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ヒュプノスの陰謀③
しおりを挟む館の扉は見た目よりも軽く、思ったよりも簡単に開いた。
中に入ると、俺の想像通りの洋館が広がっていた。
「オデュッセイア、ここのどこに敵はいるんだ?」
「錦田よ、そう焦るな。そこの通路を奥に行った先の広間に奴はいるはずだ」
「なるほど。じゃあもう行くぞ」
オデュッセイアは俺を一瞥すると軽く頷き、俺達は歩を進め、今度は本当に重そうなドアに手をかけた。
「イリアスさん、それはどこなんですか?」
私は目の前の妖々とした光に向かって訊いた。
「私が案内します。ついてきなさい」
部屋を出て、狭い通路の先にある、細い階段を下った先には小さいけれども、ずっしりとした扉が佇んでいた。
「ここですよ」イリアスは言った。
私は決意の意で、一度深呼吸をすると古びたドアノブに手をかけた。
ガチャリ。扉が大きな音を立てて開いた。かと思うと向こうにも同じような扉があり、女の人がこちらに向かってきている。
暗くてよく見えなかったため、俺も歩を進めて、5歩程歩いたあたりで、お互いに足が止まった。冷や汗をかいているという実感があった。足は震え、絶句した。恐らく向こうもそうなのだろう。
ガチャリ。扉が大きな音を立てて開いた。私はイリアスさんと共に歩を進めた。驚いたことに向こうにも、同じような扉があり、そこから一人の高校生位の男の子がこっちに向かってきていた。
数秒後、私の足は止まり、心臓はバクバクと音をたて、今までにない驚愕が私を包んだ。
そこには鷺沼皐月。彼女が立っていた。
そこには錦田海斗。彼が立っていた。
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