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19・護る、とは 上
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翌日は、朝から魔導師の正装をして王宮へ入った。まずはルカ様と一緒に、陛下と長官様のところへご挨拶に伺い、次は長官様にもご一緒していただいて、王宮のおもだった役職の方にも挨拶してまわる。正直なところ、私には大臣以外の役職の名前すら覚えられなかったけれど……。
次は、王宮の魔導師の皆様にもご挨拶をすると言われ、ルカ様と一度別れて長官様の後について進む。
「この度魔導師の資格を賜りました、ミアと申します。よろしくご指導下さいませ」
王宮の魔導師は30人あまりもいた。教えられた通りの口上を述べたが、冷ややかな視線が返ってきただけだった。長官様もそうなることは分かっていたのか、型通りに紹介しただけで私を促して部屋を出た。
魔導師達の建物を出ると、そこにルカ様がいた。私にではなく長官様に
「どうでした?」
と問いかけると、長官様が苦笑する。
「全く変わっていませんね」
ルカ様も呆れた声で、笑うしかないという表情だ。
「王宮の魔導師たちはプライドが高くてな、自分たちよりも高い魔力や複数属性を持つ奴なんかには絶対に関わろうとしないんだ」
昔、ルカ様が魔導師になった時もそうだったのだという。
「まあ、そうそう関わることもあるまい。気にするな」
あとは、本当は新人魔導師には研修のようなものがあるのだが、私にはルカ様が既に決まり事など教えて下さっていたので免除となった。
◆◇◆
その頃、朝から国王に面会を申し込んでいたカインは、サロンで国王と向かい合っていた。
型通りの儀礼が済んだ後、思いきって本題に入る。
「陛下、単刀直入に伺います。我々は新魔導師のミア殿を、どのようにお護りすればよろしいのですか?」
さすがの国王も、しばらく反応が出来なかった。
「……まさか、そう来るとは……」
思わずポロリと本音を洩らしてしまい、咳払いをして立て直す。
「それは、カイン。そなた一人の考えか?」
やはり当たりか。そう思いつつ、カインは答える。
「いいえ陛下。昨夜、我々3人で考えた結果です」
そして昨夜の話から、そう結論に至るまでを説明する。
国王は驚きを隠せなかった。確かに、才能も人柄も、彼らならばと思ったが、まさかここまで完全に見抜かれ、翌朝一番に乗り込んでくるとまでは思ってもいなかったのだ。
国王は深いため息を一つ吐くと、ルカを呼ぶよう言い付けた。
「流石だな、カイン。だが……しばし待ってくれるか。この先はルカでないと話せることではないのだ。如何に明敏なそなたらと言えども、思いもつかぬ事情が絡んでおるのでな」
呼ばれて入ってきたルカは、二人の様子をみて察したらしい。
「だから申し上げましたのに……」
と国王に一言投げつけてからカインに尋ねる。
「エリス殿とグリフ殿は今?」
「そろそろ訓練の終わる時間ですが……呼んだほうがよろしいですか?」
ルカはかぶりを振って言う。
「いや、どちらかお一人でもいいのだが、ミアを……」
皆まで言わないうちに、カインは
「ルカ師、ミア殿に町を案内しても? では、一度退出させてください」
と走り出て行った。
ルカは国王を振り返る。
「もう見抜かれたのか? まったく敏い奴らだな」
そしてカインの言ったことを聞いて、ルカもまた驚きに言葉を失った。
◆◇◆
ルカ様が国王陛下の使いに呼び出されて行ってしまった後、私は中庭のベンチに座っていた。すると繁みの向こう側に、昨日お会いしたサラ様が見えた。サラ様は私に気づいていないようだったけれど、私はご挨拶をしようと立ち上がりかけた。
その時。
「やあ、ミア殿。またお会いしましたね」
後ろから親しげな声をかけてくれたのは、エリス様だった。
「エリス様……。どうしてここに?」
エリス様は昨日と変わらない優しい微笑みで答えてくれる。
「訓練が終わりましたので、ここでグリフと待ち合わせていたのですよ。……ああ、来ました」
「よう、待ったかエリス? ……あ、ミア殿!」
「グリフ様……。エリス様も、昨日はありがとうございました」
二人にお礼を言いながらちらりと見ると、もうサラ様の姿は見えなかった。
「ところで、ミア殿はここで何を?」
エリス様が尋ねる。
「ルカ様が、国王陛下の急なお呼びだしにあいまして……」
するとグリフ様が嬉しそうに言った。
「なら、ミア殿、オレたちと町に行ってみないか?」
「あ、それはいいですね、僕たちに案内させてください」
「え……?」
町に……。い、行ってみたい。昨日はルカ様と食事をしただけだし、出来ればお店も見て、館の子たちにお土産を買いたい。
するとお二人が笑い出した。
「はは、本当にミア殿は素直だな」
「ふ、全くです……。目が輝いてしまってますよ」
「す、すみません。つい……」
私はまた赤くなって下を向く。そんな私にお二人はまた笑い、
「その素直なところが貴女の良いところだと思いますよ?」
「そうそう。よし、じゃあ行こうぜ」
グリフ様は早くも中庭を出ようとした。
「あ、待ってください。ルカ様に許可を……」
するとエリス様が言う。
