かって、私は驚きに目を丸くした。
――あんなエロいものが……嬉しかった? 待って、シャルルってもしかして……そういうの好きなんですか? まさか、ムッツリ何とかいうやつ?
またしても脳内で考えが暴走しかかった私を、シャルルの次の言葉が止める。
「あんなに何回も、好きって書いてくれたら……」
「え……うそ」
――私……そんなこと、書いたっけ?
ベッドシーンの濃度ばかりが気になって、その辺はあまり覚えていない。だいたい衝動のままに書いて、見直しなどしていなかったのだから当然だ。でもまさか、そんな……。
私は何も言えなくなってしまった。気のせいか、一気に体温が上がった気がする。
「それに、僕のことをたくさん褒めてくれていたし」
「うう……」
何それ? 心の声がダダ洩れってやつじゃないですか? 泣きながら書いたとはいえ、私って……。
別の恥ずかしさに、背中を変な汗が伝う。
シャルルは小さく咳ばらいをした。
「その……。閨のことは、さ。僕にもまだよく分からないけど」
そう、そこが肝要です。私はぶんぶんと首を振った。
「あれは忘れて、お願い! 私、どうかしてたの――」
「忘れない」
やけにきっぱり言い切ったシャルルに、私はぽかんと口を開ける。
「できるだけ君の希望に添うように、頑張るから」
「へ」
「大丈夫、二人で努力しよう」
「え……、なにそれ、あの……」
「とりあえず、もっと体力をつけるよ」
にっこり笑うシャルルに、もう何を言って良いやら分からない。
そうでした……。
ゲームアプリ「ヒミツの恋愛遊戯」のシャルルは、「それまで女性経験がなかったくせに、やたらとHシーンが激しい」って評判だったんだよね。だから私も、当然そういうふうに書いたわけで……。
だからシャルルは、私がそうされたがってると思い込んでしまったわけですね。この手のストーリーのお約束、絶倫ヒーローにひと晩中泣かされるヒロインですよ。……って、それが私なんですか。ミレーヌ、この世界でももちろん処女なんですけどね、ハハハ……。
乾いた笑いが、喉から流れ出ていった。
「あっ」
突然シャルルの顔が近づいた。――と思うと同時に、頬に唇が触れる。
「あっ、シャルル」
「もう、心配いらないでしょ?」
唇を寄せたまま、シャルルが囁く。耳に息がかかってくすぐったい。
「ひゃっ!」
「君は僕と結婚するんだ」
その声にはいつものシャルルらしからぬ、熱っぽい響きがあった。もはや彼の本気を疑う気にはなれない。耳元にチュッとキスが落とされ、私はひゅっと息を吸った。
「いいよね?」
「や、そこで喋っちゃだめ」
「返事」
「ひゃあん」
くすぐったさに身をすくめる私に、シャルルは何故か嬉しそうだ。
「それが返事?」
「ちがっ……! ちょっと、やめてったら!」
「嫌だね」
「はあっ!?」
シャルルはちょっとだけ身体を起こして、私を見下ろした。その唇がきゅっと上がる。
「君を押さえつけていたら、変な気になった」
「ちょ……、馬鹿! そんなことはっきり言わないでよ!」
――はい? 何なのこれ……めちゃくちゃ色っぽいんですけど!
キスを拒もうとした私の手を取り、指先にもキスをする。うそ……、こんなシャルル、知らない。
「黙って襲ったほうがいいの?」
「そんなわけないで――んんっ」
シャルルの豹変に、私はもうついて行けない。焦る私の唇は、いとも簡単に塞がれてしまった。
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