「今は陛下とお話し中なんですよね? なら伝言を預けましょう。ルカ師のことだから、緊急なら貴女を見つけだすことくらいお出来になるでしょう? 大丈夫、僕たちがお誘いしたと言っておきますよ」
そしてエリス様自ら、伝言を届けに行って下さったのだった。
次は、王宮の魔導師の皆様にもご挨拶をすると言われ、ルカ様と一度別れて長官様の後について進む。
「この度魔導師の資格を賜りました、ミアと申します。よろしくご指導下さいませ」
王宮の魔導師は30人あまりもいた。教えられた通りの口上を述べたが、冷ややかな視線が返ってきただけだった。長官様もそうなることは分かっていたのか、型通りに紹介しただけで私を促して部屋を出た。
魔導師達の建物を出ると、そこにルカ様がいた。私にではなく長官様に
「どうでした?」
と問いかけると、長官様が苦笑する。
「全く変わっていませんね」
ルカ様も呆れた声で、笑うしかないという表情だ。
「王宮の魔導師たちはプライドが高くてな、自分たちよりも高い魔力や複数属性を持つ奴なんかには絶対に関わろうとしないんだ」
昔、ルカ様が魔導師になった時もそうだったのだという。
「まあ、そうそう関わることもあるまい。気にするな」
あとは、本当は新人魔導師には研修のようなものがあるのだが、私にはルカ様が既に決まり事など教えて下さっていたので免除となった。
◆◇◆
その頃、朝から国王に面会を申し込んでいたカインは、サロンで国王と向かい合っていた。
型通りの儀礼が済んだ後、思いきって本題に入る。
「陛下、単刀直入に伺います。我々は新魔導師のミア殿を、どのようにお護りすればよろしいのですか?」
さすがの国王も、しばらく反応が出来なかった。
「……まさか、そう来るとは……」
思わずポロリと本音を洩らしてしまい、咳払いをして立て直す。
「それは、カイン。そなた一人の考えか?」
やはり当たりか。そう思いつつ、カインは答える。
「いいえ陛下。昨夜、我々3人で考えた結果です」
そして昨夜の話から、そう結論に至るまでを説明する。
国王は驚きを隠せなかった。確かに、才能も人柄も、彼らならばと思ったが、まさかここまで完全に見抜かれ、翌朝一番に乗り込んでくるとまでは思ってもいなかったのだ。
国王は深いため息を一つ吐くと、ルカを呼ぶよう言い付けた。
「流石だな、カイン。だが……しばし待ってくれるか。この先はルカでないと話せることではないのだ。如何に明敏なそなたらと言えども、思いもつかぬ事情が絡んでおるのでな」
呼ばれて入ってきたルカは、二人の様子をみて察したらしい。
「だから申し上げましたのに……」
と国王に一言投げつけてからカインに尋ねる。
「エリス殿とグリフ殿は今?」
「そろそろ訓練の終わる時間ですが……呼んだほうがよろしいですか?」
ルカはかぶりを振って言う。
「いや、どちらかお一人でもいいのだが、ミアを……」
皆まで言わないうちに、カインは
「ルカ師、ミア殿に町を案内しても? では、一度退出させてください」
と走り出て行った。
ルカは国王を振り返る。
「もう見抜かれたのか? まったく敏い奴らだな」
そしてカインの言ったことを聞いて、ルカもまた驚きに言葉を失った。
◆◇◆
ルカ様が国王陛下の使いに呼び出されて行ってしまった後、私は中庭のベンチに座っていた。すると繁みの向こう側に、昨日お会いしたサラ様が見えた。サラ様は私に気づいていないようだったけれど、私はご挨拶をしようと立ち上がりかけた。
その時。
「やあ、ミア殿。またお会いしましたね」
後ろから親しげな声をかけてくれたのは、エリス様だった。
「エリス様……。どうしてここに?」
エリス様は昨日と変わらない優しい微笑みで答えてくれる。
「訓練が終わりましたので、ここでグリフと待ち合わせていたのですよ。……ああ、来ました」
「よう、待ったかエリス? ……あ、ミア殿!」
「グリフ様……。エリス様も、昨日はありがとうございました」
二人にお礼を言いながらちらりと見ると、もうサラ様の姿は見えなかった。
「ところで、ミア殿はここで何を?」
エリス様が尋ねる。
「ルカ様が、国王陛下の急なお呼びだしにあいまして……」
するとグリフ様が嬉しそうに言った。
「なら、ミア殿、オレたちと町に行ってみないか?」
「あ、それはいいですね、僕たちに案内させてください」
「え……?」
町に……。い、行ってみたい。昨日はルカ様と食事をしただけだし、出来ればお店も見て、館の子たちにお土産を買いたい。
するとお二人が笑い出した。
「はは、本当にミア殿は素直だな」
「ふ、全くです……。目が輝いてしまってますよ」
「す、すみません。つい……」
私はまた赤くなって下を向く。そんな私にお二人はまた笑い、
「その素直なところが貴女の良いところだと思いますよ?」
「そうそう。よし、じゃあ行こうぜ」
グリフ様は早くも中庭を出ようとした。
「あ、待ってください。ルカ様に許可を……」
するとエリス様が言う。
「今は陛下とお話し中なんですよね? なら伝言を預けましょう。ルカ師のことだから、緊急なら貴女を見つけだすことくらいお出来になるでしょう? 大丈夫、僕たちがお誘いしたと言っておきますよ」
そしてエリス様自ら、伝言を届けに行って下さったのだった。
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